【問1】民法
甲建物(以下「甲」という。)を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた。
BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。
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【解答】
〇
判例によると、「事務管理者Bが本人Aの名でした法律行為の効果は、当然には本人Aに及ぶものではない」としています(最判昭36.11.30)。
よって、業者Dは、本人Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできないので、本肢は正しいです。
【問2】行政事件訴訟法
土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない。
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【解答】
×
判例によると
「明渡裁決は、裁決時における土地等の占有者に対し、裁決で定められた明渡しの期限までに土地等の引渡し又は物件の移転をするという作為義務を課すものにすぎず、明渡後における起業者による土地等の占有、使用を受忍する義務をも課しているものではない。
そして、いったん土地等の明渡しが完了すれば明渡裁決の効果としての土地等の占有者の作為義務はもはや存続していないから、明渡裁決の対象となった土地等について代執行による引渡し等が完了した後は、同裁決の取消しを求める訴えの利益は失われる」
と判示しています。
したがって、「土地収用法による明渡裁決の取消しを求める利益は、明渡しに関わる代執行の完了によっても失われない」という記述は妥当ではありません。
【問3】会社法
合名会社および合資会社について、
会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
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【解答】
〇
持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行します(会社法590条1項)。
そして、業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務(善管注意義務)を負います(会社法593条1項)。
よって、本肢は正しいです。
当然と言ったら、当然の内容ですね!
