不法原因給付とは?
「不法原因給付」とは、不法な原因に基づいて行われた給付のことです。
例えば、「殺人を依頼し、その対価として金銭を支払った場合」や,「妻がいながら、愛人となることを条件として、愛人に不動産を与えた場合」などです。
不法原因給付の成立要件
下記要件をすべて満たすとき不法原因給付が成立します。
- 給付の原因が、不法なものであること
- 給付が存在していること
不法原因給付の効果
上記のような契約は、それ自体、公序良俗違反で無効となります。
そのため、払ったお金や不動産の返還を請求できるはずだが、不法原因給付を行った者は、返還請求ができません。
【理由】 返還請求を認めると、反社会的な行為を行った者を法が保護することになり、妥当ではないからです。
このように理由をつけると理解しやすいと思います。
このような理解学習を実践できるのが個別指導です。
「給付」とは?
「給付」があるといえるためには、相手方に「終局的な利益」を与えるものでなければなりません。
「未登記」の不動産の給付
未登記の不動産の場合、引渡しのみで「給付」されたといえます。
※ 建物の引渡し後、「給付者名義で保存登記」をしても、返還請求できません。
「既登記」の不動産の給付
登記済の不動産については。「引渡し+移転登記」によって「給付」されたといえます。
動産の給付
動産については、「引渡し」によって「給付」されたといえます。
不法な原因が受益者のみにあった場合
消費貸借(お金の貸し借り)契約の成立の経緯に不法の点があった場合について、
貸主(給付者)の側に多少の不法があったとしても、借主(受益者)の側にも不法な点があって、給付者(貸主)の不法性が、受益者(借主)の不法性と比べて明らかに小さい場合には、民法90条(公序良俗)と民法708条(不法原因給付)は適用されず、給付者(貸主)は貸したお金の返還請求ができます(最判昭29.8.31)。
理解学習について
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作成中・・・参考条文
(不法原因給付)
第708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。