【問1】民法
第三者が抵当不動産を不法占有することによって同不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求権が認められるが、抵当権は占有を目的とする権利ではないため、抵当権者が占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることは常にできない。
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【解答】
×
判例によると、
「抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、
抵当権者は、当該占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる」としています(最判平17.3.1)。
したがって、本肢は妥当ではありません。
本肢は理解しておかないと、本試験で類題が出題されても解けないです。
そのため、短期講座では、具体例を入れて解説します!
【問2】行政法
国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。
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【解答】
〇
選択肢のように、
「国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであるため、
法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるものではない」です。
ただし、
「法律に特別の規定がある場合に限り、提起することが許される」
とされています。
よって、本肢は妥当です。
【問3】商法
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
相手方と本人および代理人とのいずれの間にも法律関係が生じ、本人および代理人は連帯して履行の責任を負う。
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【解答】
×
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じます。
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることもできます(商法504条)。
そして、判例では、
「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、商法第504条但書によって、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人と相手方間の法律関係を主張することができない。」としています(最大判昭43.4.24)。
つまり、相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます。
「相手方と本人」および「相手方と代理人」とのいずれの間にも法律関係が生じるわけではないので誤りです。
