2018年過去問

平成30年・2018|問54|基礎知識・社会

防犯カメラに関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.防犯カメラの設置は許可制であり、私人が設置する場合には都道府県公安委員会の許可を受ける必要がある。

イ.地方自治体の設置する防犯カメラの映像は個人情報であるとして、当該地方自治体の情報公開条例、個人情報保護条例による保護の対象となっている場合がある。

ウ.都道府県警察の設置した防犯カメラが特定の建物の入口を監視していることを理由に、裁判所により撤去を命じられた事例がある。

エ.市町村が道路など公の場所に防犯カメラを設置するためには、個別の法律の根拠に基づく条例が必要である。

オ.図書館等で防犯カメラを設置する場合、設置場所を明示し、撮影されることを知らせることが必要であるとする地方自治体がある。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】: 2

【解説】

ア.防犯カメラの設置は許可制であり、私人が設置する場合には都道府県公安委員会の許可を受ける必要がある。
ア・・・妥当でない
防犯カメラの設置に許可が必要という法律はありません。
ただし、防犯カメラの設置に届出が必要、という条例がある市町村はあります。
(例:千葉県市川市:防犯カメラの適正な設置及び利用に関する条例
イ.地方自治体の設置する防犯カメラの映像は個人情報であるとして、当該地方自治体の情報公開条例、個人情報保護条例による保護の対象となっている場合がある。
イ・・・妥当
地方自治体の設置する防犯カメラの映像がすべて個人情報として保護の対象になるわけではないが、それぞれの地方自治体の情報公開条例、個人情報保護条例により保護の対象となっている場合があります。
(例:神奈川県川崎市:個人情報保護制度における防犯(監視)カメラの取扱い等について
ウ.都道府県警察の設置した防犯カメラが特定の建物の入口を監視していることを理由に、裁判所により撤去を命じられた事例がある。
ウ・・・妥当
大阪地裁の判例では、「特段の事情がない限り、犯罪予防目的での録画は許されないというべきである。」として、都道府県警察の設置した防犯カメラが特定の建物の入口を監視していることを埋由として撤去を命じられました(大阪地判平6.4.27:西成監視カメラ判決)。

これはそのまま覚えるしかないですね。

エ.市町村が道路など公の場所に防犯カメラを設置するためには、個別の法律の根拠に基づく条例が必要である。
エ・・・妥当でない
「市町村が道路など公の場所に防犯カメラを設置するにあたり、個別の法律の根拠に基づく条例が必要である」という法律はありません。
オ.図書館等で防犯カメラを設置する場合、設置場所を明示し、撮影されることを知らせることが必要であるとする地方自治体がある。
オ・・・妥当
防犯カメラの設置場所を明示する法令はありません。
しかし、図書館等で防犯カメラを設置する場合、設置場所を明示し、撮影されることを知らせることが必要であると定めている地方自治体はあります。
(例:品川区立図書館:品川区立図書館防犯カメラシステムの管理および運用に関する要綱

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問52|基礎知識・社会

地方自治体の住民等に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.市町村内に家屋敷を有する個人であっても、当該市町村内に住所を有しない場合には、当該市町村の住民税が課されないものとされている。

イ.日本国籍を有しない外国人は、当該市町村の区域内に住所を有し、かつ、一定の要件に該当するときには、住民基本台帳制度の適用対象になる。

ウ.自宅から離れた他市の特別養護老人ホームに入居した者であっても、自宅のある市町村に住民登録を残し、住所地特例制度により当該市町村の介護保険を利用することができる。

エ.市の管理する都市公園の中で起居しているホームレスについては、当然に、当該都市公園が住民登録上の住所地となる。

オ.市町村内に住所を有する個人だけでなく、当該市町村内に事務所または事業所を有する法人も、住民税を納税する義務を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】: 4

【解説】

ア.市町村内に家屋敷を有する個人であっても、当該市町村内に住所を有しない場合には、当該市町村の住民税が課されないものとされている。
ア・・・妥当ではない
住民税は、日本の税金のうち、都道府県民税と市町村民税を合わせていいます。
特に、個人に対する都道府県民税と市町村民税は、市区町村が一括して賦課徴収することから、この2つを合わせて住民税と呼びます。
そして、道府県民税は、下記の者に課せられます(地方税法24条1項)。
  1. 道府県内に住所を有する個人
  2. 道府県内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人当該事務所、事業所又は家屋敷を有する市町村内に住所を有しない者
  3. 道府県内に事務所又は事業所を有する法人

したがって上記2号の通り、市町村内に住所を有しない場合でも、その市町村内に「道事務所、事業所」や「家屋敷」を有する個人は、住民税が課せられます。
よって、妥当ではありません。

イ.日本国籍を有しない外国人は、当該市町村の区域内に住所を有し、かつ、一定の要件に該当するときには、住民基本台帳制度の適用対象になる。
イ・・・妥当
平成24年7月9日に施行された「出入国管理及び難民認定法の一部改正」および「住民基本台帳法の一部改正」により、これまでの「外国人登録法は廃止」となり、外国人住民も日本人と同様に「住民基本台帳に登録」されることとなりました。
対象となる、外国人住民は「中長期在留者」「特別永住者」等です。
  • 中長期在留者
    在留資格をもって在留する外国人であって、3月以下の在留期間が決定されたかたや短期滞在・外交・公用の在留資格が決定されたかたなど以外の者。
  • 特別永住者
    入管特例法により定められている特別永住者。
ウ.自宅から離れた他市の特別養護老人ホームに入居した者であっても、自宅のある市町村に住民登録を残し、住所地特例制度により当該市町村の介護保険を利用することができる。
ウ・・・妥当ではない
介護保険制度においては、「65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険加入者」は、住所地の区市町村が実施する介護保険の被保険者となるのが原則です。

ただし、住所地特例対象施設(※)に入所又は入居し、その施設の所在地に住所を移した者については、例外として施設入所前の住所地の区市町村(保険者)が実施する介護保険の被保険者になります(住所地特例)。

施設所在地の区市町村の財政負担が集中するのを防ぐ目的で設けられた制度です。

※「住所地特例対象施設」とは、介護保険施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等をいいます。

つまり、住所地が、施設に移していないと、住所地特例制度の適用はありません。

エ.市の管理する都市公園の中で起居しているホームレスについては、当然に、当該都市公園が住民登録上の住所地となる。
エ・・・妥当ではない
市の管理する都市公園の中で起居しているホームレスについては、当然に、当該都市公園が住民登録上の住所地となるわけではありません
大阪地裁の判決で、「ホームレスが公園を生活の本拠としている以上、公園を住所地として住民登録したいという申立を拒絶することはできない」との判決は出たが、当然に住所地となるわけではないので、妥当ではありません。
オ.市町村内に住所を有する個人だけでなく、当該市町村内に事務所または事業所を有する法人も、住民税を納税する義務を負う。
オ・・・妥当
選択肢アでも解説しましたが
道府県民税(住民税)は、「道府県内に事務所又は事業所を有する法人」にも課せられます(地方税法24条1項3号)。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問53|基礎知識・その他

次に掲げるア~オの営業形態のうち、風適法※による許可または届出の対象となっていないものの組合せはどれか。

ア.近隣の風俗営業に関する情報を提供する、いわゆる風俗案内所

イ.店舗を構えて性的好奇心に応えるサービスを提供する、いわゆるファッションヘルス

ウ.射幸心をそそるような遊興用のマシンを備えた、いわゆるゲームセンター

エ.性的好奇心を煽るような、いわゆるピンクチラシ類を印刷することを業とする事業所

オ.店舗を構えずに、異性との性的好奇心を満たすための会話の機会を提供し異性を紹介する営業である、いわゆる無店舗型テレクラ

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

(注)※風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】: 2

【解説】

本問において「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」は「風適法」とも言いますが「風営法」とも言います。

