行政手続法36条:複数の者を対象とする行政指導(行政指導指針)

行政指導指針

行政指導の公平性・信頼性を確保するために、同一の行政目的を実現するため、複数の者に対して行政指導を行う場合は、あらかじめ事案に応じて、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければなりません。

各都道府県にも行政指導指針がありますので、どんなものかを知りたい方は「都道府県名 行政指導指針」と検索すると、色々出てきますので、そちらを参考にしてみてください。

ただ、非常に細かい内容なので、あまり意味が分からないと思います。

行政書士試験で重要な部分は下記注意点なので、この部分はしっかり頭に入れておきましょう!

【注意点】

  • 複数の者に対して行政指導を行う場合、行政指導指針を定めることは義務
  • 行政指導指針の公表については、原則、公表が必要ですが、例外として、行政上特別の支障がある場合は、公表不要です。

(複数の者を対象とする行政指導)
行政手続法第36条 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。

行政手続法35条:行政指導の方式

行政指導35条の「行政指導の方式」については、2014年に改正された内容を含み、行政指導について書面交付が必要な場合と不要な場合については、間違いやすい部分です。しっかり勉強して、行政書士試験で出題されても得点できるように勉強しましょう!

行政指導の明確化の原則

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

また、許認可等をする権限を行使できる場合、下記内容を示すことが義務付けられています。(2014年改正)

① 権限を行使できる根拠となる法令の条項
② 権限を行使できる要件
③ 権原の行使が上記要件に適合する理由

例えば、行政指導に従わない場合には、「許可の取消しや不許可」等もあり得ると示された場合、その相手方に対して、「許可取消しや不許可」等の根拠となる法令等の条項や理由等を示さなければなりません。この条文により、行政指導の手続の透明性が高まり、不適切な行政指導を防止するとともに、行政指導の相手方の権利利益がより保護されるようになります。

行政指導の書面交付

行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から行政指導の内容を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、原則、書面を交付しなければなりません

ただし、例外として、行政上特別の支障がある場合は、書面交付は不要です。

原則 書面の交付を求められたときは、書面交付が必要
例外 行政上特別の支障がある場合は、書面交付は不要

行政指導で書面交付が不要な場合

上記の通り、行政上特別の支障がある場合は、書面交付は不要ですが、それ以外でも下記の場合は書面交付が不要となります。

① 相手方に対しその場において完了する行為を求める場合
② すでに文書又は電磁的記録(メールなど)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求める場合

(行政指導の方式)
行政手続法第35条 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
2 行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示さなければならない。
一 当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項
二 前号の条項に規定する要件
三 当該権限の行使が前号の要件に適合する理由
3 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
4 前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。
一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの
二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの

行政手続法34条:許認可等に関する行政指導

行政手続法第34条(許認可等に関する行政指導)は、条文の内容がややこしいので、一つ一つかみ砕いて列挙します。そうすると、分かりやすくなります。

下記4つの違いについて細かく理解するよりも、行政機関が許認可を行う場合に、相手方に行政指導を従いことを余儀なくさせるようなことをしてはいけないということです。

  1. 許認可等をする権限」を有する行政機関が、「当該権限を行使することができない場合」においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはなりません
  2. 許認可等をする権限」を有する行政機関が、「当該権限を行使する意思がない場合」においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはなりません
  3. 許認可等に基づく処分をする権限」を有する行政機関が、「当該権限を行使することができない場合」においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはなりません
  4. 許認可等に基づく処分をする権限」を有する行政機関が、「当該権限を行使する意思がない場合」においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはなりません

(許認可等の権限に関連する行政指導)
行政手続法第34条 許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、当該権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合においてする行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせるようなことをしてはならない。

行政手続法33条:申請に関連する行政指導

行政指導で、「申請の取下げてください!」「申請の内容の変更してください!」と求めたにも関わらず、申請者が行政指導に従わない場合があります。

それは、行政道は非権力的な事実行為であり、行政指導に従うかどうかは、行政指導を受けた者の自由だからです。

そして、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明した場合、行政指導に携わる者は、行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはいけません

(申請に関連する行政指導)
行政手続法第33条 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。

行政手続法32条:行政指導の一般原則

行政手続法32条からは、行政指導について勉強していきます。行政指導は、行政法総論でも勉強したので、再度復習しておくとよいでしょう!

行政法総論で勉強した行政指導>>

行政指導とは?

