株主総会の権限と招集

ここから、会社の機関について勉強していきます。

会社は自然人(ヒト)ではないので、会社自体が経営することはできません。「自然人」または「自然人の集まり」によって、会社を運営していくことになります。

イメージとしては、人が生活するためには、足があり手があり、頭があり、目があったりします。これらが「機関」のイメージです。

会社にも、会社が経営していくために、株主総会があり、取締役があり、監査役がありといった感じで、さまざまな「機関」があります。

そして、すべての株式会社には、株主総会および取締役の2つの機関は必ず置かなければなりません326条)。

株主総会とは、会社の組織運営の根本にかかわる意思決定を行う最高の意思決定機関です。

取締役会は、具体的な経営に関する行為を行う機関です。

株主総会の権限

株主総会とは、株主によって構成される合議体です。そして、株主総会で決議できることについては、取締役会設置会社と非取締役会設置会社によって異なります。

取締役会設置会社 ①会社法に規定する事項および②定款で定めた事項
非取締役会設置会社 一切の事項

取締役会設置会社については、一般に株主が会社を所有し、取締役会が経営を行うという風に、所有と経営が分離しています。

そのため、一定事項のみ株主総会で決定し、それ以外は取締役会で決定することが可能です。

取締役会設置会社において、株主総会で決議できる会社法に規定する事項とは、

  1. 「定款変更・事業譲渡・解散・合併・株式交換・株式移転等」の会社の根本に関わる事項
  2. 「取締役、監査役、会計監査人、会計参与等の選任・解任」に関する事項
  3. 「株式併合」や「募集株式の第三者に対する有利発行」といった株主の利害に重大な影響を与える事項

株主総会の招集

株主総会の種類

定時株主総会 最低でも年1回は行う
臨時株主総会 必要に応じて臨時開催される

株主総会の招集権者

取締役会(非取締役会設置会社では、取締役)が一定事項を決定し、代表取締役等がこれを執行して招集します。

また、少数株主総株主の議決権の100分の3以上、公開会社は6か月以上前から保有)による招集も認められています。

株主総会の招集通知

公開会社 総会の2週間前まで
非公開会社 総会の1週間前まで
※ 非取締役会設置会社では、定款で短縮できる
書面決議の場合は、2週間前まで

書面決議とは、株主総会を実際に開催することなく、株主総会の決議を省略し、書面のやり取りのみで株主総会決議があったものとみなすことができる制度です。

また、株主全員の同意があるときは、招集手続きを経ずに、株主総会を開催することができます(300条)。例えば、株主が1人の場合、上記手続きを行うのは、時間の無駄です。

 

社債

社債とは、会社法では、「会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、会社法の定めに従い償還されるものをいう(2条23号)」と定義づけられています。

社債を分かりやすく言えば、会社が一般公衆から広くお金を借り入れて、一定期間経過後に債権者に返済する(償還する)というものです。

つまり、社債=会社に対してお金を貸した貸付債権とも言えます。

株式と社債の違い

株式を発行する場合も、社債を発行する場合も、どちらもお金を調達するために使います。

しかし、違いもあります。

地位の違い

株式の場合、会社の社員たる地位(オーナー)であるのに対し
社債の場合、会社の債権者です。

株主総会における議決権

株主(株主を有する者)は、株主総会で議決権を行使して、経営にかかわることもできますが
社債権者(社債を有する者)は、そのような権利はありません。

出資金の払い戻し

株主は、会社が存続している間は、原則として会社から出資の払い戻しを受けることができません。
社債権者は、あらかじめ決められた期間(償還期間)が到来すると、その払い戻しを受けることができます。

配当と利息

株主は、剰余金の配当決議があって初めて配当を受けることができます。(剰余金がない場合、無配当の場合もある)
社債権者は、剰余金の有無にかかわらず、あらかじめ定められた額の利息の支払いを受けることができる。

発行限度

株式は、公開会社では発行可能株式総数は設立時発行済株式の4倍以下でないといけません。非公開会社ではそのような制限はありません。
社債は、発行限度はないので、どれだけでも発行して借入ができます。

