平成25年・2013|問11|行政手続法

行政手続法が定める不利益処分についての規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政手続法は、不利益処分を行うに当たって弁明の機会を付与する場合を列挙し、それら列挙する場合に該当しないときには聴聞を行うものと規定しているが、弁明の機会を付与すべき場合であっても、行政庁の裁量で聴聞を行うことができる。
  2. 行政庁が、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対して、予定される不利益処分の内容及び根拠法令に加え、不利益処分の原因となる事実などを通知しなければならないが、聴聞を公正に実施することができないおそれがあると認めるときは、当該処分の原因となる事実を通知しないことができる。
  3. 不利益処分の名あて人となるべき者として行政庁から聴聞の通知を受けた者は、代理人を選任することができ、また、聴聞の期日への出頭に代えて、聴聞の主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
  4. 文書閲覧許可や利害関係人の参加許可など、行政庁又は聴聞の主宰者が行政手続法の聴聞に関する規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができ、また、それら処分を行う際には、行政庁は、そのことを相手方に教示しなければならない。
  5. 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、行政手続法に定める聴聞又は弁明の機会の付与の手続を執ることができないときは、これらの手続を執らないで不利益処分をすることができるが、当該処分を行った後、速やかにこれらの手続を執らなければならない。

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【答え】:3

【解説】

1.行政手続法は、不利益処分を行うに当たって弁明の機会を付与する場合を列挙し、それら列挙する場合に該当しないときには聴聞を行うものと規定しているが、弁明の機会を付与すべき場合であっても、行政庁の裁量で聴聞を行うことができる。
1・・・誤り
行政庁は、下記不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、聴聞の手続を執らなければならない(行政手続法13条1項1号)。

  1. 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
  2. 1に規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
  3. 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
  4. 1から3までに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。

上記に該当しない不利益処分の場合は「弁明の機会の付与」を執らなければなりません(行政手続法13条1項2号)

つまり、列挙しているのは聴聞を行う場合で、
列挙する場合に該当しないときには弁明の機会を付与するものと規定しています。

よって、聴聞と弁明の機会の付与が逆です。

2.行政庁が、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対して、予定される不利益処分の内容及び根拠法令に加え、不利益処分の原因となる事実などを通知しなければならないが、聴聞を公正に実施することができないおそれがあると認めるときは、当該処分の原因となる事実を通知しないことができる。
2・・誤り
行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければなりません行政手続法15条1項)。

  1. 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
  2. 不利益処分の原因となる事実
  3. 聴聞の期日及び場所
  4. 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地

上記通知を省略できる旨のルールはありません
よって、
「聴聞を公正に実施することができないおそれがあると認めるときは、当該処分の原因となる事実を通知しないことができる」というルールはないので、誤りです。

3.不利益処分の名あて人となるべき者として行政庁から聴聞の通知を受けた者は、代理人を選任することができ、また、聴聞の期日への出頭に代えて、聴聞の主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
3・・・正しい
不利益処分の名あて人となるべき者として行政庁から聴聞の通知を受けた者は、代理人を選任することができます(行政手続法16条1項)。
そして、「上記通知を受けた者」又は「参加人」は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができます(行政手続法21条1項)。
よって、本肢は正しいです。

4.文書閲覧許可や利害関係人の参加許可など、行政庁又は聴聞の主宰者が行政手続法の聴聞に関する規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができ、また、それら処分を行う際には、行政庁は、そのことを相手方に教示しなければならない。
4・・・誤り
行政庁又は主宰者が聴聞の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立てをすることができません行政手続法27条1項)。「聴聞の規定に基づいてした処分」とは、例えば、文書閲覧許可や利害関係人の参加許可です。

よって、本肢は「不服申立てができる」となっているので誤りです。

5.公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、行政手続法に定める聴聞又は弁明の機会の付与の手続を執ることができないときは、これらの手続を執らないで不利益処分をすることができるが、当該処分を行った後、速やかにこれらの手続を執らなければならない。
5・・・誤り
公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないときは、意見陳述のための手続(聴聞および弁明の機会の付与)を執らなくてもよいです(行政手続法13項2項1号)。そして、当該処分を行った後も、意見陳述のための手続は不要なので、誤りです。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問10|行政法

