平成23年・2011|問17|行政事件訴訟法

執行停止についての内閣総理大臣の異議についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 内閣総理大臣の異議は、裁判所による執行停止決定の後に述べなければならず、決定を妨げるために決定以前に述べることは許されない。
  2. 内閣総理大臣の異議は、下級裁判所による執行停止決定に対するものでも、最高裁判所に対して述べることとされている。
  3. 内閣総理大臣の異議が執行停止決定に対して述べられたときは、その理由の当否について裁判所に審査権限はなく、裁判所は、必ず決定を取り消さなければならない。
  4. 内閣総理大臣が異議を述べたときは、国会に承認を求めなければならず、これが国会によって否決された場合には、異議を取り消さなければならない。
  5. 内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあり、実際にも用いられた例が少ないため、他の抗告訴訟における仮の救済手続には準用されていない。

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【答え】:3【解説】

1.内閣総理大臣の異議は、裁判所による執行停止決定の後に述べなければならず、決定を妨げるために決定以前に述べることは許されない。
1・・・妥当ではない
執行停止の申立てがあった場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができます。執行停止の決定があった後においても、同様に、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができます行政事件訴訟法27条)。よって、内閣総理大臣の異議は、決定以前に述べることも許されるので妥当ではないです。

2.内閣総理大臣の異議は、下級裁判所による執行停止決定に対するものでも、最高裁判所に対して述べることとされている。
2・・・妥当ではない
内閣総理大臣が異議を述べる裁判所は

  • 執行停止の決定前の異議 → 申立てのあった裁判所に対して
  • 執行停止の決定後の異議 → 決定をした裁判所

よって、本肢の「下級裁判所による執行停止決定に対するもの」は「当該下級裁判所」に対して異議を述べなければなりません。

したがって、妥当ではないです。

3.内閣総理大臣の異議が執行停止決定に対して述べられたときは、その理由の当否について裁判所に審査権限はなく、裁判所は、必ず決定を取り消さなければならない。
3・・・妥当
内閣総理大臣の異議があったときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければなりません行政事件訴訟法27条4項)。よって、本肢は正しいです。

4.内閣総理大臣が異議を述べたときは、国会に承認を求めなければならず、これが国会によって否決された場合には、異議を取り消さなければならない。
4・・・妥当ではない
内閣総理大臣が異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければなりません(行政事件訴訟法27条6項)。国会への事後報告だけでよく国会の承認は不要です。

よって、妥当ではないです。

5.内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあり、実際にも用いられた例が少ないため、他の抗告訴訟における仮の救済手続には準用されていない。
5・・・妥当ではない
内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあるが、
仮の義務付け及び仮の差止め」についても、執行停止と同様の機能を有するため、準用しています行政事件訴訟法37条の5の4項)。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問16|行政事件訴訟法

A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、2,000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)をなした。この場合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。
  2. 収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、抗告訴訟である。
  3. Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟を提起すべきこととなる。
  4. Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。
  5. 収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服であるとしても、行政機関相互の争いで、法律上の争訟には当たらないから、B市が出訴することは許されない。

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【答え】:4【解説】

1.Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。
1・・・妥当ではない
Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなり、この訴訟は、抗告訴訟の一種である取消訴訟です(土地収用法133条1項、行政事件訴訟法3条1項)。
したがって、「形式的当事者訴訟」は誤りです。。
2.収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、抗告訴訟である。
2・・・妥当ではない
収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、争点訴訟(民事訴訟)です(行政事件訴訟法45条)。
したがって、抗告訴訟ではありません。

3.Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟を提起すべきこととなる。
3・・・妥当ではない
Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、B市を被告として、損失補償を増額する裁決を求める「形式的当事者訴訟」を提起すべきです(土地収用法133条2項、3項、行政事件訴訟法4条)。したがって、「A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟」は誤りです。

4.Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。
4・・・妥当
収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に提起しなければなりません(土地収用法133条2項)。よって、本肢は妥当です。

5.収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服であるとしても、行政機関相互の争いで、法律上の争訟には当たらないから、B市が出訴することは許されない。
5・・・妥当ではない
収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服である場合、Xを被告として、減額請求の訴え(形式的当事者訴訟をすることはできます。よって、本肢は誤りです。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問13|行政手続法