分割払込み

株式は分割して払込むことは認められていません。
社債は、払込は、全額の払込が原則ですが、分割して払込む方法を定めることも可能です。

社債の発行の手続き

社債を発行する場合、会社は、募集社債に関する下記事項を決定しなければなりません。

この募集社債に関する決定は、業務の執行にあたるため、取締役が決定します(取締役会設置会社では取締役会の決議による)(348条362条4項5号)。

  1. 募集社債の総額
  2. 各募集社債の金額
  3. 募集社債の利率
  4. 償還方法
  5. 償還期限等

新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、新株予約権がついた社債で、「社債の堅実性」と「株式の投機性」の両方を併せ持ちます。

どういうことかというと、会社の業績が悪い時は社債として持っておき、利息を確実にもらっていきます。その後、業績が上がって、株価も上昇したのであれば、新株予約権を行使して、株主になり、その後株式を売却して売却益を得るということも可能です。

行政書士のポイントとしては、下記事項です。

  1. 新株予約権と社債を分離していずれか一方を譲渡することはできません。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡できます(254条2項3項)。
  2. 新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用される(248条)。つまり、原則として、公開会社では取締役会の決議で、非公開会社では株主総会の特別決議で募集事項を決定します。

社債管理者

会社は、社債を発行する場合には、原則、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(702条1項)。

社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。(705条1項)

新株予約権

新株予約権とは、この予約権を有する者が会社に対して権利を行使することで、株式の交付を受けることができる権利を言います(2条21号)。

例えば、Aが株式会社Xの新株予約権を持っていた場合、Aが新株予約権を行使して、所定の金銭を払い込むと、XはAに対して株式を交付します。

ここで注意が必要なのは、「新株予約権の発行」と「新株予約権の行使」の2つのステップがあります。

新株予約権の発行

募集により新株予約権を発行する場合、募集株式の発行の場合と同じ手続きで行います。

つまり、「公開会社と非公開会社」、「株主割当と第三者割当」で異なります。

新株予約権者となる日、払込み

新株予約権の発行については、無償の場合と有償の場合があります。

無償の場合、新株予約権の募集に対する申込者は、払込を待たず割当日に募集新株予約権の新株予約権者となります245条1項)。

有償の場合、新株予約権者は、払込期日までに払込金額の全額を払いこまなければなりません(264条1項)。

新株予約権の行使

新株予約権者は、新株予約権を行使した日に、と新株予約権の目的である株式の株主となります(282条1項)。

そして、新株予約権を行使する際に、行使価額の全額を払い込まなければなりません。

つまり、予約権の発行の際に1回目の払い込みを行い、権利行使の際に2回目の払込みを行います。

募集株式の発行差止請求、無効の訴え、不存在確認の訴え

このページでは、違法な募集株式の発行に対する救済の方法について解説します。

募集株式の発行の手続きに法令又は定款違反がある場合、その効力が問題となります。

募集株式の発行の効力が発生する前と後によって救済手段が異なります。

効力発生前:募集株式の発行差止請求

効力発生後:新株発行等の無効の訴え、不存在確認の訴え

募集株式の発行差止請求

下記いずれかの場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、「株式の発行又は自己株式の処分」をやめることを請求することができます(210条)。

  1. 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
  2. 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合

この募集株式の発行の差止請求裁判外で行うことも可能です。

新株発行等の無効の訴え

違法・不当な募集株式の発行において、発行差止請求ができるのは、払込期日の前までです。払込が終わってしまうと、株式発行の効力が生じてしまうので、その後は、発行差止請求はできません。

この場合、「新株発行等の無効の訴え」や「新株発行等の不存在確認の訴え」を行うことができます。

無効原因

どういった場合に無効原因となるかについては、会社法で規定されません。

判例では、下記のような場合に無効原因となるとしています。

  • 発行可能株式総数を超えて新株発行が行われた場合
  • 募集事項の通知・公告を行わずに新株の発行が行われた場合(最判平9.1.28)
  • 新株発行差止めの仮処分を無視して、新株を発行した場合(最判平5.12.16)

提訴期間

新株発行等の無効の訴えは、新株発行の効力が生じた日から6か月以内非公開会社の場合、1年以内)に訴えをもってのみ主張できます。

裁判外で主張することはできないので注意しましょう!

