2015年過去問

平成27年・2015|問39|会社法・監査役

種類株式発行会社ではない取締役会設置会社で、複数の監査役が選任されている監査役設置会社の監査役の選任および解任に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。

  1. 監査役を選任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の決議をもって行わなければならない。
  2. 代表取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役全員の同意を得なければならない。
  3. 監査役は、取締役に対して、監査役の選任を株主総会の目的とすること、または監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
  4. 監査役を解任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の決議をもって行わなければならない。
  5. 監査役は、株主総会に当該監査役の解任議案が提出された場合のほか、他の監査役の解任議案が提出された場合も、株主総会において、当該解任について意見を述べることができる。

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【答え】:2

【解説】

1.監査役を選任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の決議をもって行わなければならない。
1・・・正しい
役員(監査役を含む)を選任する株主総会の決議は、
原則、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(普通決議)をもって行わなければなりません(会社法341条)。

よって、本肢は正しいです。

関連ポイントや詳細解説は、個別指導で解説します!

2.代表取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役全員の同意を得なければならない。
2・・・誤り
取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が2人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければなりません(会社法343条1項)。
よって、監査役全員の同意は不要です。
監査役が2人以上なのであれば、監査役の過半数の同意があれば、代表取締役は監査役の選任の議案を株主総会に提出できます。
3.監査役は、取締役に対して、監査役の選任を株主総会の目的とすること、または監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。
3・・・正しい
監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案株主総会に提出することを請求することができます(会社法343条2項)。
よって、本肢は正しいです。
4.監査役を解任するには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が株主総会に出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の決議をもって行わなければならない。
4・・・正しい
監査役の解任についての株主総会の決議」は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数(特別決議)をもって行わなければならないとされている(会社法309条2項7号)。
よって、本肢は正しいです。
5.監査役は、株主総会に当該監査役の解任議案が提出された場合のほか、他の監査役の解任議案が提出された場合も、株主総会において、当該解任について意見を述べることができる。
5・・・正しい
監査役は、株主総会において、監査役の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができます(会社法345条1項4項)。
よって、本肢は正しいです。

意見を述べることができる理由については個別指導で解説します!

しっかり理由まで頭に入れて理解しましょう!

これが、行政書士試験で合格するために必要な「理解学習」です!

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問38|会社法・単元株式

取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)であり、種類株式発行会社でない株式会社の単元株式に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
  2. 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることができない。
  3. 単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
  4. 単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができる。
  5. 株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役会の決議によりこれを行うことができる。

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【答え】:3

【解説】

1.株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。
1・・・正しい
株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができます会社法188条)。
これを「単元株」と言います。
例えば、1000株をひとまとまりとして、1個の議決権を持つということです。
この場合、2000株を保有する株主は、2個の議決権を持つということです。
2.株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることができない。
2・・・正しい
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について、一定の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができます。
ただし、下記権利について、行使することができないことは定めることができません(会社法189条)。
  1. 取得対価の交付を受ける権利
  2. 株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利
  3. 株式無償割当てを受ける権利
  4. 単元未満株式を買い取ることを請求する権利
  5. 残余財産の分配を受ける権利等

本肢は「上記5号」にあたるので、
株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について残余財産の分配を受ける権利を行使することができない旨を定款で定めることはできません

この辺りは理解した方がよいので、個別指導で理解部分は解説します。

3.単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。
3・・・誤り
単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができます(会社法192条1項)。
これは定款に定めがなくても単元株未満の株式の買取請求はできるので、本肢は誤りです。

本問は理解していただきたいので、個別指導で理解すべき部分の解説をします!

4.単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができる。
4・・・正しい
株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求をすることができる旨を定款で定めることができます(会社法194条1項)。
そして、単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、原則、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければなりません(同条3項)。
よって、本肢は正しいです。
売渡請求は、買い取り請求と異なり、「定款の定め」がないと請求できないので注意しましょう!

本問は、きちんと整理しないと、ひっかけ問題に引っかかってしまうので、細かい解説は個別指導で行います!