行政手続法の定める用語の定義についての次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分 : 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの。
  2. 不利益処分 : 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
  3. 届出 : 行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。
  4. 行政指導 : 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定又は不特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。
  5. 審査基準 :  申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。

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【答え】:5【解説】

1.処分 : 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの。
1・・・誤り
処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(行政手続法2条2号)。よって、「審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの」が誤りです。

2.不利益処分 : 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
2・・・誤り
不利益処分」とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、申請に対する拒否処分は除きます行政手続法2条4号ロ)。よって、「又は申請を拒否する処分」が誤りです。

3.届出 : 行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。
3・・・誤り
届出」とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいいます(行政手続法2条7号)。本肢は「行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」が誤りです。

「行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」は「申請」に当たります。

4.行政指導 : 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定又は不特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。
4・・・誤り
行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号)。本肢は「不特定の者」が誤りです。
不特定の者に対する指導等は行政指導には当たりません

5.審査基準 :  申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。
5・・・正しい
審査基準」とは、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいいます(行政手続法2条8号ロ)。よって、本肢は正しいです。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問14|行政不服審査法

行政不服審査法に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 行政不服審査制度は「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としているので、同法に基づく不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られる。
  2. 行政不服審査制度は行政権自身が自己の行為を見直すしくみであるので、行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも、当該違法について不服申立てを行うことができる。
  3. 行政不服審査の代理人となるには、法定の資格が必要とされるので、不服申立ての代理人は、当該資格を有する者であることを書面で証明しなければならない。
  4. 申立人について補佐が必要とされることがあるので、審理員は、申立人から口頭意見陳述において補佐人を同行したい旨の申し出があった場合には、これを許可することができる。
  5. 行政不服審査制度は「行政の適正な運営を確保する」ことを目的としているので、不服申立ての結果によって行政運営上の影響を受ける可能性のある関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている。

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【答え】:4【解説】

1.行政不服審査制度は「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としているので、同法に基づく不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られる。
1・・・妥当ではない
行政不服審査法について、外国籍の者を排除する規定はありません。よって、本肢は誤りです。ちなみに、行政不服審査法の目的は下記の通りです。

行政不服審査法1条
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

2.行政不服審査制度は行政権自身が自己の行為を見直すしくみであるので、行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも、当該違法について不服申立てを行うことができる。
2・・・妥当ではない
行政不服審査法における原告適格(誰が不服申し立てをすることができるか)については、判例によると、「法律上保護された利益を有する者」としています。したがって「誰でも不服申し立てを行うことができる」は誤りです。

3.行政不服審査の代理人となるには、法定の資格が必要とされるので、不服申立ての代理人は、当該資格を有する者であることを書面で証明しなければならない。
3・・・妥当ではない
審査請求は、代理人によってすることができます(行政不服審査法12条)。そして、代理人の資格については、規定されていない(誰でも代理人になることができる)ので、「法定の資格が必要」は誤りです、
もちろん、代理人は委任状といった書面は必要です。

4.申立人について補佐が必要とされることがあるので、審理員は、申立人から口頭意見陳述において補佐人を同行したい旨の申し出があった場合には、これを許可することができる。
4・・・妥当
口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます(行政不服審査法31条3項)。
よって本肢は妥当です。

5.行政不服審査制度は「行政の適正な運営を確保する」ことを目的としているので、不服申立ての結果によって行政運営上の影響を受ける可能性のある関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている。
5・・・妥当ではない
利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができます(行政不服審査法13条1項)。この利害関係人に「関係行政機関」は含まれません。したがって、「関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている」は妥当ではありません

関係行政機関の参加が認められているのは「行政事件訴訟」の場合です(行政事件訴訟法23条)。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問12|行政手続法

行政手続法に規定されている内容についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 不利益処分について行政機関が定める処分基準は、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
  2. 行政機関が行政指導指針を定めるときには、これが行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない。
  3. 行政機関が法律に基づく命令を定める場合には、当該命令がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
  4. 行政機関は、不利益処分について処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
  5. 行政機関は法律に基づく命令を定めた後においても、当該命令の実施状況や社会経済情勢の変化等を勘案し、その内容について検討を加えるよう努めなければならない。

