行政法64【記述対策】

【問】
A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、1,000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)をなした。Xが土地の収用そのものを違法として争う場合、誰を被告として、何を対象として、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

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【問】
A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、1,000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)をなした。Xが土地の収用そのものを違法として争う場合、誰を被告として、何を対象として、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。

【解答例】

Xは、A県を被告として、収用裁決を対象として、取消訴訟又は無効確認訴訟を提起すべきである。(45字)

【問題文の状況】

A県収用委員会は、X所有の土地を収用する裁決を行った。
Xは、当該収用裁決そのものの違法を争うとしている。

【質問内容】

誰を被告として
何を対象として
どのような訴訟を提起すべきか。

【使うルール】

処分をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法11条1項1号:被告適格等)。

①誰を被告として

A県です。
ちなみに、当該訴訟において、A県の代表者は、A県収用委員会です。

②何を対象として

収用裁決を対象として

③どのような訴訟を提起すべきか。

本問では、収用裁決そのものの違法を争うとしているので、取消訴訟または無効確認訴訟を提起すべきです。

形式的当事者訴訟ではありません。
形式的当事者訴訟は、「損失補償の額」に不服がある場合に、提起するものです。

よってまとめると、

Xは、A県を被告として、収用裁決を対象として、取消訴訟又は無効確認訴訟を提起すべきである。(45字)

【配点】

A県を被告として(7点)
収用裁決を対象として(6点)
取消訴訟又は無効確認訴訟(7点)・・・いずれか一方の場合は「3点」

【対比ポイント】

土地収用自体に不満はないけど、土地収用の際の「補償額」に不満がある場合は「形式的当事者訴訟」となります。

さらに、本肢のように「収用そのものを争う」のではなく、土地収用により所有権を失った土地所有者が起業者に対して土地返還請求訴訟(=民事訴訟)を提起し、その前提として収用裁決の効力を争う場合、争点訴訟となります。

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