5.株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役会の決議によりこれを行うことができる。
5・・・正しい
株式会社は、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができます(会社法195条)。
よって、本肢は正しいです。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問37|会社法・株式会社の設立

株式会社の設立に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

イ 複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。

ウ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

エ 設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。

オ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

ア 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
ア・・・妥当
発起人は、「設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨」を定めようとするときは、発起人全員の同意を得なければなりません(会社法57条2項)。
よって、妥当です。そして、発起人全員の同意が必要なものは下記4つです。
  1. 設立時に発行する株式に関する事項の決定(会社法32条
  2. 現物出資を行う者がいる場合の対抗要件の具備(会社法34条
  3. 発行可能株式総数に関する定款の定め(会社法37条
  4. 設立時募集株式に関する事項の決定(会社法58条
イ 複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。
イ・・・妥当ではない
各発起人(発起設立・募集設立)は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。
募集設立の場合でも、発起人は、1株以上引き受ける必要があります
よって、妥当ではありません。
ウ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
ウ・・・妥当
発起設立の場合も、募集設立の場合も、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければなりません。

よって、本肢は妥当です。
この点については、関連ポイントも頭に入れておく必要があるので、関連ポイントについては個別指導で解説します!

エ 設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。
エ・・・妥当ではない
設立時取締役の仕事は、「調査」をすることです。
会社設立後の取締役のように「業務の執行」は行わないし、「監査」もしません。設立時取締役は、その選任後遅滞なく、下記事項を調査しなければなりません(会社法46条)。
よって、本肢は妥当ではありません。
  1. 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること
  2. 現物出資財産についての弁護士等の証明が相当であること
  3. 出資の履行が完了していること
  4. 株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと
オ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。
オ・・・妥当ではない
募集設立の場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者は、発起人とみなします会社法103条2項)。
これを「擬似発起人」と言います。
そして、この擬似発起人のルールは、募集設立の場合のみ適用され、募集を行わない発起設立の場合は、上記ルールはありません。
したがって、本肢の「発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても」という記述が妥当ではありません。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問36|商法・運送人・場屋営業

運送営業および場屋営業に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
  1. 運送人は、運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、その運送品に生じた損害を賠償する責任を負う。
  2. 運送品が高価品であるときに、荷送人が運送を委託するにあたり、運送品の種類および価額を通知していなければ、運送人はその運送品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
  3. 場屋の営業主は、客から寄託を受けた物品について、物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明すれば、その物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
  4. 客が特に寄託しない物品であっても、客が場屋内に携帯した物品が場屋の営業主またはその使用する者の不注意によって損害を受けたときは、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負う。
  5. 場屋の営業主が寄託を受けた物品が高価品であるときは、客がその種類および価額を通知してこれを場屋の営業主に寄託したのでなければ、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
>解答と解説はこちら
【答え】:3
【解説】
1.運送人は、運送品の受取り、引渡し、保管および運送に関して注意を怠らなかったことを証明するのでなければ、その運送品に生じた損害を賠償する責任を負う。
1・・・正しい 運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が「滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ」、又は「運送品が延着した」ときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、損害賠償責任を負わなくてもよいです(商法575条)。 本肢の「運送人は、注意を怠らなかったことを証明するのでなければ(証明できない場合)、その運送品に生じた損害を賠償する責任を負う」というのは正しい記述です。
2.運送品が高価品であるときに、荷送人が運送を委託するにあたり、運送品の種類および価額を通知していなければ、運送人はその運送品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
2・・・正しい貨幣、有価証券その他の高価品」については、原則、荷送人(発送者)が運送を委託するに当たりその種類及び価額を通知した場合を除き、運送人(運ぶ人)は、その滅失、損傷又は延着について損害賠償の責任を負いません商法577条)。 よって、本肢は正しいです。 この問題はややこしいので、個別指導で詳しく解説いたします!
3.場屋の営業主は、客から寄託を受けた物品について、物品の保管に関して注意を怠らなかったことを証明すれば、その物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
3・・・誤り 旅館、飲食店、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(場屋営業者)は、客から寄託を受けた物品(預かったモノ)の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができません商法596条1項)。 つまり、場屋の営業主が免責となるのは、不可抗力の場合であって、注意していたことを証明しても免責にはなりません。 したがって、本肢は誤りです。
4.客が特に寄託しない物品であっても、客が場屋内に携帯した物品が場屋の営業主またはその使用する者の不注意によって損害を受けたときは、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負う。
4・・・正しい 客が寄託していない物品であっても、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失し、又は損傷したときは、場屋営業者は、損害賠償の責任を負います商法596条2項)。 したがって、本肢は正しいです。
5.場屋の営業主が寄託を受けた物品が高価品であるときは、客がその種類および価額を通知してこれを場屋の営業主に寄託したのでなければ、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負わない。
5・・・正しい貨幣、有価証券その他の高価品」については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負いません商法597条)。 したがって、本肢「通知して寄託したのでない場合(=通知していない場合)、場屋の営業主はその物品に生じた損害を賠償する責任を負わない」ので、正しいです。
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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問34|民法・損害賠償額の予定