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【答え】:2【解説】

1.不利益処分について行政機関が定める処分基準は、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
1・・・正しい
行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければなりません(行政手続法12条2項)。

2.行政機関が行政指導指針を定めるときには、これが行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない。
2・・・誤り
命令等制定機関は、命令等(行政指導指針も含む)を定めようとする場合には、当該命令等の案等を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。
上記公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければなりません(同条2項)。よって、「行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない」は誤りです。

命令等(行政指導指針等)を定める場合、原則として、意見公募手続きは必要です。

3.行政機関が法律に基づく命令を定める場合には、当該命令がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
3・・・正しい
命令等を定める機関(命令等制定機関)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければなりません行政手続法38条)。よって、本肢は正しいです。

4.行政機関は、不利益処分について処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
4・・・正しい
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません行政手続法12条1項)。
よって、本肢は正しいです。ちなみに審査基準については必ず定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き公にしておかなければなりません行政手続法5条1項3項)。

5.行政機関は法律に基づく命令を定めた後においても、当該命令の実施状況や社会経済情勢の変化等を勘案し、その内容について検討を加えるよう努めなければならない。
5・・・正しい
命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければなりません行政手続法38条2項)。
よって、本肢は正しいです。

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平成23年・2011|問11|行政手続法

次の記述のうち、行政手続法に規定されている内容として正しいものはどれか。

  1. 行政庁は、申請に対する拒否処分及び不利益処分のいずれの場合においても、これを書面でするときは、当該処分の理由を書面で示さなければならない。
  2. 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、聴聞の期日及び場所を通知しなければならないが、差し迫った必要がある場合には、書面によらず口頭でこれを行うことができる。
  3. 行政庁は、申請に対する処分については、審査基準を定めるものとされ、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない。
  4. 弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が弁明を記載した書面ですることを認めたときを除き、口頭で行うものとされている。
  5. 行政庁は、申請に係る審査が標準処理期間を超える場合には、申請者および利害関係者に対して、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを書面で通知しなければならない。

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【答え】:1【解説】

1.行政庁は、申請に対する拒否処分及び不利益処分のいずれの場合においても、これを書面でするときは、当該処分の理由を書面で示さなければならない。
1・・・正しい
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、原則、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません。そして拒否処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければなりません(行政手続法8条)。また、行政庁は、不利益処分をする場合には、原則、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければなりません。そして、不利益処分を書面でするときは、理由は、書面により示さなければなりません(行政手続法14条)。よって、本肢は正しいです。

2.行政庁は、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、聴聞の期日及び場所を通知しなければならないが、差し迫った必要がある場合には、書面によらず口頭でこれを行うことができる。
2・・・誤り
行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、一定事項を書面により通知しなければなりません(行政手続法15条1項)。
口頭で聴聞の通知ができる旨の規定はないので誤りです。

3.行政庁は、申請に対する処分については、審査基準を定めるものとされ、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない。
3・・・誤り
行政庁は、審査基準を定めなければらず、行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません(行政手続法5条1項3項)。本肢のように「申請に対する処分について、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない」という規定はありません
よって、誤りです。

4.弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が弁明を記載した書面ですることを認めたときを除き、口頭で行うものとされている。
4・・・誤り
弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出して行わなければなりません(行政手続法29条)。よって、本肢は「原則口頭、例外的に書面」となっているので誤りです。
正しくは「原則書面、例外的に口頭」です。

5.行政庁は、申請に係る審査が標準処理期間を超える場合には、申請者および利害関係者に対して、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを書面で通知しなければならない。
5・・・誤り
行政手続法では、「標準処理期間を超える場合の処理の仕方」について規定していません
よって、本肢は誤りです。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問10|行政法