行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものを言います。(行政手続法2条6号

そして、行政手続法32条では、行政指導の一般原則について規定されています。行政指導の一般原則は下記3つです。

行政指導の一般原則

1.任務又は所掌事務の範囲内の行政指導

行政指導を行う行政機関は、当該行政機関の任務または所掌事務の範囲を逸脱してはなりません。言い換えると、任務外・所掌事務(担当事務)外の内容について行政指導はできないということです。

法律で、各行政機関には、それぞれ権限が配分されています。その範囲で行政指導をしなさいということです。

2.行政指導の任意性

そして、行政指導は、非権力的な行為な事実行為です。

非権力的な行為・事実行為とは、義務が発生しない行為を言います。

イメージとしては、行政庁がお願いをするイメージです。このお願いに対して、行政指導を受けた者は従う義務はないです。

言い換えると、行政指導を受けた者が、行政庁のお願いに協力するかどうかは任意だということです。

3.不利益な取扱いの禁止

そして、もし、行政指導に従わなかったとしても、行政庁は、そのことを理由に、不利益な扱いをしてはいけません。つまり、行政庁は、相手方の利益を奪ったり、制裁行為を行ったりしてはいけないです。

第四章 行政指導
(行政指導の一般原則)
行政手続法第32条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政手続法31条:聴聞に関する手続の準用

行政手続法31条では、聴聞の手続きが準用されるものについて規定していますが、行政書士試験では、聴聞手続きが準用されず、聴聞と弁明の機会の付与の手続きの違いの方が重要です。そのため、手続き上の違いをしっかり覚えておきましょう!

目次

弁明の機会の付与も、聴聞の手続きが準用されます。

聴聞の手続きが準用されるもの

行政手続法15条3項を弁明の機会の付与に準用

行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、弁明の機会の付与の通知を、その者の氏名、弁明書の提出先及び提出期限、並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

行政手続法16条を弁明の機会の付与に準用

  1. 弁明の機会の付与の通知を受けた者は、代理人を選任することができる。
  2. 代理人は、各自、当事者のために、弁明の機会の付与に関する一切の行為をすることができる。
  3. 代理人の資格は、書面で証明しなければならない。
  4. 代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。

聴聞と弁明の機会の付与の手続上の違い

聴聞 弁明の機会の付与
文書の閲覧請求権 認められている 認められていない
口頭意見陳述権 認められている 原則、認められない
口頭で意見を述べることを行政庁が認められた場合のみ例外的に認められている
主宰者 行政庁は、主宰者を指名する 主宰者を指名しない

(聴聞に関する手続の準用)
第31条 第15条第3項及び第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。この場合において、第15条第3項中「第1項」とあるのは「第30条」と、「同項第3号及び第4号」とあるのは「同条第3号」と、第16条第1項中「前条第1項」とあるのは「第30条」と、「同条第3項後段」とあるのは「第31条において準用する第15条第3項後段」と読み替えるものとする。

行政手続法30条:弁明の機会の付与の通知の方式

行政手続法29条で、弁明の機会付与は書面審理を行うことを勉強しました。

行政手続法30条では、書面審理を行う上で、行政庁が、不利益処分の名あて人となるべき者に対して、通知しなければならない内容について規定しています。

具体的には、行政庁は、下記内容を、不利益処分の名あて人となるべき者に対して通知します。そして、この通知は、弁明書の提出期限までに相当期間をおいて通知しなけばなりません。言い換えると、弁明の提出期限直前に送ってもだめですよ!ということです。

弁明の機会付与のために行政庁が通知する内容

①予定される不利益処分の内容根拠法令の条項
②不利益処分の原因となる事実
③弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

①とは、例えば、
予定される不利益処分の内容とは、「行政書士に対する戒告」です。
根拠法令の条項とは、「行政書士法第14条の2」です。

②とは、例えば
行政書士の業務として 車庫証明業務を行ってきたが、約9割の依頼について 、受注、車庫調査並びに証明に係る書類の作成及び警察署への提出のすべてを補助者に行わせており、業務には 関与していなかった場合

③とは、例えば、駐車違反の反則金の処分について、反論がある場合、公安委員からいつまでに弁明書を提出してくださいと通知されるので、その期間内に、公安委員会に対して弁明書を提出します。

(弁明の機会の付与の通知の方式)
行政手続法第30条 行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 弁明書の提出先及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)

行政手続法29条:弁明の機会の付与の方式

行政手続法29条の弁明の機会の付与については、聴聞との比較問題が非常に多いです。きちんと、聴聞と弁明の機会付与の違いを頭に入れておきましょう!また、聴聞と弁明の機会付与を合わせて「意見陳述」ということも併せて覚えていきましょう!こういった基本的な部分をしっかり押さえておかないと、あとで似た言葉で混乱してきます。それでは、細かい内容に入っていきます!