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額(以下、「本件損害賠償額」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。
  2. 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。
  3. 本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。
  4. 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患(りかん)していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。
  5. 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

>解答と解説はこちら

【答え】:5

【解説】

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

1.本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。

1・・・妥当ではない

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項:過失相殺)。

判例によると「被害者たる未成年者の過失を斟酌(しんしゃく)する場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく(=のように)、行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である」としています(最大判昭39.6.24) 。

よって、本肢は「責任能力」が妥当ではありません。

正しくは「事理弁識能力」です。

本肢はややこしいので、詳細は個別指導で解説します!

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

2.本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。

2・・・妥当ではない

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法722条2項:過失相殺)。

判例によると「被害者たる未成年者の過失を斟酌(しんしゃく)する場合においても、未成年者に事理を弁識するに足る知能が具わっていれば足り、未成年者に対し不法行為責任を負わせる場合のごとく(=のように)、行為の責任を弁識するに足る知能が具わっていることを要しないものと解するのが相当である」としています(最大判昭39.6.24) 。

つまり、事理弁識能力があれば、責任能力まではなかったとしても、過失相殺の規定を適用されます

したがって、本問は「過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく」となっているので妥当ではありません。

Aの事理弁識能力は必要です。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

3.本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。

3・・・妥当ではない

判例によると、『過失相殺の規定における「被害者の過失」とは、単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解すべきではあるが、本件のように被害者本人が幼児である場合において、当該被害者側の過失とは、例えば、被害者に対する監督者である父母ないしはその被用者である家事使用人などのように、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するのを相当とする』としています(最判昭34.11.26)。

つまり、母親Bの過失も「過失」に含めて、過失相殺の規定の適用します。

よって、「母親Bの過失を斟酌できない」という本問は妥当ではありません。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

4.本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患(りかん)していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。

4・・・妥当ではない

判例では、「被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるに当たり、民法722条2項(過失相殺)の規定を類推適用して、被害者の疾患をしんしゃくすることができる」としています(最判平4.6.25)。

つまり、被害者の病気が一因となって死亡した場合、病気も「過失」といえるため、その分、加害者の損害賠償額を減らすこともできるということです。

よって、本問は妥当ではありません。

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢(ひ)かれて死亡した。

5.本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

5・・・妥当

判例では、「交通事故により死亡した幼児の損害賠償債権を相続した者が一方で幼児の養育費の支出を必要としなくなった場合においても、当該養育費と幼児の将来得べかりし収入との間には、前者を後者から損益相殺の法理又はその類推適用により控除すべき損失と利得との同質性がなく、したがって、幼児の財産上の損害賠償額の算定にあたり、その将来得べかりし収入額から養育費を控除すべきものではないと解するのが相当である」としています(最判昭53.10.20)。

つまり、「Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない」ので正しいです。

上記判例は分かりづらいので、具体例については、個別指導で細かく解説します!

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問35|民法・婚姻・離婚等

婚約、婚姻および離婚に関する以下の相談に対する回答のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア <相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。
<回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。

イ <相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。
<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。

ウ <相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私が負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。
<回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。

エ <相談> 私と配偶者であるDとの婚姻関係は既に破綻しており、離婚にむけて協議を進めています。D名義のマンションを私に贈与することをDと私とは書面により合意したのですが、離婚届を提出する前日になって、Dは、この贈与契約を取り消すと言ってきました。Dの取り消しは認められるのでしょうか。
<回答> 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、Dはマンションの贈与契約を取り消すことができません。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら

【答え】:2

【解説】

ア <相談> 私はAとの婚約にあたりAに対して結納金100万円を贈与したのですが、結局は婚姻に至りませんでした。私はAに対して結納金100万円の返還を請求できるでしょうか。<回答> 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。

ア・・・妥当

結納(ゆいのう)は、婚約の成立を確証し、あわせて、婚姻が成立した場合に当事者ないし当事者両家間の情誼(じょうぎ:つきあいという意味)を厚くする目的で授受される一種の贈与であるとし、また、別の判例で、婚姻(婚約)が解消された場合、結納金は不当利得として返還が必要としています。

