【問1】民法
成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所の審判によって開始する。
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【解答】
×
精神上の障害により事理を弁識する能力を「欠く常況」にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができます(民法7条)。
つまり、成年後見は、精神上の障害により事理を弁識する能力が「著しく不十分」ではなく
「欠く常況(常に能力がない)」場合に、家庭裁判所の審判によって開始します。よって、誤りです。
「著しく不十分」は被保佐人です(民法11条)。
【問2】行政法
租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
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【解答】
×
本肢は、「租税滞納処分による差押えと民法177条」が問題となった事案の内容です。
判例では、
「税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類する。
そして、当該債権(租税債権)がたまたま公法上のものであるからといって、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由はない。
それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある。」
としています。
したがって、本肢は誤りです。
具体例は、短期講座で解説します!
【問3】商法
店舗によって物品を販売することを業とする者は、商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなされる。
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【解答】
〇
「店舗その他これに類似する設備によって物品を販売することを業とする者」又は「鉱業を営む者」は、商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなします(商法4条2項:擬制商人)。
商行為を業とする者が商人ですが、商行為を業としない者であっても商人とみなす場合があります。
それが本肢の内容です。
「店舗その他これに類似する設備によって物品を販売する者」は外見から見たら、商人にみえるため、商人として扱い、商法が適用されます。
また、「鉱業を営む者」(石油や石炭などの地下資源の採掘をする者)も、商人として扱います。