ア.近隣の風俗営業に関する情報を提供する、いわゆる風俗案内所
ア・・・対象とならない
風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別に応じて、営業所ごとに都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません(風適法3条1項)。
しかし、近隣の風俗営業に関する情報を提供するだけでは風適法に定める「風俗営業」にはあたりません
「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいいます(風適法2条1項)。
  1. キャバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
  2. 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
  3. 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの
  4. 麻雀屋、パチンコ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
  5. スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(選択肢ウ)
イ.店舗を構えて性的好奇心に応えるサービスを提供する、いわゆるファッションヘルス
イ・・・対象となる
いわゆる「ファッションヘルス」は、「店舗型性風俗特殊営業」にあたります(風適法2条6項2号)。
そのため、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書の提出が必要です(風適法27条1項)。「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいいます(風適法2条6項)。
  1. 浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
  2. 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業
  3. 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業
ウ.射幸心をそそるような遊興用のマシンを備えた、いわゆるゲームセンター
ウ・・・対象となる
いわゆる「ゲームセンター」は、遊技設備により客に遊技をさせる営業として「風俗営業」にあたります(風適法2条1項5号)。
そのため、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可を受けなければなりません(風適法3条1項)。

※「射幸心(しゃこうしん)」とは、運よく利益を得たい気持ちを言います。

ゲームセンターのコインゲームなどがイメージしやすいと思います!

エ.性的好奇心を煽るような、いわゆるピンクチラシ類を印刷することを業とする事業所
エ・・・対象とならない
「いわゆるピンクチラシ類を印刷することを業とする事業所」は、風適法の「風俗営業」等にあたりません
単なる印刷業です。
そのため、風適法による許可または届出の対象となりません。
オ.店舗を構えずに、異性との性的好奇心を満たすための会話の機会を提供し異性を紹介する営業である、いわゆる無店舗型テレクラ
オ・・・対象となる
いわゆる「無店舗型テレクラ」は、無店舗型電話異性紹介営業に該当し、性風俗関連特殊営業にあたる(風適法2条10項)。
そのため、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に届出書の提出が必要です(風適法31条の17)。「無店舗型電話異性紹介営業」とは、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて他の一方の者に取り次ぐことによって営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含むものとし、前項に該当するものを除く。)をいいます(風適法2条10項)。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問51|基礎知識・社会

日本の墓地および死体の取扱い等に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 墓地の経営には、都道府県知事の許可が必要であるが、納骨堂の経営は届出のみでよい。
  2. 死体を火葬する際には、生前に住民登録があった市町村の長の許可証を得ることが法律で義務付けられている。
  3. 死体の火葬を死亡又は死産の当日に行うことは法律で禁止されておらず、感染症などによる死亡の場合には、むしろ死亡当日の火葬が法律で義務付けられている。
  4. 死体は火葬されることが多いが、土葬も法律で認められている。
  5. 墓地使用者が所在不明となって10年経過した墓については、経営者の裁量で撤去することが、法律で認められている。

