【問1】民法
宅地の崖地部分に設けられたコンクリートの擁壁の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じていた場合に、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負う。
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【解答】
〇
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います(民法717条)。
所有者は無過失でも責任を負うため、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負います。
よって、正しいです。
【問2】国家賠償法
法令に基づく水俣病患者認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として、不法行為法上の保護の対象になるが、当該認定申請に対する不作為の違法を確認する判決が確定していたとしても、そのことから当然に、国家賠償法1条1項に係る不法行為の成立が認められるわけではない。
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【解答】
〇
本肢は「最判平3.4.26」の事案です。
判例によると
「水俣病患者の認定申請をした者が、相当期間内に応答処分されることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされない利益は、不法行為法上の保護の対象になり、
①その期間に比してさらに長期間にわたり遅延が続き、かつ、②その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかった場合、国家賠償法1条等に基づく損害賠償請求ができる」
としています。
したがって、本肢は妥当です。
【問3】会社法
設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。
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【解答】
×
設立時取締役の仕事は、「調査」をすることです。
会社設立後の取締役のように「業務の執行」は行わないし、「監査」もしません。設立時取締役は、その選任後遅滞なく、下記事項を調査しなければなりません(会社法46条)。
よって、本肢は妥当ではありません。
- 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること
- 現物出資財産についての弁護士等の証明が相当であること
- 出資の履行が完了していること
- 株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと