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平成29年・2017|問44|行政法・記述

A市は、市内へのパチンコ店の出店を規制するため、同市内のほぼ全域を出店禁止区域とする条例を制定した。しかし、事業者Yは、この条例は国の法令に抵触するなどと主張して、禁止区域内でのパチンコ店の建設に着手した。これに対して、A市は、同条例に基づき市長名で建設の中止命令を発したが、これをYが無視して建設を続行しているため、A市は、Yを被告として建設の中止を求める訴訟を提起した。最高裁判所の判例によれば、こうした訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:行政権の主体とした立場で提起したとされ、法律上の争訟ではなく、却下判決がなされる。(41字)

【解説】

質問内容は
「このような訴訟は、どのような立場でA市が提起したものであるとされ、また、どのような理由で、どのような判決がなされるべきこととなるか」
なので
①どのような立場でA市が訴訟提起したものとされるか?
②どのような理由で、どのような判決がされるか?
この2つを考えます。

この問題文を見たときにまず、「最判平14.7.9:宝塚市パチンコ条例事件」の内容であることは分からないといけません。

そして、問題文の状況を確認すると

  1. A市は、市内へのパチンコ店の出店を規制するため、同市内のほぼ全域を出店禁止区域とする条例を制定した。
  2. しかし、事業者Yは、この条例は国の法令に抵触するなどと主張して、禁止区域内でのパチンコ店の建設に着手した。
  3. これに対して、A市は、同条例に基づき市長名で建設の中止命令を発した
  4. しかしYが無視して建設を続行した
  5. そのため、A市は、Yを被告として建設の中止を求める訴訟を提起した。

という流れです。

そして、上記は、
「行政権の主体」として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟です。
言い換えると、「行政サービスを行うため」に、国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟です。

裁判所の審判の対象となるのは「行政権の主体」の場合ではなく「財産権の主体」の場合です。例えば、行政が所有する土地を誰かが侵害していた、といった場合です。

今回の内容は、「行政権の主体」の場合なので、「法律上の争訟」に当たらず、却下判決が下されます。

したがって、

行政権の主体とした立場で提起したとされ、法律上の争訟ではなく、却下判決がなされる。(41字)

8月から逆転合格:模試ad


平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

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