提訴権者

新株発行等の無効の訴えは、株主、取締役、監査役等です。

会社の債権者新株発行等の無効の訴えを提起できません

無効判決の効果

新株発行等の無効の訴えについて、認容の判決(無効判決)となった場合、無効判決の効果は第三者に対しても効力を生じます838条)。

また、無効判決の効果は、将来に向かってその効力を失います(839条)。

新株発行等の不存在確認の訴え

新株発行の手続きが全くなされていない場合等のように新株発行の実態がない場合、新株発行等の不存在確認の訴えの対象となります。

提訴期間

これは、新株発行をしていないというように、手続きの瑕疵の程度が重いので、提訴期間に定めはありません。つまり、いつでも主張できます(裁判外でもOK)。

提訴権者

新株発行の不存在確認の訴えは、会社法上、誰でも、提訴できます。

不存在確認の判決の効果

第三者に対してもその効力を生じます838条)。

しかし、無効判決の場合と異なり、もともと、株式が発行されていないので、当初にさかのぼって効力を生じます。

新株発行等の「無効確認の訴え」と「不存在確認の訴え」の違い

募集株式の発行(株主割当と第三者割当)

企業が発展していくために、新たに資金を必要とする場合があります。そのような場合、募集株式を発行したり、社債を発行したりします。

ここでは、募集株式の発行について解説していきます。

募集株式の発行の方法

募集株式を発行する場合、新たに株式引受人を募集し、その払込金により資金を調達してもらいます。この場合、株式引受人に割り当てる株式について、①新たに株式を発行する場合②自己株式を処分する(売却する)場合の2つがあります。

そして、募集株式の発行については、「公開会社と非公開会社」、「株主割当てと第三者割当」で手続きが異なります。

この手続きが行政書士の試験で出題されるのでしっかり頭に入れましょう!

第三者割当の手続き

第三者割当とは、既存株主でない別の人を募集して、その人に株式を割当てるものです。

公開会社の場合

公開会社が、第三者割当により募集株式の発行を行う場合、募集事項の決定を原則として取締役会で決議して行います(199条2項)。

ただし、募集株式の払込金額が特に有利な金額である場合(例えば、安い価格で株式を割当てる場合)は、既存株主は文句をいうでしょう。そのため、株主総会の特別決議が必要です。

非公開会社の場合

非公開会社では、株主総会の特別決議が必要です(199条2項、309条2項5号)。

非公開会社の株主は、通常、会社の経営権を持つ方が多いです。そのため、第三者割当をして、新たに株主を募集する場合、経営権を揺るがすことにもなりかねないため、株主総会の特別決議を必要としています。

ただし、株主総会の特別決議により、取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)に委任することはできます(200条1項)。

株主割当ての手続き

株主割当てとは、既存の株主に対して、その持株数に応じて募集株式を割当てる権利を与えることを言います。

例えば、株主Aが1万株、株主Bが5000株を持っていたとします。そして、1株あたり、0.5株を与える場合、株主Aは5000株、株主Bは2500株の割当を受けることになります。

この場合、株主Aと株主Bの持株比率は変わらないため、株主として権力に変化はありません。

公開会社の場合

公開会社では、募集事項の決定を取締役会の決議で行います(202条3項3号)。

非公開会社の場合

非公開会社の場合、原則、株主総会の特別決議により行います(202条3項4号、309条2項5号)。

ただし、定款の定めにより、「取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会の決議)による」旨の記載があれば、その定めに従います。

株主割当と第三者割当の対比表

上記内容をまとめると下記の通りです。

単元株(買取請求と売渡請求)

単元株制度の導入

単元株とは、通常の株式取引で売買される売買単位のことで、会社によって異なります。単元株が1株、100株、1000株だったりします。

では、なぜ、100株や1000株をひとまとめにするのでしょうか?

これは株主の管理コストを削減するためです。

例えば、単元株100株の会社Aがあったとし、1株1万円とします。

すると、Aの株を取得するには、最低100株つまり100万円必要です。

もし、単元株が1株だと、1万円から購入することができ、必然と株主の数も増えます。

そうなると、株主総会の際の招集通知を多くの株主に対して行う必要があり、コストがかかってきます。それを解消するために単元株制度があります。

そして、1単元の株式数は、必ず定款で定めておかなければなりません(188条1項)。

また、単元株未満の株主については、市場で株式を売却することができなくなったり、株主総会で議決権を行使できなくなったりします。

つまり、もともと単元株制度を導入する場合、単元株未満の株主は、売却する権利が無くなるなど不利益を被るため、株式併合と同じように、株主総会の特別決議が必要となっています(309条2項11号)。

ちなみに、定款を変更する際は、株主総会の特別決議が必要なので(466条)、そのことからも、上記とのつながりを理解できるはずです。

単元株未満の株主の株式買取請求権

上記の通り、単元株未満の株主は、市場で株式を売却できなくなります。そのため、会社に対して単元株未満の株式を買い取るよう請求できます(192条1項2項)。

これができないと、株主は、投資したお金を回収することができなくなるため、定款によっても買取請求権を排除することはできません(189条2項4号)。

また、一度買取請求権を行使した場合、会社の承諾がない限り、撤回をすることはできません(192条3項)。

単元株未満の株主の売渡請求(買増請求)

売渡請求とは、会社に対して、単元株になるよう売ってください!と請求することです。

これは、定款に定めがある場合にのみ売渡請求を行うことができます

例えば、もともと30株持っており、単元株制度が導入されて、単元株が100株となった。

この場合、この株主は、会社に対して70株を売ってください!と請求することが売渡請求です。

自己株式の消却、株式併合、株式分割、株式無償割当て

株式については、消却したり(消滅させたり)、併合したり(2つ以上の株式を1つに合体させたり)、株式分割(1つの株式を2つに分けたり)、株式無償割当て(新株を発行して、既存株主に無償でプレゼント)したりできます。

自己株式の消却

株式の消却とは、会社が保有する株式を消滅させることを言います。他人が持っている株式を消滅させることはもちろんできません。自己株式についてのみ消却ができます。

自己株式の消却は、下記手続きで償却する自己株式の数を定めて行います(178条)。

  • 取締役会設置会社取締役会の決議
  • 取締役会非設置会社:取締役の過半数で決議

※自己株式とは、株式会社自身が保有する、自社の株式。

株式併合

株式の併合(へいごう)とは、数個の株式を合わせてそれよりも少ない株式にすることを言います(180条)。

例えば、10株を1株にしたり、2株を1株にすることが株式併合です。

これにより、最低出資額の引き上げを行うことができ、株主管理コストを抑えることができます。

例えば、もともと1株1万円だったものを、10株を1株に併合すると、1株10万円となります。

これまで、最低1万円で出資できたのですが、併合後は、最低10万円ないと出資できません。そうなると、必然と株主の株も減ります。それにより、株主の管理を楽にすることができます。

10株を1株にするということは、もともと5株しか持っていない人は、株主の地位を失うこととなります。つまり、株主の権利利益に関わる重要なことなので、株式併合を行うには、株主総会の特別決議が必要となります(309条2項4号)。

株主総会の特別決議とは?

議決権をもつ株主の過半数を定足数とし(過半数の出席により)、出席した者の3分の2以上の賛成によって成立する。

株式分割

株式の分割とは、既存の株式を細分化して、従来よりも多数の株式とすることを言います(183条1項)。

例えば、1株を10株にしたりすることが株式分割です。

これにより、高騰しすぎた株式の株価の引き下げを行うことができ、(最低出資額の引き下げを行うことができ)、株式の流動性を高めることができます。

例えば、もともと1株100万円だった場合、1株を100株に分割することで、1株1万円となり、取引がしやくするなるわけです。

ちなみに、既存株主の利益に実質的な影響はありません。例えば、もともと1株(100万円)持っていた場合、株式分割により、1万円の株を100株持つこととなり、分割前も後も100万円分の株式を持つからです。

既存株主の権利利益に影響はないことから、下記手続きにより株式分割を行えます(183条2項)。

  • 取締役会設置会社:取締役会の決議
  • 取締役会非設置会社:株主総会の普通決議

株主総会の普通決議とは?