公法と私法に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 公立病院において行われる診療に関する法律関係は、本質上私法関係と解されるので、公立病院の診療に関する債権の消滅時効は、地方自治法の規定ではなく、民法の規定に基づいて判断される。
  2. 一般職の地方公務員については、その勤務関係が公法的規律に服する公法上の関係であるので、私法的規律である労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)はすべて適用されない。
  3. 地方公共団体が事業者との間で締結する公害防止協定については、公法上の契約に該当すると解されるので、根拠となる条例の定めがない限り、当該協定に法的拘束力は生じない。
  4. 公営住宅の使用関係については、原則として公法関係と解されるので、法令に特別の定めがない限り、民法の規定は適用されない。
  5. 国の金銭債権は、私法上のものであっても、その消滅時効については、法令に特別の定めがない限り、すべて会計法の規定に基づいて判断される。

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【答え】:1

【解説】

1.公立病院において行われる診療に関する法律関係は、本質上私法関係と解されるので、公立病院の診療に関する債権の消滅時効は、地方自治法の規定ではなく、民法の規定に基づいて判断される。
1・・・正しい
判例によると
「公立病院において行われる診療は,私立病院において行われる診療と本質的な差異はなく,その診療に関する法律関係は本質上私法関係というべきであるから,公立病院の診療に関する債権の消滅時効期間は,地方自治法236条1項所定の5年ではなく、民法170条1号により3年と解すべきである。」
と判示し、
公立病院の診療に関する債権の消滅時効は、地方自治法の規定ではなく、民法の規定に基づいて判断されます。

2.一般職の地方公務員については、その勤務関係が公法的規律に服する公法上の関係であるので、私法的規律である労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)はすべて適用されない。
2・・誤り
一般職の地方公務員については、「労働組合法」及び「労働関係調整法」、「最低賃金法」は適用しません地方公務員法58条)。
しかし、労働基準法、原則として適用されます。
よって、誤りです。
3.地方公共団体が事業者との間で締結する公害防止協定については、公法上の契約に該当すると解されるので、根拠となる条例の定めがない限り、当該協定に法的拘束力は生じない。
3・・・誤り
判例によると
「処分業者が、公害防止協定において、地方公共団体に対し、その事業や処理施設を将来廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり(民法における契約自由の原則、私法上の契約)、その結果、許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることがあったとしても、廃棄物処理法に何ら抵触するものではない。したがって、当該期限の条項が廃棄物処理法の趣旨に反するということはできないし、本件期限条項が本件協定が締結された当時の廃棄物処理法の趣旨に反するということもできない。

よって、本件期限条項の法的拘束力を否定することはできない(法的拘束力はある)」
と判示しています。

本肢は「公害防止協定が公法上の契約に該当する」「当該協定に法的拘束力は生じない」この2点が誤りです。
公害防止協定が私法上の契約に該当する」「当該協定に法的拘束力は生じる」が正しいです。

4.公営住宅の使用関係については、原則として公法関係と解されるので、法令に特別の定めがない限り、民法の規定は適用されない。
4・・・誤り
判例によると、
「公営住宅の使用関係については、公営住宅法及びこれに基づく条例が特別法として民法及び借家法に優先して適用されるが、法及び条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法の適用があり、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。」
と判示しています。
つまり、公営住宅の使用関係については、まず、公営住宅法及びこれに基づく条例が適用され、法令に特別の定めがない場合、民法の規定が適用されるので、本肢は誤りです。

5.国の金銭債権は、私法上のものであっても、その消滅時効については、法令に特別の定めがない限り、すべて会計法の規定に基づいて判断される。
5・・・誤り
判例によると
「売買のごとき国の普通財産の売払いは、所論国有財産法および会計法の各規定に準拠して行なわれるとしても、その法律関係は本質上私法関係というべきであり、その結果生じた代金債権もまた私法上の金銭債権であって、公法上の金銭債権ではないから、会計法30条の規定により5年の消滅時効期間に服すべきものではない。」
と判示しています。
したがって、「国の金銭債権は、私法上のものの場合、その消滅時効については、会計法のは適用されない」ので
本肢は誤りです。
今回の事案では、民法が適用されます。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問9|行政法