よって、本肢は妥当です。

イ <相談> 私は事実婚状態にあったBと合意のうえ入籍することにして婚姻届を作成しましたが、提出前にBは交通事故に遭い、現在昏睡状態にあります。こうした状態でも先に作成した婚姻届を提出すれば、私はBと正式に婚姻できるのでしょうか。<回答> 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。

イ・・・妥当ではない

判例によると、「事実上の夫婦共同生活関係にある者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻の届書を作成したときは、届書の受理された当時意識を失っていたとしても、その受理前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届書の受理により婚姻は有効に成立する」とします(最判昭44.4.3)。

よって、本肢は、特段の事情がなければ、婚姻の効力が生じるので妥当ではありません。

ウ <相談> 私は配偶者Cとの間に子がいますが、Cは5年前に家を出て他で生活しており、子の養育費はすべて私が負担しています。Cに対して離婚訴訟を提起するにあたり、併せてこの間の養育費の支払いを求めることができるでしょうか。<回答> 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要があります。

ウ・・・妥当ではない

判例では、「離婚の訴えにおいて、別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立てがあった場合には、裁判所は、離婚請求を認容するに際し、右申立てに係る子の監護費用の支払を命ずることができる」としています(最判平19.3.30)。

つまり、離婚の訴えがあった場合、裁判所は、その裁判の判決で、監護費用の支払いまで命ずることができます

よって、離婚を申し立てる前に、監護費用の支払いを求める訴えを別途提起する必要がないので誤りです。

エ <相談> 私と配偶者であるDとの婚姻関係は既に破綻しており、離婚にむけて協議を進めています。D名義のマンションを私に贈与することをDと私とは書面により合意したのですが、離婚届を提出する前日になって、Dは、この贈与契約を取り消すと言ってきました。Dの取り消しは認められるのでしょうか。<回答> 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、Dはマンションの贈与契約を取り消すことができません。

エ・・・妥当

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができます(民法754条本文)。ただし、第三者の権利を害することはできません(754条ただし書き)。

そして、婚姻が実質的に破綻しているような場合になされた契約はどうなるかについて、判例は、「夫婦関係が破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取り消しえない(取消しできない)と解すべきである」としています(最判昭42.2.2)。

よって、本肢は妥当です。

「理由」や「関連ポイント」については。個別指導で解説します!

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問32|民法・債務不履行等

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
  2. Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
  3. Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
  4. 履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金を支払えなかった場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。
  5. 履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

>解答と解説はこちら

【答え】:5

【解説】

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約について、

1.Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。

1・・・正しい

「売主Aの引渡債務」と「買主Bの支払債務」は同時履行の関係にあります。そのため、Aが電化製品をBのもとに持参しないとき(=履行提供しないとき)は、Bは代金の支払いを拒むことができます(民法533条)。

したがって、Bは債務不履行に陥っていないので、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできません。

よって、正しいです。

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約について、

2.Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。

2・・・正しい

判例によると、「相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されないかぎり、同時履行の抗弁権は失われない」としています(最判昭34.5.14)。

つまり、Aが一度電器製品をBのもとに持参しているので、Aは履行提供しています。

しかし、翌日Aが、電器製品を持参しなかったので、履行提供が継続されていません。

そのため、Bの同時履行の抗弁権は消滅しないので、Bは売買代金の支払いを拒むことができます。

よって、正しいです。

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約について、

3.Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。

3・・・正しい

弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければなりません。

ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足ります(民法493条)。

本肢の場合、Bが予め受領を拒んだため、Aは、引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するだけで、弁済の提供をしたことになるので、履行遅滞になりません

よって、履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできないので正しいです。

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約について、

4.履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金を支払えなかった場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。

4・・・正しい

当事者の一方がその債務を履行しない場合、原則、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができます(民法541条本文)。

よって、契約解除するには、原則、催告をする必要があります

したがって、本問は正しいです。

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約について、

5.履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

5・・・誤り

「買主Bが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合」とは、売主Aの電器製品の受領を拒絶していることになります。

判例(最判昭32.6.5)では、受領拒絶の意思を明確にしたときは、債務者(売主A)は口頭の提供をする必要はないとして、Aは弁済の提供をしなくても、Bに対して債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償責任を問うことができるとしています。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問30|民法・留置権

留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。
  2. Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。
  3. AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。
  4. Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。
  5. Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。

>解答と解説はこちら

【答え】:2

【解説】

1.Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。

1・・・妥当

判例によると、
「A所有の物を買受けたBが、売買代金を支払わないままこれをCに譲渡した場合には、Aは、Cからの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる」としています(最判昭47.11.16)。

よって、本肢は正しいです。

留置権の基本については、個別指導で解説します!