>解答と解説はこちら


【答え】: 4

【解説】

1.墓地の経営には、都道府県知事の許可が必要であるが、納骨堂の経営は届出のみでよい。
1・・・妥当ではない
墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律10条1項)。
したがって、「墓地経営」だけでなく「納骨堂の経営」についても知事の許可が必要です。
2.死体を火葬する際には、生前に住民登録があった市町村の長の許可証を得ることが法律で義務付けられている。
2・・・妥当ではない
埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。)の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。
また、上記許可は、埋葬及び火葬に係るものにあっては死亡若しくは死産の届出を受理した市町村長が行ないます。(墓地、埋葬等に関する法律5条2項)
したがって、「生前に住民登録があった市町村」の許可ではありません。
3.死体の火葬を死亡又は死産の当日に行うことは法律で禁止されておらず、感染症などによる死亡の場合には、むしろ死亡当日の火葬が法律で義務付けられている。
3・・・妥当ではない
埋葬又は火葬は、原則、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ行うことができません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。
ただし、例外として、妊娠7ヵ月に満たない死産のときは、死産後24時間以内に、埋葬又は火葬してもよいです。(墓地、埋葬等に関する法律3条但し書き)
本肢は、上記規定とは異なるので誤りです。
4.死体は火葬されることが多いが、土葬も法律で認められている。
4・・・妥当
「墓地、埋葬等に関する法律」で「埋葬」とは、死体(妊娠4箇月以上の死胎を含む)を土中に葬ることをいいます。つまり、土葬も法律上認められています
5.墓地使用者が所在不明となって10年経過した墓については、経営者の裁量で撤去することが、法律で認められている。
5・・・妥当ではない
「墓地、埋葬等に関する法律」で「改葬」とは、「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し」、若しくは「収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移す」ことをいいます(墓地、埋葬等に関する法律2条3項)。
そして、本肢のように、墓を撤去する行為は、上記「改葬」に当たります。
また、埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律5条1項)。
よって、本肢の場合、「経営者の裁量で撤去」することはできず、
市町村長の許可が必要です。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問50|基礎知識・経済

近年の日本の貿易および対外直接投資に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 2010年代の日本の貿易において、輸出と輸入を合わせた貿易総額が最大である相手国は中国である。
  2. 日本の貿易収支は、東日本大震災の発生した2011年頃を境に黒字から赤字となり、その状況が続いている。
  3. 日本の対外直接投資を見ると、今後更なる成長が期待されるアジアやアフリカ諸国への投資規模が大きいのに対し、北米や欧州への投資規模は小さい。
  4. 日本の製造業における国内法人および海外現地法人の設備投資額のうち、海外現地法人の設備投資が占める割合は一貫して上昇している。
  5. 日本との間に国交が成立していない国・地域との貿易取引は、日本では全面的に禁止されている。

>解答と解説はこちら


【答え】: 1

【解説】

1.2010年代の日本の貿易において、輸出と輸入を合わせた貿易総額が最大である相手国は中国である。
1・・・妥当
2010年代の日本の貿易において、輸出と輸入を合わせた貿易総額が大きい相手国(上記3位)は下記の通りです。
1位:中国
2位:アメリカ
3位:韓国
2.日本の貿易収支は、東日本大震災の発生した2011年頃を境に黒字から赤字となり、その状況が続いている。
2・・・妥当ではない
日本の貿易収支は、東日本大震災の発生した2011年にいったん黒字から赤字となりました。
その後、2011年~2015年は赤字続きです。
2016年から黒字に転換し、2017年、2018年も引き続き黒字です。
3.日本の対外直接投資を見ると、今後更なる成長が期待されるアジアやアフリカ諸国への投資規模が大きいのに対し、北米や欧州への投資規模は小さい。
3・・・妥当ではない
日本貿易振興機構(JETRO:ジェトロ)が公表している直接投資統計によると、
2020年時点の日本の対外直接投資は、
アジア北米、欧州への投資規模は大きいですが、
中東アフリカへの投資規模は小さいです。
4.日本の製造業における国内法人および海外現地法人の設備投資額のうち、海外現地法人の設備投資が占める割合は一貫して上昇している。
4・・・妥当ではない
日本の製造業における国内法人および海外現地法人の設備投資額のうち、海外現地法人の設備投資が占める割合は、2013年度から2016年度まで減少しています。その後、2017年度~2019年度までは上昇傾向です。(経済産業省:海外事業活動基本調査
5.日本との間に国交が成立していない国・地域との貿易取引は、日本では全面的に禁止されている。
5・・・妥当ではない
日本との間に国交が成立していない国・地域との貿易取引について、禁止されてはいません。
実際、国交が成立していない台湾とは、貿易取引を行っています。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問47|基礎知識・社会

2017年11月から始まった新しい外国人技能実習制度に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.新しい制度が導入されるまでは、外国人の技能実習制度は、専ら外国人登録法による在留資格として定められていた。

イ.技能実習の適正な実施や技能実習生の保護の観点から、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制が新たに導入された。