次のア~オのうち、伝統的に行政裁量が広く認められると解されてきた行政行為の組合せとして、最も適切なものはどれか。

ア.道路交通法に基づく自動車の運転免許

イ.電気事業法に基づく電気事業の許可

ウ.建築基準法に基づく建築確認

エ.食品衛生法に基づく飲食店の営業許可

オ.公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許

  1. ア・オ
  2. イ・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3【解説】

行政講学上の「特許」は行政裁量が広く「許可」は、行政裁量が狭く「確認」は行政裁量がないと解されています。

ア.道路交通法に基づく自動車の運転免許
ア・・・広く認められてはいない
自動車の運転免許は「許可」に当たります。
よって、行政裁量は狭いため、広く認められてはいません。
イ.電気事業法に基づく電気事業の許可
イ・・・広く認められている
電気事業の許可は「特許」に当たります。
よって、行政裁量は広く認められています
ウ.建築基準法に基づく建築確認
ウ・・・広く認められてはいない
建築確認は「確認」に当たります。
よって、行政裁量はありません
したがって、広く認められてはいません。
エ.食品衛生法に基づく飲食店の営業許可
エ・・・広く認められてはいない
飲食店の営業許可は「許可」に当たります。
よって、行政裁量は狭いため、広く認められてはいません。
オ.公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許
オ・・・広く認められている
公有水面の埋立免許は「特許」に当たります。
よって、行政裁量は広く認められています

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問9|行政法

行政立法についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
  2. 各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
  3. 内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
  4. 各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
  5. 政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。

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【答え】:2【解説】

1.省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
1・・・妥当ではない
各省大臣は、主任の行政事務について、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。
一方、内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定します(憲法73条6号)。
また、内閣は、閣議によって職権を行います(内閣法4条)。つまり、本肢は「内閣総理大臣」が誤りで、

「政令は、内閣が閣議を経て発することとされている」が正しいです。

2.各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
2・・・妥当
各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、規則その他の特別の命令を自ら発することができます(国家行政組織法13条1項)。
よって、本肢は正しいです。
3.内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
3・・・妥当ではない
内閣府の長は、内閣総理大臣です(内閣府設置法6条)。
よって、「内閣官房長官」は妥当ではありません。また、内閣総理大臣は、「内閣府の命令である内閣府令」を発することができます。

4.各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
4・・・妥当ではない
各省大臣各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができます(国家行政組織法14条1項)。告示とは、公の機関が決定した事項を公式に一般に知らせることをいいます。
そして、告示の方法は、国の場合は官報に、地方公共団体の場合は公報で行います。

そして、高等学校学習指導要領(告示の一種)は、法規としての性質を有する、とした判例もあります。
よって、「これ(告示)が法規としての性格を有することはない」は妥当ではありません。

5.政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。
5・・・妥当ではない
政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができません憲法73条6号)。また、
省令には、法律の委任がなければ罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません国家行政組織法12条3項)。

つまり、前半部分は正しいです。

各庁の長や各委員会が発する規則には、法律の委任がなければ罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません国家行政組織法13条2項)。

よって、後半部分が妥当ではありません。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問8|行政法

行政の実効性確保の手段についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 行政上の義務履行の確保に関しては、行政代執行法が一般法とされ、別に法律で定めるところを除いては、この法律の定めるところによる。
  2. 条例に基づく命令によって課された義務を相手方が履行しない場合には、代執行等の他の手段が存在しない場合に限り、地方公共団体は民事訴訟によりその履行を求めることができる、とするのが判例である。
  3. 食品衛生法に基づく保健所職員による立入検査に際して、受忍義務に反してこれを拒否する相手方に対しては、職員は、実力を行使して調査を実施することが認められる。
  4. 法令上の義務に違反した者について、その氏名や違反事実を公表することは、義務違反に対する制裁と解されるので、行政手続法上、聴聞の対象とされている。
  5. 義務違反に対する課徴金の賦課は、一種の制裁であるから、罰金などの刑罰と併科することは二重処罰の禁止に抵触し、許されない。

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【答え】:1【解説】

1.行政上の義務履行の確保に関しては、行政代執行法が一般法とされ、別に法律で定めるところを除いては、この法律の定めるところによる。
1・・・妥当
行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによります(行政代執行法1条)。
つまり、行政上の義務履行の確保に関しては、行政代執行法が一般法で、別に法律がある場合は、その法律が特別法となります。

