【問1】民法
Aは、自己所有の甲建物をBに贈与する旨を約した。
本件贈与が書面によるものであるというためには、Aの贈与意思の確保を図るため、AB間において贈与契約書が作成され、作成日付、目的物、移転登記手続の期日および当事者の署名押印がされていなければならない。
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【解答】
×
判例では、「贈与が書面によってされたといえるためには、贈与の意思表示自体が書面によっていることを必要としないことはもちろん、書面が贈与の当事者間で作成されたこと、又は書面に無償の趣旨の文言が記載されていることも必要とせず、書面に贈与がされたことを確実に看取しうる(分かる)程度の記載があれば足りる」としています(最判昭60.11.29)。
つまり、「作成日付」「目的物」「移転登記手続の期日」「当事者の署名・押印」の一部がなかったとしても、「Bに甲建物を贈与した」と紙に書かれていたら、書面による贈与となります。
よって、本肢は、妥当ではありません。
【問2】行政法
審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができ、意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。
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【解答】
×
執行停止の申立てがあったとき、又は、審理員から執行停止をすべき旨の意見書の提出を受けたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければなりません(行政不服審査法25条7項)。
執行停止をするかどうかを決めるのは、審査庁で、必ずしも執行停止をしなければならない、わけではありません。
よって、誤りです。
【問3】会社法
譲渡制限の定めのある株式の譲渡による取得を承認しない旨の決定をした会社(取締役会設置会社)は、対象となる株式の全部または一部を買い取る者を指定することができ、この指定は定款に別段の定めがない限り、取締役会の決議によって行う。
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【解答】
〇
株式会社は、譲渡承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡制限株式の全部又は一部を買取る者の指定をすることもできます(会社法140条4項)。
そして、この指定は、原則、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません。(会社法140条5項)。
よって、本問は「取締役会設置会社」なので、取締役会決議で、買取者を指定できます。
この点は対比ポイントがあるので、対比ポイントについては、個別指導で解説していきます!