行政の自己拘束に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 事業者に対する行政財産の目的外使用許可が所定の使用期間の途中で撤回された場合に、撤回を行った行政主体に損失補償の責任が生じるのは、許可に際して損失補償をする旨の取り決めを行ったときに限られる。
  2. 行政庁がその裁量に任された事項について、裁量権行使の準則(裁量基準)を定めることがあっても、このような準則は、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものであるから、処分が当該準則に違背して行われたとしても、違背したという理由だけでは違法とはならない。
  3. 行政主体が一方的かつ統一的な取扱いの下に国民の重要な権利の行使を違法に妨げた結果、行政主体に対する債権を消滅時効にかからせた場合、行政主体の側が消滅時効の主張をすることは許されない。
  4. 行政主体が公務員の採用内定の取消しを行った場合、内定通知の相手方がその通知を信頼し、その職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなどの準備を行っていたときは、当該行政主体はその者に対して損害賠償の責任を負うことがある。
  5. 異議申立てに対する決定等の一定の争訟手続を経て確定した行政庁の法的な決定については、特別の規定がない限り、関係当事者がこれを争うことができなくなることはもとより、行政庁自身もこれを変更することができない。

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【答え】:1

【解説】

1.事業者に対する行政財産の目的外使用許可が所定の使用期間の途中で撤回された場合に、撤回を行った行政主体に損失補償の責任が生じるのは、許可に際して損失補償をする旨の取り決めを行ったときに限られる。
1・・・誤り
判例によると、
「使用期間の途中で撤回された場合、損失補償を請求できません。ただし、例外として、

  1. 使用権者が使用許可を受けるに当たりその対価の支払をしているが当該行政財産の使用収益により右対価を償却するに足りないと認められる期間内に当該行政財産に右の必要を生じた場合や
  2. 使用許可に際し別段の定めがされている等により、行政財産についての右の必要にかかわらず使用権者がなお当該使用権を保有する実質的理由を有すると認めるに足りる特別の事情が存する場合

に限って、損失補償を請求できる。」

としています。

つまり、許可に際して損失補償をする旨の取り決めを行ったときに限られるのではなく
上記1.2の場合に損失補償はできるので誤りです。

2.行政庁がその裁量に任された事項について、裁量権行使の準則(裁量基準)を定めることがあっても、このような準則は、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものであるから、処分が当該準則に違背して行われたとしても、違背したという理由だけでは違法とはならない。
2・・正しい
判例によると
「行政庁がその裁量に任された事項について裁量権行使の準則を定めることがあっても、このような準則は、本来、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものなのである。そのため、処分が右準則に違背して(準則を無視して)行われたとしても、原則として当不当の問題を生ずるにとどまり、当然に違法となるものではない。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。

3.行政主体が一方的かつ統一的な取扱いの下に国民の重要な権利の行使を違法に妨げた結果、行政主体に対する債権を消滅時効にかからせた場合、行政主体の側が消滅時効の主張をすることは許されない。
3・・・正しい
原爆の被害者に対する援護に関する法律に基づいて、健康管理手当の支給認定を受けた被爆者が、外国へ出国したことに伴って支給を打ち切られたため、未支給の健康管理手当の支払いを求める訴訟で、判例では、
「行政庁が消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、受給権者(原爆被害者)によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。このような行為は、特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である。
本件において特段の事情を認めることはできないから、行政庁は消滅時効を主張して未支給の本件健康管理手当の支給義務を免れることはできない
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。

