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最判平3.7.9:監獄法事件

論点

  1. 被勾留者と幼年者との接見を原則禁止するとした旧監獄法施行規則は、旧監獄法の委任の範囲を超え、無効となるか?

事案

Xは、ある罪により東京拘置所に勾留されていたが、第一審・第二審において死刑判決を受け、最高裁に上告をしていた。

Xはその間に、死刑廃止運動に関係するAから裁判を通じて援助を受け、「Aの母親B」と養子縁組を結んだ。

そして、Xは「Aの娘C(10歳)」と文通をしており、XはCとの面会を求めたところ、東京拘置所長Y1は旧監獄法施行規則に基づき不許可処分とした。

旧監獄法50条には「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」と規定し、それを受けて、旧監獄法施行規則120条で「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」と規定し、旧監獄法施行規則124条は「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」と規定していた。

Xは、旧監獄法施行規則120条が、憲法31条(適正手続の保障)、13条(人権保障)、14条(法の下の平等)の保障する幼年者との面接権を侵害する違憲な規定であり、仮に違憲でないとしても面接不許可処分は裁量権を濫用したものであるとして、国Y2に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償訴訟を提起した。

判決

被勾留者と幼年者との接見を原則禁止するとした旧監獄法施行規則は、旧監獄法の委任の範囲を超え、無効となるか?

委任の範囲を超え、無効である

旧監獄法50条は、「接見の立ち合い、信書の検閲その他接見及び信書に関する制限は法務省令をもって定める」と規定し、命令(法務省令)をもって、面会の立会、場所、時間、回数等、面会の態様についてのみ必要な制限をすることができる旨を定めている。

そして、命令によって接見許可の基準そのものを変更することは許されない。

ところが、規則120条は、「14歳末満の者には在監者と接見することを許さない」と規定し、旧監獄法施行規則124条は「所長において処遇上その他必要があると認めるときは旧監獄法施行規則120条の制限を免除できる」と規定している。

これによれば、規則120条が原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないこととする一方で、規則124条がその例外として限られた場合に監獄の長の裁量によりこれを許すこととしていることが明らかである。

しかし、これらの規定は、たとえ事物を弁別する能力の未発達な幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、それ自体、法律によらないで、被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法50条の委任の範囲を超えるものといわなければならない

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