平成30年度(2018年度)過去問

平成30年・2018|問26|保育所廃止条例の制定行為の判例

ある市立保育所の廃止に関する以下の会話を受けてCが論点を整理した次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

A:友人が居住している市で、3つある市立保育所を廃止するための条例が制定されるらしいんだ。この場合、どうしたら、条例の制定を阻止できるのだろうか。

B:議会への働きかけも含めていろいろ考えられるけれども、その他、何らかの訴訟を提起することも考えられるね。

C:行政事件訴訟法と地方自治法を勉強するいい機会だから、すこし考えてみよう。

  1. 特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止するために、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。
  2. 特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為については、住民訴訟によってその差止めを求めることができる。
  3. 条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属するが、一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。
  4. 特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、一定数の選挙人の署名により、地方自治法上の直接請求をすることができる。
  5. 処分の取消判決や執行停止の決定には第三者効が認められているため、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性がある。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止するために、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。
1・・・妥当ではない
処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げません(行政事件訴訟法25条1項)。そのため、処分の取消訴訟をしたとしても、処分の執行は停止しません。。
なので、処分の取消しの訴えの提起をした後に、執行停止の申立てをすることができます(行政事件訴訟法25条2項)。
よって、「効力停止の申立てのみ、抗告訴訟(取消訴訟)の提起の前に行うことができる」という記述は妥当ではありません。
2.特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為については、住民訴訟によってその差止めを求めることができる。
2・・・妥当ではない
まず、住民訴訟は、住民監査請求をしたにも関わらず、①その監査結果に不服あるときや、②監査委員が勧告したが、議会や長等がその勧告に従わない場合に、裁判所に訴えを提起するものです(地方自治法242条の2)。
そして、住民監査請求の対象は、「財務会計上の違法・不当な行為または不作為」です(地方自治法242条)。
したがって、住民訴訟の対象も「財務会計上の違法な行為または不作為」です。
よって、条例制定行為について、住民訴訟を行うことはできません。
そして、「特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為」については、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるため、抗告訴訟によって差止めを求めること(差止め訴訟)は可能です。
ちなみに、下記判例の事案では「取消訴訟」を提起しています。
3.条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属するが、一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。
3・・・妥当ではない
選択肢の2の判例の詳細解説にも記載されていますが、
条例の制定は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから、一般的には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでない、とされています。
したがって、妥当ではありません。
事案の内容は、条例の制定行為ではあるが、限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるため、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとしています(「最判平21.11.26:保育所廃止条例の制定行為」の解説参照)。
4.特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、一定数の選挙人の署名により、地方自治法上の直接請求をすることができる。
4・・・妥当ではない
普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(有権者)は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条1項)。
上記直接請求に関する規定は、
「制定されていない条例を制定しろ!」と請求したり
「制定された条例を変更しろ!廃止しろ!」と請求したりすることです。
条例制定議決の阻止を請求することはできません。
5.処分の取消判決や執行停止の決定には第三者効が認められているため、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性がある。
5・・・妥当
選択肢1、3で解説した「最判平21.11.26:保育所廃止条例の制定行為」の解説にも記載していますが、
「処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある」
と判示しています。
したがって、本肢は妥当です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問35|民法:後見

後見に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときに限り、開始する。
  2. 未成年後見人は自然人でなければならず、家庭裁判所は法人を未成年後見人に選任することはできない。
  3. 成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所の審判によって開始する。
  4. 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務のほか、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。
  5. 後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときに限り、開始する。

1・・・妥当でない
未成年者に対して親権を行う者がないとき」又は「親権を行う者が管理権を有しないとき後見は開始します(民法838条
よって、親権を行う者がないときに限らないので、本肢は妥当ではありません。
  • 「後見」とは、「親権者のいない未成年者」や「精神上の障害者」で後見開始の審判を受けた者の「身上や財産の保護」を行う制度を言います。
  • 「管理権」とは、親権者が、子どもの財産を管理する権利のことです。

「親権」や「親権を行う者がないとき」については、個別指導で解説します!

2.未成年後見人は自然人でなければならず、家庭裁判所は法人を未成年後見人に選任することはできない。

2・・・妥当でない

未成年後見人は自然人だけでなく、法人を選任することもできます民法840条3項)。

よって、本肢は妥当ではありません。

3.成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所の審判によって開始する。
3・・・妥当でない
精神上の障害により事理を弁識する能力を「欠く常況」にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができます(民法7条)。
つまり、成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が「著しく不十分」ではなく
「欠く常況(常に能力がない)」場合に、家庭裁判所の審判によって開始します。よって、誤りです。「著しく不十分」は被保佐人です(民法11条)。
4.成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務のほか、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。
4・・・妥当でない
結論から言えば、後半分の「成年後見人は、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。」という部分が妥当ではないです。

■ 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民法858条)。つまり、成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務があるので、前半部分は正しいです。

■ 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について、当該未成年者は賠償責任を負いません(712条)。

そして、当該未成年者が責任を負わない場合、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者(法定監督義務者)は、原則、その責任無能力者(未成年者)が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(714条)。

そして、判例では、成年後見人であるというだけでは、法定監督義務者には当たらないとしています。つまり、「当然に法定の監督義務者として責任を負う」という記述は誤りです。

判例によると「精神障害者と同居する配偶者であるからといって、その者が当然に『責任無能力者を監督する法定の義務を負う者』に当たるとすることはできない」としています(最判平28.3.1)。
つまり、本肢は「当然に法定の監督義務者として責任を負う」が妥当ではありません。そして、上記「法定の監督義務者」に該当しない者であっても、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、法定の監督義務者に準ずべき者として、責任を負うとしています。

5.後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。
5・・・妥当
結論から言えば、「後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、後見監督人となることができない(民法850条)」ので妥当です。
後見監督人の仕事は、「後見人の事務を監督すること」、「後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること」、「急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること」、「後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること」です(民法851条)。
後見人に近しい者が後見監督人であると、公平に後見人を監督できないかのうせいがあるので、後見監督人になることはできないことになっています。
したがって、妥当である。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問34|民法:離婚

離婚に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.離婚における財産分与は、離婚に伴う精神的苦痛に対する損害の賠償も当然に含む趣旨であるから、離婚に際し財産分与があった場合においては、別途、離婚を理由とする慰謝料の請求をすることは許されない。

イ.離婚に際して親権者とならず子の監護教育を行わない親には、子と面会・交流するためのいわゆる面接交渉権があり、この権利は親子という身分関係から当然に認められる自然権であるから、裁判所がこれを認めない判断をすることは憲法13条の定める幸福追求権の侵害に当たる。

ウ.父母が協議上の離婚をする場合に、その協議でその一方を親権者として定めなかったにもかかわらず、誤って離婚届が受理されたときであっても、当該離婚は有効に成立する。

エ.民法の定める離婚原因がある場合には、当事者の一方は、その事実を主張して直ちに家庭裁判所に対して離婚の訴えを提起することができ、訴えが提起されたときは、家庭裁判所は直ちに訴訟手続を開始しなければならない。

オ.夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及び、その夫婦の間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により極めて苛酷な状態に置かれる等著しく社会的正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの離婚請求であるとの一事をもって離婚が許されないとすることはできない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:4(ウとオが妥当)

【解説】

ア.離婚における財産分与は、離婚に伴う精神的苦痛に対する損害の賠償も当然に含む趣旨であるから、離婚に際し財産分与があった場合においては、別途、離婚を理由とする慰謝料の請求をすることは許されない。

ア・・・妥当でない
判例によると
「すでに財産分与がなされた場合においても、・・・その額および方法において分与請求者の精神的苦痛を慰籍するに足りないと認められるものであるときは、右請求者は、別個に、相手方の不法行為を理由として離婚による慰籍料を請求することができる」としています(最判昭46.7.23)。
つまり、
離婚の財産分与には、「精神的苦痛に対する損害賠償」が含まれない場合もあり、
「精神的苦痛に対する損害賠償」が含まれない場合、財産分与とは別に、慰謝料を請求できます。よって、本肢は妥当ではありません。
イ.離婚に際して親権者とならず子の監護教育を行わない親には、子と面会・交流するためのいわゆる面接交渉権があり、この権利は親子という身分関係から当然に認められる自然権であるから、裁判所がこれを認めない判断をすることは憲法13条の定める幸福追求権の侵害に当たる。
イ・・・妥当でない
協議離婚をした際に親権者とされなかった親が、子どもと面会交渉することについて
裁判所が、親の面接交渉権を認めない判断をすることは、憲法13条に違反するかどうかの問題ではないとしています(最判昭59.7.6)。
つまり、本肢の「幸福追求権の侵害に当たる」というのは妥当ではありません。
ウ.父母が協議上の離婚をする場合に、その協議でその一方を親権者として定めなかったにもかかわらず、誤って離婚届が受理されたときであっても、当該離婚は有効に成立する。
ウ・・・妥当
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。
そして、離婚の届出は、上記規定等の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができません(民法765条1項)。だたし、離婚の届出が、上記に違反して受理された場合、離婚は、有効に成立してしまいます(同条3項)。つまり、父母が協議上の離婚をする場合に、その協議でその一方を親権者として定めなかった場合であっても、誤って離婚届が受理されたときは、当該離婚は有効に成立します。