2.条例に基づく命令によって課された義務を相手方が履行しない場合には、代執行等の他の手段が存在しない場合に限り、地方公共団体は民事訴訟によりその履行を求めることができる、とするのが判例である。
2・・・妥当ではない
条例に基づく命令によって課された義務を相手方が履行しない場合について判例によると
「国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできないから、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではなく、法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許されるものと解される。」
と判示しています。

つまり、地方公共団体は、条例に基づく命令違反を理由に原則、民事訴訟を提起することはできません
法律に特別な規定がある場合に限って、例外的に民事訴訟を提起できます

よって、本肢は誤りです。

3.食品衛生法に基づく保健所職員による立入検査に際して、受忍義務に反してこれを拒否する相手方に対しては、職員は、実力を行使して調査を実施することが認められる。
3・・・妥当ではない
当該職員の臨検検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを50万円以下の罰金に処されます(食品衛生法75条1号)。
食品衛生法において、職員が、実力を行使して調査を実施することを認めた規定はないので妥当ではないです。
4.法令上の義務に違反した者について、その氏名や違反事実を公表することは、義務違反に対する制裁と解されるので、行政手続法上、聴聞の対象とされている。
4・・・妥当ではない
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、意見陳述の手続(聴聞または弁明の機会の付与)を執らなければなりません(行政手続法13条)。本肢の「法令上の義務違反者について、その氏名や違反事実を公表すること」は、行政手続法上の不利益処分には該当しません

そのため、聴聞や弁明の機会の付与などの意見陳述の手続きは不要です。

したがって、妥当ではありません。

5.義務違反に対する課徴金の賦課は、一種の制裁であるから、罰金などの刑罰と併科することは二重処罰の禁止に抵触し、許されない。
5・・・妥当ではない
最判平10.10.13の判例によると、
「義務違反者に対する課徴金の賦課」と「刑罰」の併科は、その目的が異なるため、二重処罰の禁止に抵触しない、としています。「義務違反者に対する課徴金の賦課」は「違法に得た利益を行政的に没収することを目的」で、

「刑罰」は「行政上の義務違反に対する制裁が目的」です。

よって、併科も許されます

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問7|憲法・法の下の平等

次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、妥当なものはどれか。

被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。

本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、法律上他の事由に基づく選挙と異なつた取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。

(東京高判昭和59年10月19日行集35巻10号1693頁以下)

  1. この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場にたっている。
  2. 内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。
  3. この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。
  4. 本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。
  5. この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】

被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。

本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、法律上他の事由に基づく選挙と異なつた取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。

上記を分かりやすく解説すると、

  1. 「内閣の衆議院解散権の行使に基づいて、選挙は行われる」ということは誰もが知る事実です。
  2. 一票の較差の是正を行うべき合理的期間は、合理的に十分だと判断できる期間内にすべきである
  3. だから、その期間が経過した以上、憲法に違反するものといわざるをえない。
  4. 上記期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、無効である。
  5. その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは仕方がない。
  6. 上記とは逆に、「内閣の解散権を確保するため」に、上記無効である選挙を、あえて、有効にすることは本末転倒だから、非難されるであろう。
1.この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場にたっている。
1・・・妥当ではない
上記解説の通り、「衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ」とは言っていません。
よって、妥当ではないです。
2.内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。
2・・・妥当ではない
選挙の効力に関する訴訟は、高等裁判所が第一審を管轄します(公職選挙法217条)、本肢の事案は「高等裁判所の判決文」の一節なので、本件は「第一審判決」です。
よって、妥当ではないありません。
3.この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。
3・・・妥当ではない
「政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ」とは言っていません。選挙自体無効なのだから、内閣の解散権が事実上制約されても仕方がない、と言っています。
よって、妥当ではないです。

4.本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。
4・・・妥当ではない
公職選挙法の定める選挙訴訟」は「民衆訴訟」です。
よって、妥当ではありません。「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。

5.この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。
5・・・妥当
一番上の解説の2、3から「一票の較差の是正を行うべき合理的期間は、合理的に十分だと判断できる期間内にすべきである

だから、その期間が経過した以上、憲法に違反するものといわざるをえない。

と解説した通り、
この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっています。

よって、妥当です。

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