4.行政主体が公務員の採用内定の取消しを行った場合、内定通知の相手方がその通知を信頼し、その職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなどの準備を行っていたときは、当該行政主体はその者に対して損害賠償の責任を負うことがある。
4・・・正しい
「東京都が正当な理由がなく採用内定を取り消しても、これによって、右内定通知を信頼し、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するための準備を行った者に対し損害賠償の責任を負うことがあるのは格別、右採用内定の取消し自体は、採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないから、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するものということができず、右採用内定者においてその取消しを訴求することはできないというべきである。」
と判示しています。
したがって、「内定通知を信頼し、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するための準備を行った者に対しては、例外的に損害賠償の責任を負うことがある」ので、
本肢は正しいです。

5.異議申立てに対する決定等の一定の争訟手続を経て確定した行政庁の法的な決定については、特別の規定がない限り、関係当事者がこれを争うことができなくなることはもとより、行政庁自身もこれを変更することができない。
5・・・正しい
異議申立てに対する決定」についても、拘束力不可変更力があるため、関係当事者がこれを争うことができなくなるし、行政庁自身もこれを変更することができません。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問8|行政法

行政庁の裁量に関する次のア~エの記述に関して、最高裁判所の判例に照らし、その正誤を正しく示す組合せはどれか。

ア 地方公共団体が指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり、地元の経済の活性化にも寄与することを考慮して地元企業を優先的に指名することは、合理的な裁量権の行使として許容される。

イ 地方公共団体が第三セクター法人の事業に関して当該法人の債権者と損失補償契約を結んだ場合、当該契約の適法性、有効性は、契約締結に係る公益上の必要性についての長の判断に裁量権の逸脱、濫用があったか否かによって判断される。

ウ 道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業(いわゆるタクシー事業)の許可について、その許可基準が抽象的、概括的なものであるとしても、判断に際して行政庁の専門技術的な知識経験や公益上の判断を必要としないことから、行政庁に裁量は認められない。

エ 水道法15条1項(※)にいう「正当の理由」の判断に関して、水道事業者たる地方公共団体の長が近い将来における水不足が確実に予見されることを理由として給水契約の締結を拒絶することは、裁量権の逸脱、濫用として違法となる。

  1. ア:正 イ:誤 ウ:正 エ:誤
  2. ア:誤 イ:正 ウ:正 エ:誤
  3. ア:正 イ:誤 ウ:正 エ:正
  4. ア:正 イ:正 ウ:誤 エ:誤
  5. ア:誤 イ:誤 ウ:誤 エ:正

(注)※ 水道法15条1項
水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。

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【答え】:4

【解説】

ア 地方公共団体が指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり、地元の経済の活性化にも寄与することを考慮して地元企業を優先的に指名することは、合理的な裁量権の行使として許容される。
ア・・・正しい
判例によると、
「地方公共団体が公共工事の指名競争入札の参加資格を地元企業に限り、又は原則として地元企業のみを指名することについては、『地元雇用の創出、地元産品の活用等地元経済の活性化に寄与すること』が考えられるので、合理性が認められる。」
とし、この点について、合理的な裁量として許容されています。
よって、正しいです。

イ 地方公共団体が第三セクター法人の事業に関して当該法人の債権者と損失補償契約を結んだ場合、当該契約の適法性、有効性は、契約締結に係る公益上の必要性についての長の判断に裁量権の逸脱、濫用があったか否かによって判断される。
イ・・正しい
地方公共団体が第三セクター法人の事業に関して当該法人の債権者と損失補償契約を結んだ事案について、
判例によると
損失補償契約の適法性及び有効性は、地方自治法232条の2の規定の趣旨等に鑑み、当該契約の締結に係る公益上の必要性に関する当該地方公共団体の執行機関の判断にその裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったか否かによって決せられるべきものと解するのが相当である。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。この点の理解の仕方については行書塾で解説します!