したがって、本肢は妥当です。

エ.民法の定める離婚原因がある場合には、当事者の一方は、その事実を主張して直ちに家庭裁判所に対して離婚の訴えを提起することができ、訴えが提起されたときは、家庭裁判所は直ちに訴訟手続を開始しなければならない。
エ・・・妥当でない
離婚の裁判をしようとする場合、事前に離婚調停をしなければなりません家事事件手続法257条:調停前置主義)。
よって、本肢は妥当ではありません。
オ.夫婦の別居が両当事者の年齢および同居期間との対比において相当の長期間に及び、その夫婦の間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により極めて苛酷な状態に置かれる等著しく社会的正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの離婚請求であるとの一事をもって離婚が許されないとすることはできない。
オ・・・妥当
「有責配偶者」とは、離婚の原因を作った側を指します。そして、判例では、
「有責配偶者からされた離婚請求であっても、
夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、
その間に未成熟子がいない場合には、
相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」としています(最大判昭62.9.2)。つまり、特段の事情がない限り、有責配偶者からでも、離婚請求ができるということです。よって、本肢は妥当です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問33|民法:不法行為

Aに雇われているBの運転する車が、Aの事業の執行中に、Cの車と衝突して歩行者Dを負傷させた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。なお、Aには使用者責任、BおよびCには共同不法行為責任が成立するものとする。

  1. AがDに対して損害を全額賠償した場合、Aは、Bに故意または重大な過失があったときに限ってBに対して求償することができる。
  2. AがDに対して損害を全額賠償した場合、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってCに対して求償することができる。
  3. CがDに対して損害を全額賠償した場合、Cは、Bに対してはB・C間の過失の割合によるBの負担部分について求償することができるが、共同不法行為者でないAに対しては求償することができない。
  4. Cにも使用者Eがおり、その事業の執行中に起きた衝突事故であった場合に、AがDに対して損害を全額賠償したときは、Aは、AとEがそれぞれ指揮監督するBとCの過失の割合によるCの負担部分についてEに対して求償することができる。
  5. BがAのほかFの指揮監督にも服しており、BがAとFの事業の執行中に起きた衝突事故であった場合に、AがDに対して損害を全額賠償したときは、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってFに対して求償することができる。

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【答え】:4

【解説】

本肢は、図を使いながら解説しないと理解しづらいので、個別指導では図を使いながら解説します!

1.AがDに対して損害を全額賠償した場合、Aは、Bに故意または重大な過失があったときに限ってBに対して求償することができる。

1・・・妥当でない
使用者Aは、原則、被用者Bがその事業の執行について第三者Dに加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条1項)。
そして、使用者が賠償した場合、被用者に対して、求償することができます(同条3項)。この場合、被用者Bの故意または重過失は関係ありません