2.Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。

2・・・妥当ではない

本肢は、Aが、BとCの二者に二重譲渡(売買)をしています。

判例によると、
不動産の二重売買において、第二の買主Cのため所有権移転登記がされた場合、第一の買主Bは、第二の買主Cの右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもって、留置権を主張することは許されない」としています(最判昭43.11.21)。

よって、本肢の場合、留置権を行使できないので誤りです。

本肢は理解していただきたいので、個別指導で解説します!

3.AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。

3・・・妥当

判例によると、「他人物売買の買主Bは、所有者Cの目的物の返還請求に対し、所有権を移転するはずであった売主Aの債務不履行による損害賠償債権のために、留置権を主張できない」としています(最判昭51.6.17)。

よって、本肢は正しいです。

本肢は理解していただきたいので、個別指導で解説します!

4.Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。

4・・・妥当

判例によると、
「建物の賃借人Bが、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながら右建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、Bは、右費用の償還請求権に基づいて右建物に留置権を行使することはできない」としています(最判昭46.7.16)。

よって、留置権は成立せず、Bは建物の明け渡しを拒むことはできません。

したがって、正しいです。

対比ポイントも頭に入れていただきたいので、個別指導では、対比ポイントも解説します!

5.Aが自己所有の建物をBに賃貸しBからAへ敷金が交付された場合において、賃貸借契約が終了したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する敷金返還請求権を保全するために、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできない。

5・・・妥当

「建物明渡債務」と「敷金返還債務」とは、同時履行の関係にありません最判昭和49.9.2)。

賃借人の建物明渡債務の履行が先で、その後に、賃貸人は敷金を返還すればよいです。

よって、同時履行の抗弁権を主張することも留置権を行使することもできないので、本肢は正しいです。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問31|民法・代物弁済

代物弁済(担保目的の代物弁済契約によるものは除く。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、土地所有権の移転の効果は、原則として代物弁済契約の意思表示によって生じる。
  2. 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、債務消滅の効果は、原則として移転登記の完了時に生じる。
  3. 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合、当該時計が他人から借りた時計であったとしても、債権者が、善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには、時計の所有権を取得できる。
  4. 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する時計を引き渡した場合、その時計に契約内容に適合しない瑕疵があるときでも、債権者は、債務者に対し契約不適合責任を追及することはできない。
  5. 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合、これによって債務消滅の効果が生じるので、それらの不渡りがあっても、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできない。

>解答と解説はこちら

【答え】:4

【解説】

1.債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、土地所有権の移転の効果は、原則として代物弁済契約の意思表示によって生じる。

1・・・妥当

判例によると、
「不動産を目的とする代物弁済契約の意思表示がされたときは、これにより当該不動産の所有権移転の効果が生ずる」としています(最判昭57.6.4)。

つまり、代物弁済による土地所有権の移転の効果は、代物弁済契約の意思表示によって生じるので、妥当です。

この問題は注意点があるので個別指導で解説します!

2.債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、債務消滅の効果は、原則として移転登記の完了時に生じる。

2・・・妥当

弁済者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて「他の給付」をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する(民法482条)。

『民法482条にいう「他の給付」が不動産の所有権を移転することにある場合には、当事者がその意思表示をするだけではたりず、登記その他引渡行為を終了し、第三者に対する対抗要件を具備したときでなければ、代物弁済は成立しないと解すべきである』としています(最判昭39.11.26)。

代物弁済により債務が消滅するのは、登記が完了した時ということです。

よって、本肢は妥当です。

選択肢1と混乱しやすいので、個別指導で整理の仕方を解説します!

3.債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合、当該時計が他人から借りた時計であったとしても、債権者が、善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには、時計の所有権を取得できる。

3・・・妥当

取引行為」によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得します(民法192条:即時取得)

そして、代物弁済も民法192条の「取引行為」に当たるので、即時取得のルールは適用されます(大判昭5.5.10)。

よって、本肢は妥当です。

4.債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する時計を引き渡した場合、その時計に契約内容に適合しない瑕疵があるときでも、債権者は、債務者に対し契約不適合責任を追及することはできない。

4・・・妥当ではない

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、代物弁済の債権者は、債務者に対して責任追及ができます民法559、562~564条)。

よって、債権者は、債務者に対し、責任を追及することはできないというのは妥当ではありません。
責任追及の内容については個別指導で解説します!