行政手続法15条~28条までは「聴聞」についての内容でした。そして、29条から31条までは「弁明の機会の付与」についての内容です。

「聴聞」と「弁明の機会の付与」はいずれも不利益処分をする前の意見陳述のルールです。

「聴聞」と「弁明の機会の付与」の違いはこちら>>

弁明の機会とは、聴聞と同じく、不利益処分を受ける者が、行政庁に対して「言い分や反論」を伝えるための手続きですが、聴聞は、口頭審理なのに対して、弁明の機会の付与は書面審理です。つまり、弁明の機会の付与は、聴聞よりを簡略化した手続きと言えます。

そして、弁明の機会の付与は、聴聞が必要な不利益処分を以外の不利益処分を行う場合に行います。

例えば、業務停止処分や指示処分です。免許取消処分は聴聞が必要ですが、業務停止処分や指示処分の場合は、原則として弁明の機会の付与で足ります。

ただし、個別の法律で、上記業務停止処分や指示処分でも、聴聞が必要な場合もあります。それは例えば、宅建業法における宅建業者に対する業務停止処分や指示処分です。これは、宅建業法で、聴聞が必要と規定されているので、例外的に聴聞が必要になります。

なお、意見陳述の手続きが不要な場合は、意見陳述(聴聞や弁明の機会の付与)の手続きを執らずに、不利益処分をすることができます。

(弁明の機会の付与の方式)
行政手続法第29条 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。
2 弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。

行政手続法28条:役員解任の場合の聴聞等の特例

行政手続法28条は、ややこしそうに見えますが、内容的には簡単です。

例えば、法人Aに役員Bがいたとします。そして、行政庁が法人Aに対して「役員Bを解任しなさい!」と命じようとする場合、聴聞手続きを行う必要があります。

聴聞手続きが必要な不利益処分はこちら>>

この役員を解任する不利益処分については、行政庁は、当該役員に聴聞の通知をする必要はありません。法人Aに対して通知して、聴聞を行えば、役員にも通知したことになります。また、役員について聴聞を行うことを必要はありません。

(役員等の解任等を命ずる不利益処分をしようとする場合の聴聞等の特例)
行政手続法第28条 第13条第1項第1号ハに該当する不利益処分に係る聴聞において第15条第1項の通知があった場合におけるこの節の規定の適用については、名あて人である法人の役員、名あて人の業務に従事する者又は名あて人の会員である者(当該処分において解任し又は除名すべきこととされている者に限る。)は、同項の通知を受けた者とみなす。

2 前項の不利益処分のうち名あて人である法人の役員又は名あて人の業務に従事する者(以下この項において「役員等」という。)の解任を命ずるものに係る聴聞が行われた場合においては、当該処分にその名あて人が従わないことを理由として法令の規定によりされる当該役員等を解任する不利益処分については、第13条第1項の規定にかかわらず、行政庁は、当該役員等について聴聞を行うことを要しない。

行政手続法27条:審査請求の制限

行政手続法27条(審査請求の制限)は条文自体短く、簡単に見えるのですが、理解していない方が多いです。この点は具体例を含めてしっかり頭にいれておきましょう!

行政手続法の「聴聞」に基づく処分やその不作為については、審査請求をすることができません。

聴聞に基づく処分や不作為とは?

聴聞に基づく処分や不作為とは、例えば、

  1. 文書閲覧の不許可処分
  2. 利害関係人の参加不許可処分
  3. 文書閲覧の閲覧請求に対して、何も処分をしない
  4. 利害関係人の参加請求に対して何の処分もしない

といったことです。上記処分に対して、不服があったとしても、審査請求をすることができないということです。

行政書士試験でも出題される部分なので、しっかり頭に入れておきましょう!

審査請求は、行政不服審査法で勉強するので、まだ勉強していない方は、行政不服審査法を学んでからこの条文を確認するとよいでしょう!

(審査請求の制限)
行政手続法第27条 この節の規定に基づく処分又はその不作為については、審査請求をすることができない。

この節=聴聞に関する節=行政手続法第15条第28条です。