よって、「Bに故意または重大な過失があったときに限ってBに対して求償することができる。」は妥当ではありません。

2.AがDに対して損害を全額賠償した場合、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってCに対して求償することができる。
2・・・妥当でない
BとCの共同不法行為によって、Dに損害を与えた場合、BとCは連帯して債務を負います。
そして、使用者AがDに対して損害を全額賠償した場合、被用者Bと第三者Cとの過失の割合にしたがって求償することができます(最判昭41.11.18)。
よって、「Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってCに対して求償することができる」は妥当ではありません。
3.CがDに対して損害を全額賠償した場合、Cは、Bに対してはB・C間の過失の割合によるBの負担部分について求償することができるが、共同不法行為者でないAに対しては求償することができない。
3・・・妥当でない
BとCの共同不法行為によって、Dに損害を与えた場合、BとCは連帯して債務を負います。
そして、第三者CがDに対して損害を全額賠償した場合、被用者Bと第三者Cとの過失の割合にしたがって求償することができます(最判昭41.11.18)。
つまり、「Cは、Bに対してはB・C間の過失の割合によるBの負担部分について求償することができる」は正しいです。さらに、第三者Cは、被用者Bの負担部分について使用者Aに対し求償することができます(最判昭63.7.1)。

したがって、「Cは、共同不法行為者でないAに対しては求償することができない」が妥当ではありません。

4.Cにも使用者Eがおり、その事業の執行中に起きた衝突事故であった場合に、AがDに対して損害を全額賠償したときは、Aは、AとEがそれぞれ指揮監督するBとCの過失の割合によるCの負担部分についてEに対して求償することができる。
4・・・妥当
BとCの共同不法行為によって、Dに損害を与えた場合、BとCは連帯して債務を負います。
そして、加害者Bと加害者Cそれぞれに使用者がいた場合、一方の加害者の使用者Aは、当該加害者の過失割合に従って定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときは、その超える部分につき、他方の加害者の使用者Eに対し、当該加害者の過失割合に従って定められる負担部分の限度として、求償することができます(最判平3.10.25)。よって、本肢は妥当です。
5.BがAのほかFの指揮監督にも服しており、BがAとFの事業の執行中に起きた衝突事故であった場合に、AがDに対して損害を全額賠償したときは、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってFに対して求償することができる。
5・・・妥当でない
被用者Bの使用者が、AとFの二者いた場合、AとFの負担部分は責任の程度に応じて負担します。
つまり、AがDに対して全額賠償した場合、AはFに対して、Fの責任割合(負担部分)を限度に求償することができます(最判平3.10.25)。本肢は「損害の公平な分担という見地から均等の割合に限って」が妥当ではありません。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問31|民法:弁済

弁済に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、債務者による充当の指定がない限り、これを順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。
  2. 同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する債務者が、弁済として給付した金銭の額が全ての債務を消滅させるのに足りない場合であって、債務者が充当の指定をしないときは、債権者が弁済を受領する時に充当の指定をすることができるが、債務者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。
  3. 金銭債務を負担した債務者が、債権者の承諾を得て金銭の支払に代えて不動産を給付する場合において、代物弁済が成立するためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならない。
  4. 債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供をしなくても同責任を免れる。
  5. 債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.債務者が元本のほか利息および費用を支払うべき場合において、弁済として給付した金銭の額がその債務の全部を消滅させるのに足りないときは、債務者による充当の指定がない限り、これを順次に費用、利息および元本に充当しなければならない。
1・・・妥当ではない
債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に「費用」、「利息」及び「元本」に充当しなければなりません(民法489条1項)。つまり、一部を弁済した場合、「費用」→「利息」→「元本」の順に充てられます。本肢は「債務者による充当の指定がない限り」が誤りです。

債務者や債権者が一方的に充当の順番を決めることはできません

当事者間で合意があれば、その合意した順序で充当します。

2.同一の債権者に対して数個の金銭債務を負担する債務者が、弁済として給付した金銭の額が全ての債務を消滅させるのに足りない場合であって、債務者が充当の指定をしないときは、債権者が弁済を受領する時に充当の指定をすることができるが、債務者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。
2・・・妥当
債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます(民法488条1項)。一方、弁済をする者が上記のような指定をしないときは、弁済を受領する者(債権者)は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができます。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、債権者の指定は無効となります(同条2項)。つまり、本肢は妥当です!

これはきちんと理解していただきたいので、個別指導では具体例を入れながら解説します!

