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取消訴訟の概要|原処分主義、裁決主義

取消訴訟の概要

取消訴訟は、行政庁の処分・裁決について、その全部または一部の取消しを求め、その処分・裁決の法的効力をさかのぼって消滅させる訴えを言います。

行政庁の処分や裁決は、国民の権利義務を一方的に変更する効力があります。この効力は、たとえ違法な処分や裁決であっても、取消しがあるまで、有効とされ(公定力という)、この効力を失わせるには、行政庁が自ら処分や裁決を取り消すか、裁判によって取消判決をもらうことが必要です。

※上記の通り、公定力があるが、行政庁の行った処分に瑕疵がある場合、その瑕疵が重大かつ明白であるときは、当該処分は無効初めから効力を生じない

そのため、国民の権利利益を保護するためにも、取消訴訟は、重要なものとなります。

そして、取消訴訟以外の抗告訴訟(無効確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴え)についても、取消訴訟のルールが適用されたりするため、取消訴訟のルールは基本的なルールとしてしっかり頭に入れましょう!

取消訴訟の分類

取消訴訟は、処分の取消しの訴え裁決の取消の訴えの2つがあります。

処分の取消しの訴え

処分の取消しの訴えは、行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟です。

自由選択主義

そして、違法な処分については、審査請求の申立てもできるし、審査請求をせずに処分の取消しの訴えの提起でもよいです。どちらを行ってもよいです。これを自由選択主義と言います。


審査請求前置主義

ただし、個別の法律に、「審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起することができない」旨の定めがある場合、審査請求を先に行い、その裁決がなされた後でなければ訴えを提起することはできません。これを審査請求前置主義と言います。


裁決の取消しの訴え

裁決の取消しの訴えは、審査請求や再調査請求等の裁決や決定に対して、取消しを求める訴訟です。

そして、処分の違法を訴える場合、また裁決の違法を訴える場合、「処分の取消しの訴え」と「裁決の取消の訴え」のどちらを行えることができるのか?

行政事件訴訟法では、原則、「原処分主義」を採用しています。

原処分主義

Aが、行政庁から「税金100万円の課税処分」を受けた。Aは、この処分を違法と思い、審査請求を行った。

しかし、審査請求の裁決についても、棄却裁決。

Aが最後の手段として、取消訴訟を行う場合、下記2つのいずれかを行う

処分の違法を主張するのであれば、「処分の取消訴訟」を提起し

裁決の違法を主張するのであれば、「裁決の取消訴訟」を提起しなさい!

ということです。

言い換えれば、処分の違法を主張するのに、裁決の取消訴訟は行えないということです。


裁決主義

裁決主義とは、「処分の違法を争う場合」も「裁決の違法を争う場合」も、「裁決の取消しの訴え」で行うことができるということです。

処分の取消しの訴えでは行うことができません。

<<行政事件訴訟法の概要 | 取消訴訟の訴訟要件>>

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