行政手続法26条:聴聞を経てされる不利益処分の決定

行政手続法26条の内容を理解するためには、聴聞の背景と流れを理解しておく必要があります。この点については、行政手続法13条行政手続法25条までを大まかにでも頭に入れておく必要があります。

ざっくり説明すると、まず、一定の不利益処分を行う場合に、事前に聴聞を行う必要があります。聴聞が必要な不利益処分はこちら>>

そして、主宰者が聴聞の日に、審理を行い、その後、主宰者は、聴聞を終えたら遅滞なく聴聞調書と報告書を、行政庁に提出します。

聴聞調書と報告書」を受け取った行政庁は、この「聴聞調書と報告書」に記載された主宰者の意見を十分に参酌しなければなりません(義務)。

※参酌とは、参考にして取り入れることを言います。

(聴聞を経てされる不利益処分の決定)
行政手続法第26条 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第24条第1項の調書の内容及び同条第3項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

行政手続法25条:聴聞の再開

行政庁は、聴聞の終結後に、何からの事情が発生し、再度、聴聞を行う必要があると認めたときは、行政庁は聴聞の再開を命じることができます

例えば、不利益処分を行うか行わないかに関係する新たな証拠書類を調整庁が手に入れた場合等です。

その場合、行政庁は、主宰者から提出された報告書を返戻(返却)します。

(聴聞の再開)
行政手続法第25条 行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第3項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。第22条第2項本文及び第三項の規定は、この場合について準用する。

行政手続法24条:聴聞調書及び報告書

行政手続法24条の聴聞調書及び報告書は、行政書士試験でも頻出なのでしっかり頭に入れておきましょう!

主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書(聴聞調書)を作成し、
「当事者および参加人の陳述の要旨」を明らかにしなければなりません。

聴聞調書は、聴聞の期日ごとに作成し、審理が行われなかった場合は、聴聞の終結後速やかに作成しなければなりません。

そして、聴聞終結後速やかに報告書を作成し、聴聞調書とともに、行政庁に提出しなければなりません。この点は下図の、⑩の内容です。

聴聞手続きの流れ

聴聞の報告書

聴聞の報告書には、不利益処分の原因となる事実に対する当事者などの主張に理由があるかどうか、主宰者の意見を記載しなければなりません。

つまり、「当事者の主張・反論に理由があるから、不利益処分は不当だと思います!」とか「当事者の主張・反論には理由がないので、不利益処分は妥当だと思います!」といった意見を記載します。

(聴聞調書及び報告書)
第24条 主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3 主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4 当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。

行政手続法23条:不出頭等の場合における聴聞の終結

当事者が、聴聞の日に、出頭しなかったり、陳述書や証拠書類を提出しない場合、主宰者は、「この当事者は、不利益処分に対して言い分・反論はないんだな!」と判断して、聴聞を終了することができます。

※当事者とは、「聴聞の通知を受けた者=不利益処分の名あて人」を言います。

この点については、行政書士試験では、上記内容だけ覚えておけば十分です!

(当事者の不出頭等の場合における聴聞の終結)
第23条 主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、第21条第1項に規定する陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。
2 主宰者は、前項に規定する場合のほか、当事者の全部又は一部が聴聞の期日に出頭せず、かつ、第21条第1項に規定する陳述書又は証拠書類等を提出しない場合において、これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、これらの者に対し、期限を定めて陳述書及び証拠書類等の提出を求め、当該期限が到来したときに聴聞を終結することとすることができる。

行政手続法22条:続行期日の指定

行政手続法22条は、聴聞の審理を延長する場合のルールです。行政書士試験ではあまり出題されませんが、内容的には簡単なので勉強しておいて損はないでしょう!