3.金銭債務を負担した債務者が、債権者の承諾を得て金銭の支払に代えて不動産を給付する場合において、代物弁済が成立するためには、債権者に所有権を移転させる旨の意思表示をするだけでは足りず、所有権移転登記がされなければならない。
3・・・妥当
判例によると、
金銭債務の債務者が、債権者の承諾を得て、お金の代わりに不動産で支払う場合、「登記その他引渡し行為を完了し、第三者に対する対抗要件を具備したとき」に代物弁済による債務が消滅するとしています(最判昭40.4.30)。よって、本肢は妥当です。
4.債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をすれば債務不履行責任を免れるが、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるときは、口頭の提供をしなくても同責任を免れる。
4・・・妥当
弁済の提供は、原則、債務の本旨に従って現実に提供しなければなりません(現実の提供)。ただし、債権者があらかじめその受領を拒んでいるときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足ります(口頭の提供)(民法493条)。さらに、債権者において契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められるとき
判例では、
債務者は口頭の提供をしなくとも債務不履行の責めを免れる」としています(最大判昭32.6.5)。

つまり、本肢は妥当です。

5.債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができる。
5・・・妥当
弁済者は、「弁済の提供をした上」で、債権者がその受領を拒んだとき、債権者のために弁済の目的物を供託することができます(民法494条)。上記の通り「弁済の提供が必要」なので、
債権者があらかじめ金銭債務の弁済の受領を拒んでいる場合、債務者は、口頭の提供をした上で弁済の目的物を供託することにより、債務を消滅させることができます。よって、妥当です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問28|民法:停止条件

A・B間で締結された契約(以下「本件契約」という。)に附款がある場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.本件契約に、経済情勢に一定の変動があったときには当該契約は効力を失う旨の条項が定められている場合、効力の喪失時期は当該変動の発生時が原則であるが、A・Bの合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。

イ.本件契約が売買契約であり、買主Bが品質良好と認めた場合には代金を支払うとする旨の条項が定められている場合、この条項はその条件の成就が代金債務者であるBの意思のみに係る随意条件であるから無効である。

ウ.本件契約が和解契約であり、Bは一定の行為をしないこと、もしBが当該禁止行為をした場合にはAに対して違約金を支払う旨の条項が定められている場合、Aが、第三者Cを介してBの当該禁止行為を誘発したときであっても、BはAに対して違約金支払の義務を負う。

エ.本件契約が農地の売買契約であり、所有権移転に必要な行政の許可を得られたときに効力を生じる旨の条項が定められている場合において、売主Aが当該許可を得ることを故意に妨げたときであっても、条件が成就したとみなされることはない。

オ.本件契約が金銭消費貸借契約であり、借主Bが将来社会的に成功を収めた場合に返済する旨の条項(いわゆる出世払い約款)が定められている場合、この条項は停止条件を定めたものであるから、Bは社会的な成功を収めない限り返済義務を負うものではない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2(アとエが妥当

【解説】

ア.本件契約に、経済情勢に一定の変動があったときには当該契約は効力を失う旨の条項が定められている場合、効力の喪失時期は当該変動の発生時が原則であるが、A・Bの合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能である。

ア・・・妥当

  1. 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力が生じます。
  2. 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失います。

