最判昭35.3.18:営業許可を受けずにした契約の効力

論点

  1. 食品衛生法上の営業許可を受けずにした精肉の売買契約は、私法上無効か?

事案

有限会社Xは、食品衛生法上の許可を受けて食肉の販売業を営んでいる株式会社Aと精肉の売買取引をしていた(売主X、買主A)。しかし、AがXに対する買掛金債務の弁済を怠っていることから、取引は一時中断していた。Aの代表取締役Yは、自衛隊に精肉を納入うするために取引再開をXに提案したが、Aの支払能力への危惧を理由に拒否された。

そこで、食品衛生法上の許可を受けていないY個人として、精肉を買い受けることを提案した。(つまり、会社Aで購入するのではなく、代表者個人Y名義で購入するということ。)

これに対して、Xは承諾し、売主X・買主Yとして売買契約が成立した。

もっとも、Yが内金を支払ったのみであったため、Xは、Yに対して残金および遅延損害金の支払いを求めて訴えを提起した。

判決

食品衛生法上の営業許可を受けずにした精肉の売買契約は、私法上無効か?

→有効

食品衛生法は単なる取締法規にすぎない。

したがって、Yが食肉販売業の許可を受けていないとしても、食品衛生法により本件取引の効力が否定される理由はない

それ故、食品衛生法上の営業許可の有無は、本件取引の私法上の効力に消長を及ぼさない(影響を及ぼさない)

したがって、当該売買契約は有効である。

※消長を及ぼす・消長を来す→影響を及ぼす
※消長を及ぼさない・消長を来さない→影響を及ぼさない

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