聴聞の審理を行った結果、もう少し審理を行う必要があると主宰者が判断した場合、主宰者は聴聞の期日を延長できます。

その場合、当事者と参加者に、次回の聴聞の日と場所を通知しなければなりません。ただし、当事者と参加者が聴聞に出頭したときに伝える場合は、通知する必要はなく、その場で告知すればよいです。

行政庁は、当事者と参加人の所在が判明しない場合は、上記通知することができないので、当該行政庁の事務所の掲示場に2週間掲示することで、通知したものとみなします。

(続行期日の指定)
第22条 主宰者は、聴聞の期日における審理の結果、なお聴聞を続行する必要があると認めるときは、さらに新たな期日を定めることができる。
2 前項の場合においては、当事者及び参加人に対し、あらかじめ、次回の聴聞の期日及び場所を書面により通知しなければならない。ただし、聴聞の期日に出頭した当事者及び参加人に対しては、当該聴聞の期日においてこれを告知すれば足りる。
3 第15条第3項の規定は、前項本文の場合において、当事者又は参加人の所在が判明しないときにおける通知の方法について準用する。この場合において、同条第3項中「不利益処分の名あて人となるべき者」とあるのは「当事者又は参加人」と、「掲示を始めた日から二週間を経過したとき」とあるのは「掲示を始めた日から二週間を経過したとき(同一の当事者又は参加人に対する二回目以降の通知にあっては、掲示を始めた日の翌日)」と読み替えるものとする。

行政手続法21条:陳述書等の提出

上図をご覧ください。行政庁は、不利益処分を行う前に、①当事者に対して、聴聞の通知を行います。その後、②行政庁は、職員の中から主宰者(聴聞の運営を行う者)を指名します。また、③行政庁は必要に応じて、参加人の参加許可を行います。

そうすると、当事者と参加人は、聴聞に参加して、不利益処分に対して意見を主張する機会を得ます。そして、行政手続法21条では、聴聞に出席する代わりに、陳述書や証拠書類の提出を行って、自らの意見を主張する方法が認められています。

聴聞における陳述書とは?

陳述書とは、行政庁の不利益処分に対する「言い分や反論」を記載した書面を指します。

行政書士試験では、出題される可能性も高く、内容も易しいのでしっかり頭に入れておきましょう!

(陳述書等の提出)
第21条 当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
2 主宰者は、聴聞の期日に出頭した者に対し、その求めに応じて、前項の陳述書及び証拠書類等を示すことができる。

行政手続法20条:聴聞の期日における審理の方式

行政手続法20条は、聴聞手続きの中心となる部分です。実際、聴聞手続きがどのように行われるかが規定されています。そして、内容自体も多いので、一つ一つ頭に入れていきましょう。聴聞手続きの流れの①~④はそれぞれ、下記リンクから学習していただき、本ページでは、⑤聴聞の主宰・審理~⑨意見陳述の要請、証拠書類の提出要請までの内容を解説します。

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

③参加人の許可はこちら>>>

④文書の閲覧請求はこちら>>>

⑤聴聞の主宰および審理

⑥まず、初めに、最初の聴聞の日に、主宰者が、行政庁の職員に、「予定される不利益処分の内容」及び「根拠となる法令の条項」並びに「その原因となる事実」を説明させます。つまり、出頭した行政庁の職員が説明します。

⑦当事者又は参加人は、聴聞の日に出頭して、意見を述べたり(口頭意見陳述)、証拠書類等を提出したり、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問したりできます。

【注意点】「意見を述べること」「証拠書類を提出すること」は主宰者の許可は不要ですが、行政庁職員に対する質問は主宰者の許可が必要です。

⑧当事者又は参加人は、聴聞の日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出することができます。

⑨主宰者は、必要があると認めるときは、
「当事者若しくは参加人」に対し質問をしたり
意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促したり
行政庁の職員に対し説明を求めたりすることができます。

聴聞は公開?それとも非公開?