議決権を持つ株主の過半数を定足数とし、出席株主の過半数の賛成によって成立する。

株式無償割当て

株式の無償割当てとは、既存株主に対して、無償で新株の割当をすることを言います(185条)。

定款に別段の定めがない場合に限り、その都度、下記手続きによって株式の無償割当を行います(186条3項)。

  • 取締役会設置会社:取締役会の決議
  • 取締役会非設置会社:株主総会の普通決議

株式分割と株式無償割当の違い

株式分割 株式無償割当
同一の種類の株式が増加する 同一または異なる種類の株式を割り当てることができる
自己株式の数も増加する 自己株式には割当てができない
自己株式も分割される 自己株式にも割当てができる

自己株式とは、株式会社自身が保有する、自社の株式。

株式の譲渡

株式の譲渡とは、「株主たる地位」を意思表示に基づいて移転することを言います。

例えば、株主Aが、自己所有の株式をBに売却した場合、株主たる地位がBに移転するため、Bが株主となるわけです。

株式譲渡自由の原則

株式は、自由に譲渡できるのが原則です(127条)。

株式譲渡の制限

上記の通り、株式は自由に譲渡できるのが原則ですが、下記4つの場合には譲渡が制限されます。

  1. 定款に譲渡制限の定めがある場合
  2. 権利株の場合
  3. 株券発行前の場合
  4. 子会社が親会社株式を取得する場合

定款に譲渡制限の定めがある場合

発行する全部または一部の株式の内容として、譲渡による株式取得に会社の承認を要する旨を定款に定めることができます。

これを譲渡制限株式と言います。

そして、発行する全部の株式が、譲渡制限株式である会社を「非公開会社」といい

譲渡制限株式がない会社または、一部の株式の内容が譲渡制限が付いている会社を「公開会社」と言います。

非公開会社とは、中小零細企業といったイメージで、公開会社は、上場している大企業といったイメージです。

権利株の場合

権利株とは、会社成立前または新株発行前の株式のことです。

会社が成立するまでは、株式を引き受ける権利があるだけで、まだ株主にはなっていません。つまり、株主になる権利(権利株)だけを持っている状況です。

この権利株の譲渡は、当事者間では有効ですが、会社に対しては対抗することはできません35条50条2項、208条4項)。

株券発行前の場合

株券発行会社では、株券発行前に株式の譲渡が可能です。この場合、当事者間では有効ですが、会社に対しては対抗することはできません。(128条2項)

ただし、株券の発行事務について会社側に責任があって株券を発行してなかった場合、会社は、株券の譲受人を株主として取り扱わなければなりません(最判平47.11.8)。

子会社が親会社株式を取得する場合

子会社は、原則、親会社の株式を取得することができません(135条)。

例外的に、子会社が親会社の株式を適法に取得した場合、子会社は相当の時期に保有する親会社の株式を処分しなければなりません(135条3項)。

例えば、親会社A、子会社Bとします。
子会社Bが、ある会社Xを買収したところ、Xが親会社Aの株式を保有しており、買収した結果、子会社Bが、親会社Aの株式を取得してしまった場合です。

親会社・子会社とは?

株式会社Bが、「株式会社Aの総株主の議決権の過半数」を有していた場合、株式会社Aは、株式会社Bの子会社となります。

一方、親会社とは、子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人を言います。つまり上記事例で言えば、株式会社Bが、株式会社Aの経営を支配しているといえるので、株式会社Bが親会社です。

 

株券と株主名簿

株券

株券とは、株主であることを証明するための有価証券です。

そして、株券は原則、発行しません。ただし、例外として、定款で、株券を発行する旨の定めがある場合に発行できます(214条)。そして、

株券を発行する会社を「株券発行会社」

株券を発行しない会社を「株券不発行会社」

と言います。

株券の発行

株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければなりません(215条1項)。

ただし、公開会社でない(非公開会社である)株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができます215条4項)。

株主名簿

株主名簿とは、会社が作成し、保管する誰が株主かを記した名簿のことです。

株券発行会社の場合、株式取得者は、株主名簿の名義書換をしなければ、会社に対して権利の移転を対抗できません。一方、

株券不発行会社の場合、株式取得者は、会社だけでなく、第三者に対しても対抗できません130条)。

株券発行会社の場合、株券を持っていれば、株主名簿の名義書換がされていなくても第三者に対して対抗できます

会社に名義書き換えを不当に拒絶された場合、名義書換前でも株主であることを会社に対抗できます(最判昭41.7.28)。

株主名簿の閲覧・謄写

株式会社は、株主名簿をその本店株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければなりません(125条1項)。

株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、理由を明らかにして、株主名簿の閲覧請求および謄写請求ができます(125条2項)。

そして、請求があったら、会社は、原則、閲覧・謄写を拒むことはできません125条3項)。

謄写とは、書き写したり、写真で撮ったりすること

ただし、例外として、下記事由に該当する場合は、閲覧・謄写を拒むことができます

  1. 当該請求を行う株主又は債権者(請求者)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
  2. 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
  3. 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
  4. 請求者が、過去2年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

 

種類株式と特別の定めのある株式

株主は平等なので、株式の権利の内容は同じでないといけないのが原則です。

しかし、定款によって、①全部の株式に共通する特別な内容の株式や②内容の異なる2種類以上の株式(種類株式)を発行することもできます。これは、会社や株式の多様なニーズにこたえるためです。

全部の株式に共通する特別な内容の株式

発行する全部の株式に共通する内容として特別な定めを設けることができるのは、下記3つです(107条1項)。

  1. 譲渡制限株式
  2. 取得請求権付株式
  3. 取得条項付株式

種類株式

株式会社は定款で定めることにより、内容のおとなる2種類以上の株式を発行することができます(108条1項)。

  1. 剰余金配当に関する種類株式
  2. 残余財産の分配に関する種類株式
  3. 議決権の制限に関する種類株式
  4. 譲渡制限付種類株式(全部の株式に共通する株式にもできる)
  5. 取得請求権付種類株式(全部の株式に共通する株式にもできる)
  6. 取得条項付種類株式(全部の株式に共通する株式にもできる)
  7. 全部取得条項付種類株式
  8. 拒否権付種類株式
  9. 種類株主総会において取締役または監査役を選任する株式

上記内容を一つ一つ見ていきます。

譲渡制限株式・譲渡制限付種類株式

株式は自由に譲渡できるのが原則です(127条)。しかし、中小企業・零細企業のような家族で経営している会社も多くあり、そのような会社は外部から新しい株主が入って、経営権を握られることを避けたいということもあります。つまり、敵対的買収を避けたいわけです。

このようなニーズにこたえて、株式の全部の内容として、定款で、株式の譲渡を制限することが認められています(非公開会社のみ)。

譲渡制限とは、例えば「譲渡による株式の取得について株式会社の承認を要する」といった内容を定款に記しておきます。

また、譲渡制限株式は、種類株式として発行も可能です。つまり、発行する株式の一部について譲渡制限を設けることもできます(譲渡制限付種類株式)←公開会社でも発行できる

譲渡制限の効果

上記のように「譲渡による株式の取得について株式会社の承認を要する」と定款で定めた場合、譲渡制限株式を譲渡したとしても、譲受人は株式会社に対して、対抗することはできません。つまり、会社の承認がなければ、株主名簿の名義書換を請求できません(133条134条)。

※譲渡制限株式の譲渡について、当事者間では有効です。上記は会社に対して対抗できないだけです。

定款変更による譲渡制限株式

定款の変更により「発行する株式の全部が譲渡制限株式」や「譲渡制限付種類株式」となった場合、反対株式は、会社に対して株式買取請求権が認められています(116条1項1号2号)。

