【問1】民法
Dが所有する丙土地の上に、Eが権原なく丁建物を建設し、自己所有名義で建物保存登記を行った上でこれをFに譲渡したが、建物所有権登記がE名義のままとなっていた場合、Dは登記名義人であるEに対して丁建物の収去を求めることができる。
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【解答】
〇
判例によると、
「D所有地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由したEは、たとい右建物をFに譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、Dに対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない」としています(最判平6.2.8)。
つまり、Dは、Eに対して、建物収去・土地の明渡請求ができるので妥当です。これは非常にややこしいので、短期講座で細かく分解して解説します。
【問2】行政法
国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。
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【解答】
×
判例では
「国又は地方公共団体が提起した訴訟であって、財産権の主体として自己の財産上の権利利益の保護救済を求めるような場合には、法律上の争訟に当たる」
と判示しています。
つまり、本肢の「法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではない」は妥当ではありません。
【問3】会社法
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。
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【解答】
×
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負います(会社法52条)。
ただし、総株主の同意があれば、上記義務は免除できます(会社法55条)。
よって、本肢は誤りです。