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行政書士試験対策講座:憲法基礎シリーズ

人権の歴史と性質をマスターする完全ガイド

行政書士試験受験生の皆さん、こんにちは。担当講師です。本日は憲法の学習において避けては通れない、そして合否を分ける非常に重要なテーマである「人権の歴史と性質」について徹底的に解説していきます。

初学者の多くは、憲法13条や14条といった条文の数字や、判例の結論(合憲か違憲か)だけを暗記しようと急ぎがちです。しかし、近年の行政書士試験、特に難易度の高い多肢選択式や記述式問題では、「なぜその権利が必要なのか?」「どのような歴史的経緯でその概念が生まれたのか?」という根本的な理解を問う問題が増えています。この基礎がぐらついていると、応用問題で足元をすくわれてしまいます。

本記事では、講義スライドの内容をベースに、試験で狙われるポイントを網羅した5,000文字超の圧倒的ボリュームでお届けします。この記事を読み終える頃には、あなたの憲法に対する解像度は格段に上がっているはずです。それでは、始めましょう!

本記事の学習ポイント

  • 人権が「特定の人の特権」から「人類共通の権利」へと進化した歴史を辿る
  • 「自由権」と「社会権」の成立背景の違いを明確にする
  • 国家権力を縛る「立憲主義」の核心を理解する
  • 人権の3つの絶対的性質(固有性・不可侵性・普遍性)を定義する
  • 4つの人権分類と、現代的な「分類の相対化」という視点を身につける

1. 人権の歴史:血と汗で勝ち取った「自由」の物語

人権は、最初からそこにあったわけではありません。かつての絶対王政の時代、王様は「神から権力を授かった(王権神授説)」と称し、国民の命や財産を思いのままに支配していました。今私たちが手にしている自由は、先人たちが何百年もの歳月をかけ、命をかけて権力から勝ち取ってきた「戦利品」なのです。

① 「国民の権利」から「人権」へのパラダイムシフト

歴史の出発点は、13世紀のイギリスにあります。1215年に制定されたマグナ・カルタ(大憲章)は、王の勝手な課税や不当な逮捕を制限した画期的な文書でした。しかし、注意が必要なのは、この時代の権利はあくまで「イギリス国民」あるいは「特定の貴族」という限定された身分に与えられた「特権」であったという点です。これを「国民の権利」と呼びます。

【図解:マグナ・カルタから近代宣言へ】
イギリスの身分的権利(国民の権利) → 米仏の普遍的権利(人権)への流れ

この流れを根本から変えたのが、18世紀後半の二つの大きな革命です。 1776年のアメリカ独立宣言は、「すべての人間は平等に造られ、生命、自由、幸福の追求を含む不可侵の権利を造物主によって与えられている」と宣言しました。 続いて1789年のフランス人権宣言も、「人は、自由かつ権利において平等なものとして出生し、かつ、生存する」と高らかに謳いました。

これらの宣言の最大の特徴は、「イギリス人だから」といった国籍や「貴族だから」といった身分を一切不問にし、「人間であること」そのものを理由にすべての人が権利を持つという、普遍的な「人権(Human Rights)」の概念を確立した点にあります。これこそが、近代市民社会の幕開けであり、憲法の根本精神なのです。

② 時代のニーズによる変遷:「自由権」から「社会権」へ

近代市民憲法が成立した当初、人権の主役は「自由権」でした。これは「国家からの自由」と呼ばれます。当時の市民が最も望んだのは、「国家は私の生活や経済活動に余計な口出しをしないでくれ」ということでした。この時代の国家は、治安維持と国防のみを行う「夜警国家(消極国家)」が理想とされました。

しかし、19世紀の産業革命を経て資本主義が急速に発展すると、自由放任の裏側で深刻な貧富の格差、過酷な労働環境、貧困問題が噴出しました。単に「自由」があるだけでは、弱者は飢え、人間らしい生活ができなくなったのです。

そこで20世紀に入り、1919年のドイツワイマール憲法において、初めて「社会権」が登場しました。これは「国家による自由」と呼ばれます。「国家は黙って見ているだけでなく、人間らしい生活を保障するために積極的に介入して助けてくれ」と求める権利です。現代の日本国憲法25条(生存権)はこの系譜に連なるものです。試験では「18・19世紀=自由権(消極国家)」対「20世紀=社会権(積極国家・福祉国家)」という対比が頻出します。

③ グローバルな視点へ:「国内の保障」から「国際的な保障」へ

第二次世界大戦における甚大な人権侵害の反省から、世界は「人権は一国だけの問題ではない」という結論に達しました。1948年の世界人権宣言、そして1966年の国際人権規約により、人権は国境を越えて国際社会全体で守るべきものとなりました。日本も1979年にこれらを批准し、国際法上の義務として人権を保障しています。

2. なぜ「憲法」で人権を保障する必要があるのか?(立憲主義の核心)

ここで、非常に根本的な問いを立ててみましょう。なぜ、普通の「法律」ではなく「憲法」という最高法規で人権を規定する必要があるのでしょうか。ここに「立憲主義」の本質があります。

法律は「国家が国民に対して守らせるルール」ですが、憲法はその逆、「国民が国家権力に対して守らせるルール」です。この「誰が誰を縛っているのか」という方向性の違いは、行政書士試験の超重要知識です!

