【問】
当事者が債権の譲渡を制限する旨の意思表示をしたにも関わらず、債権者が債権を譲渡した場合、債務者は、どのようなとき、その債務の履行を拒むことができるか。
【問】
当事者が債権の譲渡を制限する旨の意思表示をしたにも関わらず、債権者が債権を譲渡した場合、債務者は、どのようなとき、その債務の履行を拒むことができるか。
譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき(42字)
【問題文の状況】
債権者―→債務者
↓
譲受人
【使うルール】
-
- 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない(民法466条1項:債権の譲渡性)。
- 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない(民法466条2項)。
- 2項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる(民法466条3項)。
本問は「3項」に関する内容ですが、上記は1項から順に理解をしていく方がよいです。
【1項】
原則、債権譲渡とは可能です。ただし、債権の性質上、「これはこの人にしか帰属しない債権(例えば、生活保護費の受給権)」については、債権譲渡はできません。
【2項】
当事者が譲渡禁止特約(譲渡制限の意思表示)をしていた時であっても、債権譲渡は有効です。
【3項】
2項の通り、当事者が譲渡禁止特約(譲渡制限の意思表示)をしていた時であっても、債権譲渡は有効ですが
下記要件を満たす場合、債務者は、譲受人からの履行請求を拒むことができます。
(=譲受人から「私が新債権者なので、私に債務を履行してください!」と主張されても、債務者は「履行しません!」と拒絶できます)。
(理由) 債権譲渡の禁止特約があっても、原則、債権を譲渡できるようにしないと、債権をお金に換金することができず、経済が円滑に回らくなるから。
では、どんな場合に、履行を拒絶できるか?
それは
「譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを知っていた時」又は「譲受人に重大な過失によって譲渡制限の意思表示があったことを知らなかった時」です。
この場合、譲受人を保護する必要性が低いので、債務者を保護し、債務者は履行拒絶ができます。
【質問内容】
当事者が債権の譲渡を制限する旨の意思表示をしたにも関わらず、債権者が債権を譲渡した場合、債務者は、どのようなとき、その債務の履行を拒むことができるか。
↓
これは3項の内容です。
譲受人が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき(42字)
【配点】
譲受人が(2点)
譲渡制限の意思表示がされたことを知り(8点)、・・・「悪意」でもよい
又は(2点)
譲渡制限の意思表示がされたことを重大な過失によって知らなかったとき(8点)・・・重過失でもよい