そして、上記2つについて、当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従います民法127条)。

つまり、「A・Bの合意により、効力の喪失時期を契約時に遡らせることも可能」なので、本肢は正しいです。

イ.本件契約が売買契約であり、買主Bが品質良好と認めた場合には代金を支払うとする旨の条項が定められている場合、この条項はその条件の成就が代金債務者であるBの意思のみに係る随意条件であるから無効である。
イ・・・妥当ではない
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効です(民法134条:随意契約という)。随意契約とは、例えば、「気が向いたら100万円プレゼントするよ」といった契約で、
このような法律行為(契約)は、拘束力がないので無効です。本肢の「買主Bが品質良好と認めた場合には代金を支払うとする旨の条項」について、上記随意契約にあたるかというと判例では、随意契約とはいえず、契約は有効としています(最判昭31.4.6)。よって、本肢は妥当ではありません。個別指導では、判例の内容を踏まえて解説をしています!
ウ.本件契約が和解契約であり、Bは一定の行為をしないこと、もしBが当該禁止行為をした場合にはAに対して違約金を支払う旨の条項が定められている場合、Aが、第三者Cを介してBの当該禁止行為を誘発したときであっても、BはAに対して違約金支払の義務を負う。
ウ・・・妥当ではない
条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができます(民法130条)。本肢を見ると、AB間で何らかの和解契約を締結しており、「Bは一定行為をしないこと(条件)」「Bが一定の禁止行為を行った場合、違約金が発生する(効果)」旨の条項があります。そして、Aが第三者Cを使って、「Bの禁止行為を誘発させた」。つまり、Aが不正に条件成就させています。そのため、上記条件は成就しなかったとみなして
Bは違約金を支払う必要はありません。よって、本肢は妥当ではありません。
エ.本件契約が農地の売買契約であり、所有権移転に必要な行政の許可を得られたときに効力を生じる旨の条項が定められている場合において、売主Aが当該許可を得ることを故意に妨げたときであっても、条件が成就したとみなされることはない。
エ・・・妥当
農地の売買契約について、農地の売主が、故意に、知事の許可を取るのを妨害した場合について
判例によると、「当事者が知事の許可を得ることを条件とする農地の売買契約は法律上当然必要なことを約定したにとどまり、停止条件を付したものということはできない。そのため、農地売買において、農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても、条件が成就したとみなすことはできない」としています(最判昭36.5.26)。よって、本肢は妥当です。この点については、上記以外に理解すべき部分があるので、個別指導で解説します!
オ.本件契約が金銭消費貸借契約であり、借主Bが将来社会的に成功を収めた場合に返済する旨の条項(いわゆる出世払い約款)が定められている場合、この条項は停止条件を定めたものであるから、Bは社会的な成功を収めない限り返済義務を負うものではない。

オ・・・妥当ではない

「条件」と「期限」の2つの似たような用語があります。

「条件」とは、将来、発生するかが不確実なものに関する内容を言います。
例えば「行政書士試験に合格したら100万円をあげる。」という場合
行政書士試験に合格するかどうか不確実です。そのため「条件」です。

「期限」とは、将来、発生することが確実なものに関する内容です。
例えば、「あなたの父が死亡したら、100万をあげる。」という場合です。
人は必ず死亡するので、確実な内容です。そのため「期限」です。

では、本肢の「出世払い」は「条件」なのか「期限」なのか?

判例によると
「出世払い」は、「期限(不確定期限)」としています(大判大4.3.24)。

そのため、停止条件付ではないので妥当ではないです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問2|法令用語

「法」に関する用語を説明する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.自然法に対して、国家機関による制定行為や、慣習などの経験的事実といった人為に基づいて成立した法を「実定法」という。