ウ.優良な監理団体・実習実施者に対しては、実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大などの制度の拡充が図られた。

エ.外国人技能実習制度の円滑な運営および適正な拡大に寄与する業務を、国際協力機構(JICA)が新たに担うことが定められた。

オ.外国人技能実習制度の適正な実施および外国人技能実習生の保護に関する業務を行うため、外国人技能実習機構(OTIT)が新設された。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】: 1

【解説】

ア.新しい制度が導入されるまでは、外国人の技能実習制度は、専ら外国人登録法による在留資格として定められていた。
ア・・・妥当ではない
2017年11月から始まった新しい「外国人技能実習制度」については
2017年11月に施行された「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(外国人技能実習法」で規定されています。
そして、それ以前は、外国人労働者の受け入れについては、「出入国管理及び難民認定法」で定められていました。

イ.技能実習の適正な実施や技能実習生の保護の観点から、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制が新たに導入された。

イ・・・妥当
監理事業を行おうとする者は、事業の区分に従い、主務大臣の許可を受けなければなりません(外国人技能実習法23条)。
また、技能実習を行わせようとする日本の個人又は法人は、主務省令で定めるところにより、技能実習生ごとに、技能実習の実施に関する計画(技能実習計画)を作成し、これを主務大臣に提出して、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることができます(外国人技能実習法8条)。
したがって、妥当です。
ウ.優良な監理団体・実習実施者に対しては、実習期間の延長や受入れ人数枠の拡大などの制度の拡充が図られた。
ウ・・・妥当
優良な実習実施者・監理団体に限定して,実習期間の延長(3年間から5年間)人数枠が2倍となるなど、実習期間の延長や受け入れ人数枠の拡大などの制度の拡充が図られました。
  • 1年目の技能実習生:「第1号技能実習生」
  • 2、3年目の技能実習生:「第2号技能実習生」
  • 4、5年目の技能実習生:「第3号技能実習生」
  1. 第3号技能実習生の受入れについては、4~5年目の技能実習の実施が可能となりました(外国人技能実習法2条、9条、23条、25条)
  2. 受け入れ人数枠については、常勤従業員数の最大5%までから、最大10%までに拡大されました。

※「実施実習者」とは、技能実習を行う企業
※「監理団体」とは、技能実習を行う企業が、きちんと技能実習を行っているかをチェックする団体(例:商工会)

エ.外国人技能実習制度の円滑な運営および適正な拡大に寄与する業務を、国際協力機構(JICA)が新たに担うことが定められた。
エ・・・妥当ではない
本肢は、国際協力機構(JICA:ジャイカ)が妥当ではありません。
正しくは、国際研修協力機構(JITCO:ジツコ)です。
国際協力機構JITCO)は、1991年に財団法人として設立され、2012年4月に内閣府所管の公益財団法人に移行しました。
略称をJITCO(ジツコ、Japan International Cooperation Organization)といい、技能実習生、特定技能外国人等の外国人材の受入れの促進を図り、国際経済社会の発展に寄与することを事業目的としています。※独立行政法人国際協力機構(JICA:ジャイカ)は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
オ.外国人技能実習制度の適正な実施および外国人技能実習生の保護に関する業務を行うため、外国人技能実習機構(OTIT)が新設された。
オ・・・妥当
外国人技能実習機構OTIT、: Organization for Technical Intern Training)は、外国人技能実習法に基づく法務省及び厚生労働省が所管する認可法人です。
そして、外国人技能実習機構は、外国人の技能、技術又は知識の修得、習熟又は熟達に関し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進することを目的としています。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問48|基礎知識・その他

行政書士に関する国の事務をつかさどるのは総務省であるが、専門資格に関する事務をつかさどる省庁についての次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.財務省は、不動産鑑定士に関する事務をつかさどる。

イ.金融庁は、公認会計士に関する事務をつかさどる。

ウ.法務省は、司法書士に関する事務をつかさどる。

エ.厚生労働省は、獣医師に関する事務をつかさどる。

オ.経済産業省は、弁理士に関する事務をつかさどる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】: 2

