令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講
上記模試の値上げまで あと

時効の完成猶予と時効の更新

時効の完成猶予とは?

時効の完成猶予」とは、時効期間経過前に一定の事由が発生した場合に、一定期間、時効が完成しないことです。

言い換えると、時効は、時効期間の満了によって完成するのが原則ですが、時効期間の進行中に一定の事由が発生することによって時効の完成が先延ばしになるということです。

具体的な内容(時効の完成猶予事由)は下記で解説します。

時効の更新とは?

時効の更新」とは、一定の事由が発生した場合に、時効期間の経過が一旦ゼロにリセットされ、新たに時効期間が進行し始めることです。

具体的な内容(時効の更新事由)は下記で解説します。

裁判上の請求等・・・時効の完成猶予事由・時効の更新事由

下記1~4のいずれかに該当すると、下記1~4の事由が終了するまでの間は、時効は完成しません(民法147条1項:時効完成猶予)。

  1. 裁判上の請求
  2. 支払督促
  3. 和解(民事訴訟法)又は調停(民事調停法・家事事件手続法)
  4. 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

※「裁判の取り下げ等をして判決が確定することなくその事由が終了した場合は、その終了の時から6ヶ月を経過するときまで時効は関係しない。

そして、「確定判決」又は「確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定」したときは、時効は、上記1~4の事由が終了した時から新たにその進行を始めます(民法147条2項:時効の更新)。

強制執行等・・・時効の完成猶予事由・時効の更新事由

下記1~4のいずれかに該当すると、下記1~4の事由が終了するまでの間は、時効は完成しません(民法148条1項:時効完成猶予)。

  1. 強制執行
  2. 担保権の実行
  3. 競売
  4. 財産開示手続又は第三者からの情報取得手続(民事執行法)

※ 「申立ての取下げ」又は「法律の規定に従わないことによる取消し」によってその事由が終了した場合、その終了の時から6ヶ月を経過するときまで時効は関係しない。

そして、時効は、上記1~4の事由が終了した時から新たにその進行を始めます(民法148条2項:時効の更新)。

ただし、「申立ての取下げ」又は「法律の規定に従わないことによる取消し」によってその事由が終了した場合は、時効の更新はありません

仮差押え等・・・時効の完成猶予事由

下記1または2の事由がある場合には、その事由が終了した時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しません(民法149条:時効の完成猶予)。

  1. 仮差押え
  2. 仮処分

催告・・・時効の完成猶予事由

催告があったときは、催告があった時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しません(民法150条1項:時効の完成猶予)。

催告によって時効の完成が猶予されている間に、再度の催告をしても、さらに6ヶ月延長とはなりません(民法150条2項)。

協議を行う旨の合意による時効の完成猶予

権利について、「協議を行いましょう!」と書面で合意したときは、下記1~3のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しなません(民法151条1項 )。

  1. その合意があった時から1年を経過した時
  2. その合意において当事者が協議を行う期間(1年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
  3. 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6ヶ月を経過した時

これは内容がややこしいので、個別指導で整理した内容を解説します。

■そして、上記「協議を行う旨の合意」があって、時効の完成が猶予されている間に、再度の「協議を行う旨の合意」をした場合、時効の完成猶予期間は延長されます。ただし、その効力は、当初時効が完成すべき時から起算して最長5年間です(民法151条2項)。

■催告によって時効の完成が猶予されている間に、「協議を行う旨の合意」を行った場合は、時効の完成猶予期間は延長されません。また、逆に、「協議を行う旨の合意」によって時効の完成が猶予されている間に、催告をしても、時効の完成猶予期間は延長されません(民法151条3項)。

承認・・・時効の更新事由

権利の承認があったとき(=債務者が債務を承認したとき)は、時効は承認の時から新たにその進行を始めます(民法152条1項:時効の更新)。

制限行為能力者であっても、単独で有効に承認をすることができます(民法152条2項)。

天災等・・・時効の完成猶予

時効の期間の満了の時に、天災その他避けることのできない事変のため、「裁判上の請求等」や「強制執行等」に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない(民法161条:時効の完成猶予)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

参考条文

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第147条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第148条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百九十五条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続又は同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

(仮差押え等による時効の完成猶予)
第149条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
一 仮差押え
二 仮処分
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
第151条 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。
3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。
4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

(承認による時効の更新)
第152条 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。

(天災等による時効の完成猶予)
第161条 時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため第百四十七条第一項各号又は第百四十八条第一項各号に掲げる事由に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から三箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

民法テキストの目次

作成中・・・
【勉強の仕方等、お気軽にご相談ください!】
  • メールアドレス
  • お名前(姓・名)
  • 姓と名はスペースで区切ってください
  • 郵便番号
  • 例:123-4567
  • 住所(都道府県)
  • 住所(市町村以下)
  • ご相談はこちら

  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。