ウ 道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業(いわゆるタクシー事業)の許可について、その許可基準が抽象的、概括的なものであるとしても、判断に際して行政庁の専門技術的な知識経験や公益上の判断を必要としないことから、行政庁に裁量は認められない。
ウ・・・誤り
判例によると
「タクシー事業の免許基準は極めて抽象的、概括的なものであり、右免許基準に該当するかどうかの判断は、行政庁の専門技術的な知識経験と公益上の判断を必要とし、ある程度の裁量的要素があることを否定することはできない」
と判示しています。
よって、行政庁に裁量は認められるので誤りです。

エ 水道法15条1項(※)にいう「正当の理由」の判断に関して、水道事業者たる地方公共団体の長が近い将来における水不足が確実に予見されることを理由として給水契約の締結を拒絶することは、裁量権の逸脱、濫用として違法となる。※ 水道法15条1項
水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。

エ・・・誤り
判例によると
「水道事業を経営する町がマンション分譲業者からの420戸分の給水契約の申込みに対し契約の締結を拒んだことは、当該町が、全国有数の人口過密都市であり今後も人口の集積が見込まれ、認可を受けた水源のみでは現在必要とされる給水量を賄うことができず、

認可外の水源から取水して給水量を補っているが当該取水は不安定であり、多額の財政的負担をして種々の施策を執ってきているが容易に右状況が改善されることは見込めず、

このまま漫然と新規の給水申込みに応じていると近い将来需要に応じきれなくなり深刻な水不足を生ずるこが予測される

という判示の事実関係の下においては、

新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、住宅を供給する事業を営む者が住宅を分譲する目的であらかじめしたものについて給水契約の締結を拒むことにより、急激な水道水の需要の増加を抑制するためのやむを得ない措置であって、右の措置には水道法15条1項にいう『正当の理由』があるものというべきである。」
と判示しており、
水道業者は、正当の理由があれば、給水契約を拒むことも可能です。
よって、本肢は誤りです。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問7|憲法・精神的自由

次の1~5は、法廷内における傍聴人のメモ採取を禁止することが憲法に違反しないかが争われた事件の最高裁判所判決に関する文章である。判決の趣旨と異なるものはどれか。

  1. 報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。
  2. 憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
  3. 憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。
  4. さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
  5. 傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。

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【答え】:1

【解説】

1.報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。
1・・・誤り
判例によると
報道のための取材の自由は、憲法21条1項の精神に照らし、十分尊重に値するものである」
と判示しています。
つまり、本肢の「報道機関の取材の自由は、憲法21条1項の規定の保障の下にある」という記述は誤りです。

憲法21条1項
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2.憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
2・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「憲法82条1項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。」
と判示しています。
よって。本肢は正しいです。

憲法82条1項
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。

3.憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。
3・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「憲法21条1項の規定は、表現の自由を保障している。そうして、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、その者が個人として自己の思想及び人格を形成、発展させ、社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって、このような情報等に接し、これ(情報)を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところである」
と判示しています。よって本肢は正しいです。

4.さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
4・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「情報等の摂取を補助するためにする筆記行為の自由といえども、他者の人権と衝突する場合にはそれとの調整を図る上において、又はこれに優越する公共の利益が存在する場合にはそれを確保する必要から、一定の合理的制限を受けることがあることはやむを得ないところである。しかも、右の筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである」
と判示しています。
5.傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。
5・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致するものということができる。」
と判示しています。よって、本肢は正しいです。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問6|憲法・国会

次のア~オのうち、議院の権能として正しいものはいくつあるか。

ア 会期の決定
イ 議員の資格争訟
ウ 裁判官の弾劾
エ 議院規則の制定
オ 国政に関する調査

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

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【答え】:3

【解説】

ア 会期の決定
ア・・・国会の権能
常会の会期は150日と決まっています(国会法10条)。
そして、「臨時会」と「特別会」の会期、「会期の延長」は、両議院一致の議決で定めることになっています(国会法11条、12条)。よって、会期の決定は「両議院一致の議決」つまり「国会の議決」で決めるので、国会の権能と言えます。

イ 議員の資格争訟
イ・・議院の権能
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判します。
但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とします(憲法55条)。よって、議員の資格争訟は、議院の権能です。