【解説】

ア.財務省は、不動産鑑定士に関する事務をつかさどる。
ア・・・妥当ではない
不動産鑑定士に関する事務は、国土交通省がつかさどっています(国土交通省組織令75条4号、不動産の鑑定評価に関する法律3条)。
イ.金融庁は、公認会計士に関する事務をつかさどる。
イ・・・妥当
公認会計士に関する事務は、金融庁がつかさどっています(公認会計士法35条)。
ウ.法務省は、司法書士に関する事務をつかさどる。
ウ・・・妥当
司法書士に関する事務は、法務省がつかさどっています(法務省組織令4条3号)。
エ.厚生労働省は、獣医師に関する事務をつかさどる。
エ・・・妥当ではない
獣医師に関する事務は、農林水産省がつかさどっています(農林水産省組織令4条15号)。
オ.経済産業省は、弁理士に関する事務をつかさどる。
オ・・・妥当
弁理士に関する事務は、経済産業省がつかさどっています(経済産業省組織令136条21号)。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問46|民法・記述

甲自動車(以下「甲」という。)を所有するAは、別の新車を取得したため、友人であるBに対して甲を贈与する旨を口頭で約し、Bも喜んでこれに同意した。しかしながら、Aは、しばらくして後悔するようになり、Bとの間で締結した甲に関する贈与契約をなかったことにしたいと考えるに至った。甲の引渡しを求めているBに対し、Aは、民法の規定に従い、どのような理由で、どのような法的主張をすべきか。40字程度で記述しなさい。なお、この贈与契約においては無効および取消しの原因は存在しないものとする。

>解答と解説はこちら


【答え】:Aは、書面によらず、履行が終わっていないことを理由に、贈与契約を解除すべき。(38字)

【解説】

問題文の状況整理

質問内容は
「Aは、Bとの贈与契約をなかったことにしたい場合、どのような理由で、どのような法的主張をすべきか?」
です。

つまり、

①どのような理由
②どのような法的主張

この2つを記述することが重要です。

問題文の状況を整理すると

  • Aは、Bと口頭で、甲自動車を贈与する契約を締結した。
  • その後、Aは、当該贈与契約をなかったことにしたいと考えている

という状況です。

解答の検討

贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じます(改正民法549条)。
そして、書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができます(行政書士,過去問,平成30年,2019,問46,民法・記述)。
ただし、履行の終わった部分については、解除できません(同条但し書き)。

本問を見ると、口頭で贈与契約をしています。
したがって、書面によらない贈与です。
書面によらない贈与(口頭による贈与)において、甲自動車の贈与契約をなかったことにするには、「履行が終わっていないこと」が必要です。

そして、法的主張については、「解除」です。

したがって、
Aは、書面によらず、履行が終わっていないことを理由に、贈与契約を解除すべき。(38字)

平成30年・2018|問45|民法・記述

画家Aは、BからAの絵画(以下「本件絵画」といい、評価額は500万円~600万円であるとする。)を購入したい旨の申込みがあったため、500万円で売却することにした。ところが、A・B間で同売買契約(本問では、「本件契約」とする。)を締結したときに、Bは、成年被後見人であったことが判明したため(成年後見人はCであり、その状況は現在も変わらない。)、Aは、本件契約が維持されるか否かについて懸念していたところ、Dから本件絵画を気に入っているため600万円ですぐにでも購入したい旨の申込みがあった。Aは、本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている。Aが本件絵画をDに売却する前提として、Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか。なお、AおよびDは、制限行為能力者ではない。
「Aは、」に続け、下線部分につき40字程度で記述しなさい。記述に当たっては、「本件契約」を入れることとし、他方、「1か月以上の期間を定めて」および「その期間内に」の記述は省略すること。

>解答と解説はこちら


【答え】:「Aは、」Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得る。(40字)

