【問1】民法
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務のほか、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。
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【解答】
×
■ 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民法858条)。
つまり、成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務があるので、前半部分は正しいです。
■ 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について、当該未成年者は賠償責任を負いません(712条)。
そして、当該未成年者が責任を負わない場合、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者(法定監督義務者)は、原則、その責任無能力者(未成年者)が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(714条)。
そして、判例では、成年後見人であるというだけでは、法定監督義務者には当たらないとしています。つまり、「当然に法定の監督義務者として責任を負う」という記述は誤りです。
【問2】行政法
建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
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【解答】
〇
本肢は、「建築基準法65条と民法234条1項の関係」が問題になった事案である。
民法234条1項は、「建物を建築するには、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない」と規定しています。
一方、建築基準法65条は「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」
と規定しています。
つまり、上記2つが矛盾するため、どのように処理するかが論点となります。
この点について、判例では、
「建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、
これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当」
としています(最判平元.9.19:建築基準法65条と民法234条1項の関係)。
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【問3】商法
商人の行為は、その営業のためにするものとみなされ、全て商行為となる。
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【解答】
×
商人の行為は、その営業のためにするものと推定します(商法503条2項)。
推定するとは、一応そのよう判断を下すことをいい、反対の事実が証明されれば、その判断は覆されます。
一方、みなすは、判断を確定させること言い、反対の事実を証明して、判断を覆すことはできません。
つまり、上記「商人の行為」について、営業のためにしないことを証明すれば、「商行為にならない」ということです。
よって、「すべて商行為」という記述が誤りです。
