最判平元.11.8:宅地開発指導要綱と給水拒否

論点

  1. 宅地開発指導要綱を順守させるために、給水契約の締結を拒否することはできるか?

事案

武蔵野市では、昭和40年代からマンション建設が急増し、日照権やプライバシー権をめぐって住民と事業者間で紛争が生じるなどの問題が深刻化していた。

そこで、同市では、宅地開発指導要綱を施行した。その指導要綱の中に、「指導要綱に従わない場合、市の上下水道などの利用について必要な協力を行わない旨(給水拒否もあり得る旨)」を定めた。

ところが、建設業者Aは、指導要綱に基づく行政指導に従わないで、マンション建設をし、水道の供給を申し入れた。これに対し、武蔵野市長Xは、水道供給を拒否した。

この拒否は、水道法15条1項に違反するとしてXは起訴された。

判決

宅地開発指導要綱を順守させるために、給水契約の締結を拒否することはできるか?

→できない。

水道法上給水契約の締結を義務づけられている水道事業者としては、たとえ右の指導要綱を事業主に順守させるため行政指導を継続する必要があったとしても、これを理由として事業主(A)との給水契約の締結を留保(保留)することは許されない。

給水契約の締結を留保(保留)した被告人Xの行為は、給水契約の締結を拒んだ行為に当たる

また、原判決の認定によると、被告人Xは、右の指導要綱を順守させるための圧力手段として、水道事業者が有している給水の権限を用い、指導要綱に従わないA建設らとの給水契約の締結を拒んだものであり、その給水契約を締結して給水することが公序良俗違反を助長することとなるような事情もなかったというのである。

そうすると、水道事業者としては、たとえ指導要綱に従わない事業主らからの給水契約の申込であっても、その締結を拒むことは許されないというべきである。

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