原則 聴聞の審理は非公開
例外 行政庁が公開することを相当と認めるときは、聴聞の審理を公開

(聴聞の期日における審理の方式)
行政手続法第20条 主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3 前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5 主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。
6 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

行政手続法19条:聴聞の主宰


ここで解説するのは、聴聞手続きの「②主宰者の指名」です。

①当事者の通知はこちら>>

聴聞手続きの流れ

主宰者

聴聞の主宰者については、行政手続法17条でも解説しましたが、ここで再復習します。

聴聞は行政庁が指名する職員・その他政令で定める者が主宰します。

行政書士試験では「行政庁が指名する職員」が聴聞を主宰する点が出題されます。

そして、不利益処分を担当した者も主宰者になれるので注意しましょう。

上記「その他政令で定める者」については、分からなくても問題ございません。

聴聞の主宰者になれない者

① 当該聴聞の当事者又は参加人
② ①の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
③ ①の代理人又は補佐人
④ 以前①~③であった者
⑤ ①の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
⑥ 参加人以外の関係人

※「当事者」とは、「聴聞の通知を受けた者」=「不利益処分の名あて人」のことです。

(聴聞の主宰)
第19条 聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない。
一 当該聴聞の当事者又は参加人
二 前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
三 第一号に規定する者の代理人又は次条第三項に規定する補佐人
四 前三号に規定する者であった者
五 第一号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
六 参加人以外の関係人

行政手続法18条:文書等の閲覧

行政手続法18条の「聴聞における文書等の閲覧請求」については、行政書士試験の行政手続法でも出題される部分です。注意点もありますので、しっかり頭に入れておきましょう!

また、下図から、聴聞手続きの流れのどの部分を勉強しているかも分かるようにしておきましょう!

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

③参加人の許可はこちら>>>

当事者および参加人は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結するまでの間、調整庁に対し、当該事案についてした「調査結果に関する調書」や「不利益処分の原因となる事実を証する資料」の閲覧を請求することができます(文書の閲覧請求)。

この文書の閲覧請求に対し、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるとき正当な理由がなければ、閲覧を拒むことはできません。

原則 行政庁は、事案についてした調査の結果・調書その他の資料などの閲覧を拒むことができない。
例外 第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、行政庁は文書などの閲覧を拒むことができる。
【注意点】理由の提示は不要

(文書等の閲覧)
第18条 当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第24条第3項において「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 前項の規定は、当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。
3 行政庁は、前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。

行政手続法17条:聴聞の参加人・主宰者

行政手続法17条については、「聴聞の参加人」についての内容ですが、「主宰者」についても合わせて勉強します。参加人とは?主宰者とは?基本的な内容なので、頭に入れておきましょう!この参加人や主宰者の定義が行政書士試験で出題されることはあまりないですが、当然知っていることを前提として出題されるので、参加人と主宰者がどういった人かは分かるようにしておきましょう!

参加人とは?

聴聞手続で登場する人物の一人として「参加人」がいます。参加人とは、「当事者以外の者で、不利益処分につき利害関係を有する者のうち、聴聞手続に参加する者を指します。例えば、大規模な工場について操業停止処分(不利益処分)がなされた場合、工場に勤務していた従業員は利害関係人と言えます。

そして、この利害関係人が参加人になるためには、主宰者の職権または主宰者の許可が必要です。主宰者の職権および主宰者が許可がない場合、利害関係人であっても、聴聞に参加することができません。

参加人も、当事者同様、代理人を選任でき、当事者の規定(聴聞の代理人の資格の証明聴聞の代理人が行える行為)が適用されます。

主宰者とは?

主宰者とは、行政庁が指名する職員その他政令で定める者を指します。

つまり、不利益処分を行った行政庁が、指名した担当者が主宰者です。

簡単に言えば、聴聞手続きの司会者・運営者といったイメージです。

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

(参加人)
行政手続法第17条 第19条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第2項第6号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
2 前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、代理人を選任することができる。
3 前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは、「参加人」と読み替えるものとする。