5.債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合、これによって債務消滅の効果が生じるので、それらの不渡りがあっても、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできない。

5・・・妥当

弁済(支払い)に代えて、手形や小切手を交付した場合、代物弁済したことにります。

これによって、債務消滅の効力が生じます。

したがって、それらの不渡りがあっても(小切手を銀行に持っていってお金をもらえなかったとしても)、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできません。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問28|民法・意思表示

心裡留保および虚偽表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 養子縁組につき、当事者の一方において真に養親子関係の設定を欲する意思がない場合であっても、相手方がその真意につき善意、無過失であり、縁組の届出手続が行われたときは、その養子縁組は有効である。
  2. 財団法人(一般財団法人)の設立に際して、設立関係者全員の通謀に基づいて、出捐者が出捐の意思がないにもかかわらず一定の財産の出捐を仮装して虚偽の意思表示を行った場合であっても、法人設立のための当該行為は相手方のない単独行為であるから虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は有効である。
  3. 土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができない。
  4. 仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができない。
  5. 金銭消費貸借契約が仮装され、借主に金銭が交付されていない場合であっても、当該契約に基づく貸金債権を譲り受けた者は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができる。

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【答え】:5

【解説】

1.養子縁組につき、当事者の一方において真に養親子関係の設定を欲する意思がない場合であっても、相手方がその真意につき善意、無過失であり、縁組の届出手続が行われたときは、その養子縁組は有効である。

1・・・妥当ではない

判例によると、
真に養親子関係の設定を欲する効果意思がない場合(当事者間に縁組をする意思がない場合)においては、養子縁組は無効である。
そして、この無効は絶対的なものであるから、心裡留保のルールを適用する必要もなく、又適用したものでもない」としています(最判昭23.12.23)。

よって、本肢の場合、養子縁組は無効です。

2.財団法人(一般財団法人)の設立に際して、設立関係者全員の通謀に基づいて、出捐者が出捐の意思がないにもかかわらず一定の財産の出捐を仮装して虚偽の意思表示を行った場合であっても、法人設立のための当該行為は相手方のない単独行為であるから虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は有効である。
2・・・妥当ではない
まず、「出捐:しゅつえん」とは、出資のことです。
財団法人を設立する際に、たくさんの人が出資する場合、「出捐」という言葉を使います。判例によると、
「寄附行為の一環としてされた財産出捐行為が、財団法人設立関係者の通謀に基づいてされた虚偽仮装のものであるときは、民法94条1項の規定(虚偽表示)を類推適用して当該寄附行為を無効とする」としています(最判昭56.4.28)。よって、本肢の場合、虚偽表示にあたらず、財団法人の設立の意思表示は無効なので、誤りです。
3.土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができない。

3・・・妥当ではない

「土地の仮装譲渡人A」「土地の仮装譲受人をB(建物賃貸人)」「建物賃借人をC」としています。

判例によると、
土地の仮装譲受人Bからその建築にかかる右土地上の建物を賃借した者Cは、民法94条2項所定(虚偽表示)の第三者にはあたらない。」としています(最判昭57.6.8

つまり、建物賃借人Cが善意のときでも、
土地の仮装譲渡人Aはその建物賃借人Cに対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができます。

よって、誤りです。

問題文が細かいので、個別指導で解説します!

また、判決の理由についても解説します!

4.仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができない。
4・・・妥当ではない
判例では、
仮装譲渡されたことが原因で発生した「売買代金債権(仮装債権)」の譲受人は、
仮装譲渡の第三者に当たるとしています(大判昭13.12.17)。したがって、債権の譲受人Cが善意であれば、Cは保護され、
Cは、「代金債権の債務者B」に対して、代金の支払いを求めることができます。よって、本肢は誤りです。個別指導では、別ポイントも併せて解説します!
5.金銭消費貸借契約が仮装され、借主に金銭が交付されていない場合であっても、当該契約に基づく貸金債権を譲り受けた者は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができる。

5・・・妥当

判例では、
仮装譲渡されたことが原因で発生した「売買代金債権(仮装債権)」の譲受人は、
仮装譲渡の第三者に当たるとしています(大判昭13.12.17)。

したがって、貸金債権(仮装債権)を譲り受けた者は、善意であるときは、借主に対して貸金の返済を求めることができるので正しいです。

詳細は、個別指導で解説します!

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略