議院の権能とは、衆議院もしくは参議院が単独で行える権利を指します。

ウ 裁判官の弾劾
ウ・・・国会の権能
裁判官の弾劾は、各議院においてその議員の中から選挙された同数の裁判員で組織する弾劾裁判所がこれを行います(国会法125条1項)。
つまり、裁判官の弾劾(裁判官を辞めさせること)は、国会の権能と言えます。
エ 議院規則の制定
エ・・・議院の権能
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができます。
ただし、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とします(憲法58条)。
したがって、「議院規則の制定」は、衆議院・参議院がそれぞれ行うことができるので議院の権能です。
オ 国政に関する調査
オ・・・議院の権能
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができます(憲法62条)。
つまり、国政調査は、衆議院も行えるし、参議院も行えます。
よって、議院の権能です。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問5|憲法

権力分立に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. アメリカでは、国会議員と執行府の長の双方が国民によって直接選挙されるが、権力分立の趣旨を徹底するために、大統領による議会の解散と議会による大統領の不信任のメカニズムが組み込まれている。
  2. 政党が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになり、内閣不信任案の可決という形での議会による内閣の責任追及の仕組みが、一般には、より実効的に機能するようになった。
  3. 伝統的には、議会の立法権の本質は、国民に権利・利益を付与する法規範の制定であると考えられてきたが、行政国家化の進展とともに、国民の権利を制限したり義務を課したりするという側面が重視されるようになった。
  4. 一般性・抽象性を欠いた個別具体的な事件についての法律(処分的法律)であっても、権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、必ずしも権力分立や平等原則の趣旨に反するものではないとの見解も有力である。
  5. 君主制の伝統が強く、近代憲法制定時に政府と裁判所とが反目したフランスやドイツでは、行政権を統制するために、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.アメリカでは、国会議員と執行府の長の双方が国民によって直接選挙されるが、権力分立の趣旨を徹底するために、大統領による議会の解散と議会による大統領の不信任のメカニズムが組み込まれている。
1・・・誤り
「執行府の長」とは「大統領」を指します。
アメリカでは、大統領を選ぶ際、有権者は選挙人を選び、選挙人が大統領を選ぶという、間接選挙の制度を取っています。
「執行府の長の双方が国民によって直接選挙される」という記述は誤りです。また、アメリカの大統領制では、「大統領」と「議会」の権限が明確に分かれており、

  • 議会は大統領の不信任決議はできず、逆に
  • 大統領は議会の解散権、法案の提出権もありません
    (ただし、大統領は議会が可決した法案の拒否権は有しています
2.政党が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになり、内閣不信任案の可決という形での議会による内閣の責任追及の仕組みが、一般には、より実効的に機能するようになった。
2・・誤り
本問は後半部分が誤りです。「政党」が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになります。
自民党が過半数を取ると、自民党が内閣を組織します。
よって、前半部分は正しいです。

しかし、この場合、「議会の多数党」と「内閣を組織する党」が同じになるため、野党が、内閣不信任案を提出しても、多数党である与党により可決されず、内閣の責任追及の仕組みは機能しなくなります
よって、この点が誤りです。

3.伝統的には、議会の立法権の本質は、国民に権利・利益を付与する法規範の制定であると考えられてきたが、行政国家化の進展とともに、国民の権利を制限したり義務を課したりするという側面が重視されるようになった。
3・・・誤り
伝統的には、議会の立法権の本質は、国民の権利を「制限したり義務を課したり」する法規範の制定であると考えられていました(一般的権利制限説)。しかし、一方で、貧富の差による貧しい人々を救うことを重視した福祉国家の思想の下、行政国家化が進展するとともに、国民に権利・利益を付与する法規範の制定も増えてきています。
例えば、生活保護法も、行政国家化によるものです。

よって、本肢は、法規範の性質の内容が逆になっているので誤りです。

4.一般性・抽象性を欠いた個別具体的な事件についての法律(処分的法律)であっても、権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、必ずしも権力分立や平等原則の趣旨に反するものではないとの見解も有力である。
4・・・正しい
本来、法律は、一般性(不特定多数人に適用できる)と抽象性(幅広い事件に適用できる)を有することが求められます。しかし、一方で、個別具体的な事件を対象にした法律(例:学校法人紛争の調停等に関する法律)が制定される場合があります。

