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債務引受

債務引受とは?

債務引受(さいむひきうけ)とは、債務をその同一性を失わせないで債務引受人に移転することをいいます。

債務引受には、「免責的債務引受」と「併存的債務引受(重畳的債務引受)」の2種類があります。

併存的債務引受

「併存的債務引受」は「重畳的債務引受(ちょうじょうてき さいむひきうけ)」とも言います。

併存的債務引受の効果

併存的債務引受の場合、引受人が債務者と同一の債務を連帯して負担することとなります(民法470条1項)。また、債務者も従前どおり債務を履行する責任があります。

例えば、債権者A、債務者Bがおり、債務者の債務について、第三者C(引受人という)が併存的債務引受をすると、引受人CもBと同一の債務を負い、BとCが連帯債務を負うことになります。

併存的債務引受の要件

併存的債務引受の要件として、下記3つのパターンがあり、いずれかに該当すれば成立します。

  1. 債権者・債務者・引受人の三者契約
  2. 引受人と債権者の契約(民法470条2項)
    ※債務者の意思に反していても構わない(大判大15.3.25)
  3. 引受人と債務者との契約(470条3項前段)

詳細は個別指導で解説します。

免責的債務引受

免責的債務引受の効果

免責的債務引受とは、債権者に負っている債務を第三者が債務者の代わりに引き受けることです。免責的債務引受がなされると、債務は旧債務者(債務者)から新債務者(引受人)に完全に移転するため、旧債務者の債務は免責されます(民法472条1項)。

免責的債務引受の要件

免責的債務引受の要件として、下記3つのパターンがあり、いずれかに該当すれば成立し、効力が生じます。

  1. 債権者・債務者・引受人の三者契約
  2. 「引受人と債権者の契約」(民法472条2項)かつ、「債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知」(民法472条3項)
  3. 「引受人と債務者との契約」かつ「債権者が引受人となる者に対して承諾」(472条3項前段)

詳細は個別指導で解説します。

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民法テキストの目次

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参考条文

(併存的債務引受の要件及び効果)
第470条 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。

(併存的債務引受における引受人の抗弁等)
第471条 引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これらの権利の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(免責的債務引受の要件及び効果)
第472条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。

(免責的債務引受における引受人の抗弁等)
第472条の2 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(免責的債務引受における引受人の求償権)
第472条の3 免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。

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