【問1】民法
抵当権の効力は抵当不動産の従物にも及ぶが、抵当不動産とは別個に従物について対抗要件を具備しなければ、その旨を第三者に対して対抗することができない。
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【解答】
×
判例によると
「
石灯籠および取り外しのできる庭石等は本件根抵当権の目的たる宅地の
従物であり、
・・・
根
抵当権は右従物にも及び、この場合、右根抵当権は本件宅地に対する根抵当権設定登記をもって、その構成部分たる右物件についてはもちろん、抵当権の効力から除外する等特段の事情のないかぎり、民法370条により従物たる右物件についても対抗力を有するものと解するのが相当である」としている(最判昭44.3.28)。
上記を言い換えると
抵当権の設定登記があれば、原則として、抵当権を設定した不動産(宅地)だけでなく、
その不動産の従物(石灯籠・庭石)にも、抵当権の効力が及び、第三者に対して対抗することができるということです。
したがって、妥当ではありません。
【問2】国家賠償法
非番の警察官が、もっぱら自己の利をはかる目的で、職務を装って通行人から金品を奪おうとし、ついには、同人を撃って死亡させるに至った場合、当該警察官は主観的に権限行使の意思をもってしたわけではないから、国家賠償法1条1項の適用は否定される。
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【解答】
×
判例によると
「公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、
客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、
国又は公共団体に損害賠償の責を負わせる」
と判示しています。
つまり、「主観的に権限行使の意思をもって」行ったかどうかは関係なく、
「客観・外形(客観的にみて)」職務執行(仕事上の行為)と認められる場合は、国家賠償法第1条が適用されます。
したがって、本肢は誤り。
【問3】会社法
取締役会設置会社であり、種類株式発行会社でない株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)が行う株式を分割するには、その都度、株式の分割により増加する株式の総数の分割前の発行済株式の総数に対する割合および当該株式の分割に係る基準日ならびに株式の分割がその効力を生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならない。
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【解答】
×
株式会社は、
株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(
取締役会設置会社にあっては、取締役会)の
決議によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会社法183条2項)。
- 「株式の分割により増加する株式の総数」の「株式の分割前の発行済株式の総数」に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
- 株式の分割がその効力を生ずる日
- 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
本問は取締役会設置会社なので取締役会の決議で定めることができます。
したがって、誤りです。
「株式の分割により増加する株式の総数」の「株式の分割前の発行済株式の総数」に対する割合
例えば、100株を発行している会社が、1株を100株に分割する場合、株式分割後の発行済み株式総数は10,000株になります。
増加する株式数は9,900株ですので、「株式の分割により増加する株式の総数」は9,900です。
「株式の分割前の発行済株式の総数」は100株なので、100です。
よって、割合は9,900/100の99になります。
上記内容は理解しなくてもよいですが、それよりも理解すべき部分があるので、その点は
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