
【問1】民法
精神障害者と同居する配偶者は法定の監督義務者に該当しないが、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行い、その態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、当該配偶者は法定の監督義務者に準ずべき者として責任無能力者の監督者責任を負う。
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【解答】
〇
判例によると「精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
しかし、法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として、民法714条1項(責任無能力者の監督義務者等の責任)が類推適用される。」としています(最判平28.3.1)。
よって、本肢は正しいです。
【問2】国家賠償法
建築主事は、建築主の申請に係る建築物の計画について建築確認をするに当たり、建築主である個人の財産権を保護すべき職務上の法的義務を負うものではないから、仮に当該建築主の委託した建築士が行った構造計算書の偽装を見逃したとしても、そもそもその点について職務上の法的義務違反も認められないことから、当該建築確認は国家賠償法1条1項の適用上違法にはならない。
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【解答】
×
本肢は
「最判平25.3.26」の事案です。
一級建築士が、構造計算書を偽装して、建築確認の申請書を提出した。
この申請について、建築主事は、その偽装を見抜けずに建築確認の処分を行った。
この処分について、国賠法1条の適用上違法として損害賠償請求ができるか?という内容です。
この点について判例によれば、
「建築主事は、その申請をする建築主との関係でも、違法な建築物の出現を防止すべく一定の職務上の法的義務を負うものと解するのが相当である。 (中略)
建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していればその記載から当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合に、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である」
と示しています。
つまり、仮に当該建築主の委託した建築士が、構造計算書の偽装を見逃した場合、国家賠償法1条1項の適用上違法となる場合もあるので、本肢は、妥当ではないです。
【問3】会社法
複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。
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【解答】
×
各発起人(発起設立・募集設立)は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。
募集設立の場合でも、発起人は、1株以上引き受ける必要があります。
よって、妥当ではありません。