イ.手続法に対して、権利の発生、変更および消滅の要件など法律関係について規律する法を「実質法」という。

ウ.ある特別法との関係において、当該特別法よりも適用領域がより広い法を「基本法」という。

エ.社会の法的確信を伴うに至った慣習であって、法的効力が認められているものを「社会法」という。

オ.渉外的な法律関係に適用される法として、国際私法上のルールによって指定される法を「準拠法」という。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア.自然法に対して、国家機関による制定行為や、慣習などの経験的事実といった人為に基づいて成立した法を「実定法」という。
ア・・・妥当
実定法とは、「人為により定立された法(ルール)」又は「特定の社会内で習慣的に行われている法(ルール)」のことです。
「実定法」の対義語となるのが「自然法」です。
自然法とは、実定法に優先して存在し、永遠普遍の法(ルール)を言います。つまり、実際に国会等で成立した法律等ではないけど、それらの法律等よりも上位の効力を有するとされている存在です。分かりやすい具体例でいうと、「公序良俗(社会秩序といったイメージ)」です。「公序良俗」とは何か、という具体的な定義はなく、概念的な内容です。しかし、判例でもよくあるように、「公序良俗(社会秩序)」を基準に判断して、裁判官の裁量により、判決を下すこともあります。
イ.手続法に対して、権利の発生、変更および消滅の要件など法律関係について規律する法を「実質法」という。
イ・・・妥当ではない
まず、「手続法」を解説するために、「実体法」を解説します。
実体法とは、権利義務の発生や消滅など法律関係の内容について定める法律を言います。例えば、「民法、商法、刑法など」が「実体法」です。そして、
手続法とは、権利や義務など法律が定める内容を実現するための手続きを定めた法律を言います。例えば、「民事訴訟法や刑事訴訟法など」が「手続法」です。
ウ.ある特別法との関係において、当該特別法よりも適用領域がより広い法を「基本法」という。
ウ・・・妥当ではない
まず「特別法」を解説するために、「一般法」を解説します。
一般法とは、人や場所、事柄などを具体的に限定せずに、一般的な場合に適用する法律を言います。一方、
特別法は、人や場所、事柄などを具体的に限定して、その特定した場合についてのみ適用する法律を言います。例えば、民法では「賃貸借」というルールがあります。ここでは、お金の貸し借り、モノの貸し借り、土地の貸し借り等いろいろな場合に適用できるルールです。
しかし、土地の貸し借りでも、「建物を建てることを目的」として土地の貸し借りを行う場合は、借地借家法という特別法が適用されます。つまり、土地の貸し借りについては、原則、一般法である民法が適用されるが、「建物を建てることを目的」とする特定の事柄については、特別法である、借地借家法を適用するわけです。
特別法と一般法のどちらにも規定されている場合、特別が一般法に優先して適用されます(特別法優先の原則)。
上記事例のように、民法と借地借家法では、借地借家法が優先します。
また、民法と商法との関係では、「民法が一般法」「商法が特別法」です。
民法は、一般人間に適用されるルールを規定した法律で、商法は、より範囲が限定される商人間に適用されるルールを規定した法律です。そのため、民法と商法とでは、特別法である商法を優先して適用します。
エ.社会の法的確信を伴うに至った慣習であって、法的効力が認められているものを「社会法」という。
エ・・・妥当ではない
慣習法とは、立法機関の制定によるものでなくても、人々の間あるいは国際間の慣習に基づいて社会通念として成立する法(ルール)を言います。
社会法とは、社会的な問題を修正・解決する意味合いを持つ法で、社会福祉や労働に関する法(例えば、高齢者医療確保法、健康保険法、労働基準法、)を言います。
オ.渉外的な法律関係に適用される法として、国際私法上のルールによって指定される法を「準拠法」という。
オ・・・妥当
準拠法とは、国際取引等の国際的な法律関係において、どちらの国の法律を適用するか、ということをいいます。
「渉外的な法律関係」とは、「複数の国の個人や法人」または「国家間」の法律関係を言います。その場合に適用されるルールが準拠法となります。例えば、不法行為については、その原因事実発生地の法律が準拠法とされます。つまり、外国人が日本で不法行為を行った場合、日本の民法の不法行為のルールが適用されるということです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問57|基礎知識・個人情報保護

個人情報保護法※2条2項にいう「個人識別符号」であるものとして次のア~オのうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.携帯電話番号

イ.個人番号(マイナンバー)

ウ.メールアドレス

エ.クレジットカード番号

オ.指紋データ

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

(注)※個人情報の保護に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】: 3

【解説】

個人情報保護法において「個人識別符号」とは、政令で定めるものをいいます(個人情報保護法2条2項)。

個人情報の保護に関する法律(以下「法」という。)第二条第二項の政令で定める文字、番号、記号その他の符号は、次に掲げるものとする(個人情報保護法施行令1条)。

  1. 次に掲げる身体の特徴のいずれかを電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、特定の個人を識別するに足りるものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に適合するもの
    イ 細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列
    ロ 顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌
    ハ 虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様
    ニ 発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化
    ホ 歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様
    ヘ 手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状
    ト 指紋又は掌紋
  2. 旅券法の旅券の番号
  3. 国民年金法の基礎年金番号
  4. 道路交通法の免許証の番号
  5. 住民基本台帳法の住民票コード
  6. 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の個人番号(マイナンバー)
  7. 次に掲げる証明書にその発行を受ける者ごとに異なるものとなるように記載された個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、記号その他の符号
    イ 国民健康保険法の被保険者証
    ロ 高齢者の医療の確保に関する法律の被保険者証
    ハ 介護保険法の被保険者証
  8. その他前各号に準ずるものとして個人情報保護委員会規則で定める文字、番号、記号その他の符号
ア.携帯電話番号
ア・・・妥当でない
携帯電話番号は、個人識別符号にあたりません。
イ.個人番号(マイナンバー)
イ・・・妥当
個人番号(マイナンバー)は、個人識別符号にあたります
ウ.メールアドレス
ウ・・・妥当ではない
エ.クレジットカード番号
エ・・・妥当でない
オ.指紋データ
オ・・・妥当
指紋データは、個人識別符号にあたります