国家権力(国会、内閣、裁判所など)は、強力な力を持っています。もし人権が普通の法律だけで守られているとしたら、時の権力者が多数決を使って、自分たちに都合の悪い人々を弾圧する法律を簡単に作れてしまいます。民主主義における多数決は大切ですが、時として「多数派による少数派の抑圧」を招くリスクがあるのです。

だからこそ、法律よりも高い効力を持つ「最高法規」としての憲法に人権を書き込み、「たとえ国会の多数決であっても、この枠だけは絶対に超えてはならない」と権力に「鎖」をかけているのです。この立憲主義という視点を持つと、憲法の条文がなぜあのように厳格な言葉で書かれているのかが理解できるようになります。

3. 人権の性質:人権が持つ3つの本質

憲法学において、人権には共通する3つの絶対的な性質があるとされています。これらは試験の多肢選択式などで用語を入れ替えたりして狙われますので、正確に覚えましょう。

【図解:人権の3つの柱】
固有性(生まれながらに) ・ 不可侵性(侵されない) ・ 普遍性(誰にでも)
  1. 固有性(Inherent Nature): 人権は、国や憲法から「恩恵として与えられた」ものではありません。人間が人間である以上、生まれながらにして当然に備わっている権利です。これを「天賦人権(てんぷじんけん)」と言います。
  2. 不可侵性(Inviolable Nature): 人権は、公権力によって侵害されてはならないという性質です。ただし、人権は「無制限」ではありません。他人の人権とぶつかる場合には、お互いを調整するための「公共の福祉」による最小限度の制約を受けます。
  3. 普遍性(Universal Nature): 人権は、人種、性別、社会的身分、信条などにかかわらず、人間であれば誰でも等しく享有できるものです。特定の国や時代に限定されない、人類共通の価値です。

4. 人権の分類:整理して理解する「4つのカテゴリー」

憲法には多くの人権が並んでいますが、それらを「国家に対して何を求めているのか」という視点で整理すると、驚くほどスッキリ理解できます。

分類 キャッチコピー 国家へのアクション 具体的な権利
自由権 国家からの自由 不作為(何もしないでくれ) 精神的自由、表現の自由、職業選択の自由など
参政権 国家への自由 参加(政治に参加させろ) 選挙権、被選挙権、公務員選定罷免権
受益権 国家による受益 救済(侵害されたら助けろ) 裁判を受ける権利、国家賠償請求権
社会権 国家による自由 給付(人間らしく生きさせろ) 生存権、教育を受ける権利、勤労の権利

【応用】分類の「相対化」とは何か?

試験で一歩差をつけるための重要概念が、この「相対化」です。 伝統的には「自由権は国が何もしないこと(不作為)」「社会権は国が何かをすること(作為)」と厳密に分けられていました。しかし、現代社会ではこの境界線が曖昧になっています。

例えば、私たちがデモ行進をして自分の意見を世の中に伝える「表現の自由(自由権)」を行使する場合を考えてみてください。単に国が「邪魔をしない」だけでは不十分です。反対派が襲ってこないように警察官が警備をし、安全な場所を確保するという「国の積極的な行動(作為)」があって初めて、私たちの表現の自由は実質的に守られます。 このように、自由権の中にも社会権的な側面(国の助け)が必要だったり、逆に社会権を行使する際にも自由が尊重されなければならなかったりします。分類は絶対的な壁ではなく、互いに影響し合っている。この柔軟な捉え方が、判例を深く理解するための鍵となります。

5. 講師からのまとめ:基礎を固めて合格を掴む!

本日の講義、いかがでしたでしょうか。内容をギュッとまとめると以下の通りです。

  • 人権は歴史の中で「国民の特権」から「人類普遍の権利」へと成長した。
  • 時代背景によって、国家の干渉を拒む「自由権」から、国家の助けを求める「社会権」へと中心が移った。
  • 憲法は、暴走しがちな国家権力を縛り、人権を守るための「最高法規(立憲主義)」である。
  • 人権は「固有・不可侵・普遍」の性質を持ち、4つのカテゴリーに分類されるが、現代ではその性質は「相対化」されている。

行政書士試験の憲法は、条文の暗記だけで乗り切れるほど甘くはありません。しかし、今日学んだような「人権の根っこ」をしっかり理解していれば、この後に続く「個別の人権」や「統治機構」の学習効率は劇的に上がります。判例を読むときも、「これは自由権の話か?社会権の話か?」「立憲主義の観点からどう判断されているか?」と問いかける癖をつけてください。

初学者の皆さんは、まずはこの歴史の流れと分類の表を完璧にイメージできるように復習しましょう。千里の道も一歩からです。共に合格を目指して走り抜けましょう!

行政書士試験対策講座:憲法マスターへの道

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