【解説】

問題文の状況整理

質問内容は
「Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか。」

①誰に対して
②どのような催告をし
③どのような結果を得る必要があるか

この3つを記述することが重要です。

問題文の状況を整理すると

  1. 画家AはBに絵画を売却した(本件契約)。
  2. しかし、売却した当時、買主Bは、成年被後見人であった。
    (成年後見人はC)
  3. 現在も、Bは成年被後見人である。
  4. 一方、Aは、Dから本件絵画の購入したい旨の申込みがあった。
  5. Aは、本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている。
  6. Aが本件絵画をDに売却することを前提した場合、Aは、誰に対し、1か月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか?
  7. なお、AおよびDは、制限行為能力者ではない。

という内容です。

解答の検討

AはDに売りたいと思っているので、AB間の売買契約を取消す必要があります。

その場合のどのような手続きが必要か?

最終的には、相手方(B側)に追認拒絶をしてもらえれば、契約取消しとなり、AはDに売却できます。

成年被後見人に対して催告しても、催告自体無効です。
「追認するかどうかの催告」は、保護者である成年後見人Cに対して行う必要があります

そして、成年後見人Cが追認拒絶をしてくれれば、無事AはDに売却できます。

上記をまとめると

Aは、Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得ることができれば、Dに絵画を売却できます。

40字でまとめると

「Aは、」Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得る。(40字)

平成30年・2018|問44|行政法・記述

Xは、A県B市内において、農地を所有し、その土地において農業を営んできた。しかし、高齢のため農作業が困難となり、後継者もいないため、農地を太陽光発電施設として利用することを決めた。そのために必要な農地法4条1項所定のA県知事による農地転用許可を得るため、その経由機関とされているB市農業委員会の担当者と相談したところ、「B市内においては、太陽光発電のための農地転用は認められない。」として、申請用紙の交付を拒否された。そこで、Xは、インターネットから入手した申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。この場合、農地転用許可を得るため、Xは、いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

(参照条文)
農地法
(農地の転用の制限)
第4条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。(以下略)
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。
3 農業委員会は、前項の規定により申請書の提出があったときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:A県を被告として、不作為の違法確認訴訟と農地転用許可の義務付け訴訟を併合提起すべき。(42字)

【解説】

質問内容は
「Xは、①いかなる被告に対し、②どのような訴訟を提起すべきか」
となっているので、

①被告は誰とすべきか?
②どのような訴訟を提起すべきか?

この2つを記述することが重要です。

①どのような訴訟をすべきか?

農地転用許可を得ることが目的の訴訟です。
つまり、「農地転用許可の義務付け訴訟」は必要です。

そして、申請型の義務付け訴訟を提起するには、
「取消訴訟」、「無効確認の訴え」、「不作為の違法確認訴訟」と併せて提起することが要件となっています。

問題文を見ると、
『申請用紙に必要事項を記入してA県知事宛ての農地転用許可の申請書を作成し、必要な添付書類とともにB市農業委員会に郵送した。ところが、これらの書類は、「この申請書は受理できません。」とするB市農業委員会の担当者名の通知を添えて返送されてきた。』
と記載されています。
つまり、申請書は、B市農業委員会に到達しています。
よって、行政庁は、遅滞なく審査を開始しなければなりません(行政手続法7条)。
それにもかかわらず、「この申請書は受理できません。」と返答が来たわけです。
行政庁は、受理しないということはできないため、
処分を行っていない以上、不作為状態にあるといえます。

したがって、本問の場合、「不作為の違法確認訴訟」と併せて提起する必要があります。

そのため、「不作為の違法確認訴訟」と「農地転用許可の義務付け訴訟」を併合して提起しなければなりません。

①被告は誰とすべきか?

処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、処分または裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条取消訴訟の被告適格)。

本問の場合、「A県知事宛ての農地転用許可を申請」したにも関わらず不作為状態なので、A県知事を被告とします。

よって、まとめると、
A県を被告として、不作為の違法確認訴訟と農地転用許可の義務付け訴訟を併合提起すべき。(42字)
となります。