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問56|基礎知識・個人情報保護

個人情報保護法※に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. (適切ではない設問なので省略)
  2. 地方公共団体が取り扱う情報について、個人情報保護法の個人情報取扱事業者に関する規定が適用されることはないが、個人情報保護法の範囲内で、各地方公共団体は個人情報保護に関連する条例を定めることは可能である。
  3. 2017年の個人情報保護法の改正において、要配慮個人情報という概念が新たに設けられ、要配慮個人情報を個人情報取扱事業者が取り扱う場合、他の個人情報とは異なる取扱いを受けることになった。
  4. (適切ではない設問なので省略)
  5. (適切ではない設問なので省略)

(注)※個人情報の保護に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】: なし

【解説】

2.地方公共団体が取り扱う情報について、個人情報保護法の個人情報取扱事業者に関する規定が適用されることはないが、個人情報保護法の範囲内で、各地方公共団体は個人情報保護に関連する条例を定めることは可能である。
2・・・妥当
地方公共団体は「個人情報取扱事業者」にあたらず、個人情報保護法の個人情報取扱事業者に関する規定が適用されません。地方公共団体は「行政機関等」に含まれます(個人情報保護法2条11項)。
よって、地方公共団体は、行政機関等に関する規定が適用されます。
そして、地方公共団体は、個人情報保護法の範囲内で、独自のルールを条例で定めることは可能です(個人情報保護法108条)。これは基本問題なので、絶対解けるようにしましょう!
3.2017年の個人情報保護法の改正において、要配慮個人情報という概念が新たに設けられ、要配慮個人情報を個人情報取扱事業者が取り扱う場合、他の個人情報とは異なる取扱いを受けることになった。
3・・・妥当
要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいいます(個人情報保護法2条3項)。
そして、個人情報取扱事業者は、原則、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはいけません(個人情報保護法27条2項)。
上記の通り、要配慮個人情報は、個人情報とは別に定義をしており、異なる扱いをしています。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問55|基礎知識・個人情報保護

欧州データ保護規則(GDPR※1)に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.欧州経済領域※2内に本社を置く企業に限りGDPRの規制対象となる。

イ.欧州経済領域内で業務を展開する企業に限りGDPRの規制対象となる。

ウ.GDPRの保護対象は、欧州各国政府の保有する各国民の個人データに限られる。

エ.GDPRの保護対象は、欧州経済領域内で取り扱われている個人データである。

オ.GDPRの規制に違反して域外にデータを移転しても制裁はない。

(注)
※1 GDPR:General Data Protection Regulationの略
※2 欧州経済領域:EU加盟国28か国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを指す。

ア・エ
ア・オ
イ・ウ
イ・エ
ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】: 4

【解説】
欧州データ保護規則の条文はこちら>>

ア.欧州経済領域※2内に本社を置く企業に限りGDPRの規制対象となる。
ア・・・妥当でない
欧州データ保護規則(GDPR)の対象は、欧州経済領域内で活動している企業です。
本社が日本であっても、欧州経済領域に支社を設けて活動していたら、GDPRの規制対象になります。
イ.欧州経済領域内で業務を展開する企業に限りGDPRの規制対象となる。
イ・・・妥当
この規則は、欧州経済領域内で業務を展開する企業に限り規制対象となります。
欧州経済領域外での業務は規制の対象とはなりません。
ウ.GDPRの保護対象は、欧州各国政府の保有する各国民の個人データに限られる。
ウ・・・妥当ではない
GDPRの保護対象となる個人データとは、欧州経済領域内に所在する個人(国籍や居住地などを問わない)の個人データです。
そのため、日本人であっても、欧州経済領域内での個人データは保護の対象です。
エ.GDPRの保護対象は、欧州経済領域内で取り扱われている個人データである。
エ・・・妥当
選択肢ウの解説の通り、
欧州経済領域内で取り扱われている個人データが、GDPRの保護対象です。
オ.GDPRの規制に違反して域外にデータを移転しても制裁はない。
オ・・・妥当ではない
DPRの規制に違反して域外にデータを移転するなどの一定の違反行為を行うと、1000万ユーロ以下の制裁金が課せられて、
又は、事業の場合、直前の会計年度における世界全体における売上総額の2%以下の金額、若しくは、いずれか高額の方の制裁金を課せられます(欧州データ保護規則83条)。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略