【問1】民法
Aに雇われているBの運転する車が、Aの事業の執行中に、Cの車と衝突して歩行者Dを負傷させた。
BがAのほかFの指揮監督にも服しており、BがAとFの事業の執行中に起きた衝突事故であった場合に、AがDに対して損害を全額賠償したときは、Aは、損害の公平な分担という見地から均等の割合に限ってFに対して求償することができる。
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【解答】
×
被用者Bの使用者が、AとFの二者いた場合、
AとFの負担部分は責任の程度に応じて負担します。
つまり、AがDに対して全額賠償した場合、AはFに対して、Fの責任割合(負担部分)を限度に求償することができます(最判平3.10.25)。
本肢は「損害の公平な分担という見地から均等の割合に限って」が妥当ではありません。
【問2】損失補償
土地収用に関しては、土地所有者の保護の見地から、金銭による補償が義務付けられており、代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない。
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【解答】
×
損失の補償は、
原則、金銭をもって行います。
ただし、
収用委員会の裁決があった場合は、
代替地の提供その他補償の方法によって行ってもよいです(土地収用法70条)。
よって、本肢の「代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない」は妥当ではありません。
【問3】商法
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
相手方と本人および代理人とのいずれの間にも法律関係が生じ、本人および代理人は連帯して履行の責任を負う。
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【解答】
×
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じます。
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることもできます(商法504条)。
そして、判例では、
「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、商法第504条但書によって、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、
相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人と相手方間の法律関係を主張することができない。」としています(最大判昭43.4.24)。
つまり、
相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます。
「相手方と本人」および「相手方と代理人」とのいずれの間にも法律関係が生じるわけではないので誤りです。