この点について、
権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、個別具体的な事件に関する法律を作っても大丈夫ということです。

5.君主制の伝統が強く、近代憲法制定時に政府と裁判所とが反目したフランスやドイツでは、行政権を統制するために、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた。
5・・・誤り
フランスやドイツには、「民事・刑事を担当する裁判所」と「行政事件を担当する行政裁判所」があります。
よって、「フランスやドイツでは、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた」
というのは誤りです。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問4|憲法

私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか

  1. 私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
  2. 私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
  3. 性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
  4. 自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
  5. 企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
1・・・誤り
判例によると、
憲法19条(思想及び良心の自由)、14条(法の下の平等)は、もっぱら、「国または公共団体」と「個人」との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律するものではない。もっとも、私人間の関係においても、相互の社会的力関係の相違から、会社Yが優越し、事実上、XがYの意思に服従せざるを得ない場合もあるが、そのような場合にも、人権規定の適用・類推適用はできない。』
と判示しています。
したがって、「私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができる」は誤りです。

私人間においては、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべき」という記述は正しいです。

2.私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
2・・誤り
判例によると
「私立大学において、その建学の精神に基づく校風と教育方針に照らし、学則等により、学生の署名運動について事前に学校当局に届け出るべきこと及び学生の学外団体加入について学校当局の許可を受けるべきことを定めても、これをもって直ちに学生の政治的活動の自由に対する不合理な規制とはいえない。また、諸般の事情を総合的に観察して、退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、退学処分は、学長の裁量権の範囲内にあるものというべきである。」
と判示し、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことも憲法19条に違反しないとしています、

よって、本肢の「学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない」は誤りです。

3.性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
3・・・誤り
判例によると
「会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、右就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条(公序良俗)の規定により無効である。」
と判示しています。つまり、
「性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶ」が誤りです。
性別による差別を禁止する規定は、合理的な理由がなければ、民法90条(公序良俗)の規定により無効である」が正しいです。

4.自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
4・・・正しい
判例によると
憲法9条は、その憲法規範として有する性格上、私法上の行為の効力を直接規律することを目的とした規定ではなく、人権規定と同様、私法上の行為に対しては直接適用されるものではないと解するのが相当である」
と判示しています。
つまり、本肢の内容は正しいです。

5.企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。
5・・・誤り
判例によると
「企業者が特定の思想を有することを理由に採用を拒否することは違法ではなく、また、いったん労働者を雇い入れ、その者に雇傭関係上の一定の地位を与えた後においては、その地位を一方的に奪うことにつき、雇入れの場合のような広い範囲の自由を有するものではない。」
としています。
したがって、後半部分が誤りです。
いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされたら、違法となります。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問3|憲法・法の下の平等

次の文章は、ある最高裁判所判決の意見の一節である。空欄[ ア ]~[ ウ ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

一般に、立法府が違憲な[ ア ]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権がその[ ア ]に介入し得る余地は極めて限られているということ自体は否定できない。しかし、立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており、また、その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

(最大判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁以下における藤田宙靖意見)

  1. ア:不作為 イ:比例 ウ:限定
  2. ア:作為 イ:比例 ウ:限定
  3. ア:不作為 イ:相互主義 ウ:有権
  4. ア:作為 イ:法の下の平等 ウ:拡張
  5. ア:不作為 イ:法の下の平等 ウ:拡張

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

一般に、立法府が違憲な[ア:不作為]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[イ:法の下の平等]原則違反であるような場合には、司法権がその[ア:不作為]に介入し得る余地は極めて限られていること自体は否定できない。しかし、立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており、また、その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ウ:拡張]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

本問の判例の事案は、結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子(原告)が、出生後に「日本人の父」から認知を受けたことを理由として、
法務大臣あてに日本国籍取得の届出をしたところ、国籍取得の条件を備えておらず、日本国籍を与えなかった事案です。

ア.一般に、立法府が違憲な[ ア ]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、・・・、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、・・・。

ア・・・不作為
判決文の中の「未だ具体的な立法がされていない」という記述から、「法律を定めていなかった」=「立法不作為」と導けます。
よって「アには不作為」が入ります。