取得請求権付株式・取得請求権付種類株式

株式会社は、発行する株式の全部の内容として、定款で、株主は、会社に対して、取得請求権付株式の取得を請求できる旨を定めることができます。

これは、株主からの請求に基づいて、会社が自己株式を取得する制度です。

つまり、株主が会社に対して「持っている取得請求権付株式を買い取れ!」と請求できるわけです。

そして、取得請求権付株式は、発行する株式の一部の株式についてのみ、取得請求権を付けることも可能です。これを、取得請求権付種類株式と言います。

取得請求権付株式・取得請求権付種類株式を発行するには、定款で、株式1株を取得するのと引き換えに株主に何を与えるのか社債・新株予約権・新株予約権付社債・金銭等)を定める必要があります。

取得条項付株式・取得条項付種類株式

株式会社は、発行する株式の全部の内容として、会社が一定の事由が生じたことを条件に、取得条項付株式(種類株式)を取得することができる旨を定めることができます。

これは、一定事由が生じると、会社が株主に対して、取得条項付株式(種類株式)を売ってください!と強制的に買い取ることができます。

そして、取得条項付株式(種類株式)は、会社が自己株式を消却するために用いられる制度です。

自己株式を消却(株式を消滅させる)することにより、市場に出回っている株式数を減らしたり、株式配当を減らしたりできます。

剰余金配当に関する種類株式

会社が剰余金を配当する場合に、通常の株式(普通株)の1.2倍を配当をもらえるようにしたり(優先株)、普通株の1.8倍しか配当を受けることができないようにしたり(劣後株)できます。

剰余金の配当を全く行わない株式(劣後株)も可能ですが、

「剰余金の配当を受ける権利」及び「残余財産の分配を受ける権利」の、両方を全く与えない種類株式は認められていません105条2項)。

残余財産の分配に関する種類株式

残余財産の分配とは、会社が生産をする場合に、会社債権者に対して分配した残りを、株主で分けることを言います。

残余財産の分配に関する種類株式も、「剰余金配当に関する種類株式」同様、普通株・優先株・劣後株として発行することが可能です。

議決権の制限に関する種類株式

議決権の制限に関する種類株式とは、この議決権制限株式を有する株主は、株主総会における議決権の全部または一部を与えないという内容です。

株主の中には、単に配当金だけが欲しいという人もおり、経営には関わらないという人もいます。そのような場合、議決権を行使できなくても別によいということで、議決権制限株式を与えたりします。その場合、剰余金の配当について優先株を付ければ、その株主は満足します。

公開会社における議決権制限株式

公開会社の場合、「議決権制限株式の数」が「発行済み株式総数」の2分の1を超えたときは、ただちに、「議決権制限株式の数」を「発行済み株式総数」の2分の1以下にするための必要な措置を講じなければなりません(115条)。

全部取得条項付種類株式

全部取得条項付種類株式とは、株主総会の特別決議によってその全部を会社が取得できるという内容の株式です。

取得条項付株式や取得条項付種類株式の場合、一定事由が生じたことを条件に、会社が取得できるという点で異なります。

どういった場合に使うかというと、経営が悪化したけど、新たに資金供給が必要な場合に、全部取得条項付種類株式を取得した後に、その株式を消却して、資本金を一度ゼロ(100%減資)にします。

その後、新株発行を行い資金調達をして企業再生を行うといった場合です。

拒否権付種類株式

拒否権付種類株式が発行されていない場合、株主総会決議や取締役会決議によって、色々なことが決議されます。

一方、拒否権付種類株式が発行されている場合、上記株主総会決議や取締役会決議だけでなく、「拒否権付種類株式の株主だけの株主総会」決議も必要となります。

ここで否決されれば、決議は否決なるわけです。つまり、拒否権を持っていることを意味しています。

種類株主総会において取締役または監査役を選任する株式

この種類株式が発行されている場合、「この種類株式の株式だけの株主総会」で、取締役や監査役を選任することができます

指名委員会設置会社および公開会社では、発行することができない