
【問1】民法
Aに雇われているBの運転する車が、Aの事業の執行中に、Cの車と衝突して歩行者Dを負傷させた。
CがDに対して損害を全額賠償した場合、Cは、Bに対してはB・C間の過失の割合によるBの負担部分について求償することができるが、共同不法行為者でないAに対しては求償することができない。
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【解答】
×

BとCの共同不法行為によって、Dに損害を与えた場合、BとCは連帯して債務を負います。
そして、第三者CがDに対して損害を全額賠償した場合、被用者Bと第三者Cとの過失の割合にしたがって求償することができます(最判昭41.11.18)。
つまり、「Cは、Bに対してはB・C間の過失の割合によるBの負担部分について求償することができる」は正しいです。
さらに、第三者Cは、被用者Bの負担部分について使用者Aに対し求償することができます(最判昭63.7.1)。
したがって、「Cは、共同不法行為者でないAに対しては求償することができない」が妥当ではありません。
【問2】損失補償
収用委員会の収用裁決によって決定された補償額に起業者が不服のある場合には、土地所有者を被告として、その減額を求める訴訟を提起すべきこととされている。
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【解答】
〇
損失の補償に関する訴えについて、
- 訴えを提起した者が起業者であるときは、土地所有者又は関係人を被告として
- 訴えを提起した者が土地所有者又は関係人であるときは、起業者を被告として
訴えを提起しなければなりません(土地収用法133条3項)。
よって、本肢は妥当です。
ちなみに本件訴訟を「形式的当事者訴訟」と言います。
【問3】会社法
取締役の数が6人以上であって、そのうち1人以上が社外取締役である株式会社において、当該会社の代表取締役が当該会社を代表して多額の借財を行う場合に、当該行為についての取締役会の決議については、特別取締役による議決をもって行うためには定款に定める必要がある。
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【解答】
×
「指名委員会等設置会社を除く取締役会設置会社」において、①取締役の数が6人以上で、かつ、②取締役のうち1人以上が社外取締役である場合、
取締役会は、「重要な財産の処分及び譲受け」および「多額の借財」についての取締役会の決議については、
あらかじめ選定した3人以上の特別取締役をもって行うことができる旨を「取締役会」で定めることができます(会社法373条1項)。
したがって、本肢の内容は「定款による定めは不要」で、「取締役会」で決めます。
指名委員会等設置会社が除かれている点については理解した方がよいので、短期講座で解説します!