イ.一般に、立法府が違憲な[ア:不作為]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権がその[ア:不作為]に介入し得る余地は極めて限られていること自体は否定できない。

イ・・・法の下の平等
「立法府が違憲な不作為状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきである」
つまり、「立法府である国会」が、法律を定めずに、憲法違反の状態であれば、まず第一に国会により、法律を定めるべきである、と言っています。そして、問題(国籍取得の条件)が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権(裁判所)がその不作為に介入し得る余地は極めて限られている。つまり、法律を定める権限は、国会にあるので、問題となる国籍取得の条件に関する内容について、[イ:法の下の平等]違反である場合、裁判所が、その「国籍取得の条件」について、判断する余地は極めて限られている、と言っています。

著しく不合理な差別を受けている者」という記述から「イには法の下の平等」が入ります。

ウ.著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

ウ・・・拡張
選択肢イの解説の続きですが、裁判所の介入の余地が極めて限られていたとしても、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するためであれば、
司法権(裁判所)が現行法の合理的な[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、許される場合もある。
と言っています。つまり、裁判所が現在の法律(国籍取得の条件)に関する文言の解釈を広げて、この原告の子(日本人の父とフィリピン人母の間の子)に取得させることも許される
ということです。

限定解釈(縮小解釈)とは、 条文上の文言につき,日常一般に用いられる意味をせばめて(制限を加えて)解釈することですが、
これを行うと、原告の子はさらに、国籍取得ができなくなるという逆の効果となるので、
限定解釈は入りません。

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[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]

平成25年・2013|問2|基礎法学・裁判制度

司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月公表)に基づいて実施された近年の司法制度改革に関する次のア~オの記述のうち、明らかに誤っているものの組合せはどれか。

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。

ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。

エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。

オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3

【解説】

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。
ア・・・正しい
悪徳商法による被害額が少ないと泣き寝入りとなるケースが多く、結果として業者が得をしている状況でした。また、これまで、個人が業者の行為を差し止めることはできませんでした。
そこで、契約トラブル等により被害額は少額だが被害者が多数にのぼるサービスを提供している業者に対して、一定の要件を満たす消費者団体(適格消費者団体)が被害者に代わって訴訟を起こすことができる制度(消費者団体訴訟制度)が2007年から施行されました。消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者のために事業者に対して訴訟などをすることができる制度で、「差止請求」と「被害回復」の2つを行うことができます。
イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。
イ・・・誤り
本肢の集団代表訴訟(集団訴訟)の制度は、アメリカで採用されているクラスアクション制度と呼ばれるものです。
集団代表訴訟とは、利害を共通にする多数の者の集団(クラス)となって、そのメンバーのうちの1人または数人が代表者となり、民事訴訟をする制度です。
日本では検討はされているものの、導入されていません
ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。
ウ・・・誤り
公判前整理手続とは,適正迅速でわかりやすい公判審理(刑事裁判)を実現するために第一回公判期日前に裁判における事件の争点および証拠を整理する準備手続です。
裁判員制度に伴い、2005年の刑事訴訟法改訂で導入されました。
裁判員制度の対象となる事件は必ず公判前整理手続に付さなければなりません。
裁判員制度の対象となる事件は「刑事事件」のみなので、「民事事件」では、当該公判前整理手続の制度は導入されていません
よって、誤りです。
エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。
エ・・・正しい
本肢は、検察審査会制度の内容です。
検察審査会制度とは、国民の中から選ばれた11人の検察審査員が検察官の不起訴処分の当否を審査するもので、検察官の職務の上に一般国民の良識を反映させ、その適正な運営を図ろうとする目的から設けられたものです。
具体的には、検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起します。
オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。
オ・・・正しい
日本司法支援センター(法テラス)」は、政府が設立した法務省所管の法人で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としています。
業務としては、報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行います。
よって、本肢は正しいです。

[SPI name=■過去問一覧上の広告枠]
[SPI name=平成25年度2013年度|行政書士試験の問題と解説]