行政法の過去問

平成23年・2011|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。
行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。

1:併合提起された訴訟 2:速やか 3:救済の必要 4:差止め 5:義務存在確認 6:相当の期間内 7:職務執行命令 8:公の利益に対する障害 9:公益上の必要 10:代執行 11:重大な損害 12:義務付け 13:回復困難な損害 14:迅速 15:償うことのできない損害 16:本案 17:標準処理期間内 18:訴えの利益の消滅 19:手続の執行 20:合理的な期間内

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【答え】:ア:6、イ:12、ウ:15、エ:16

【解説】

行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。
行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ア:相当の期間内]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[イ:義務付け]訴訟の提起を認め、またその[イ:義務付け]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ウ:償うことのできない損害]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[エ:本案]について理由があるとみえるときは、仮の[イ:義務付け]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[イ:義務付け]訴訟を提起することができることになった。

「最判昭59.12.18」の詳細解説はこちら>>

ア.行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。

ア・・・相当の期間内
アは、不作為の違法確認の訴えの内容です。「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条5項)。よって、「アには相当の期間内」が入ります。

イ.ウ.エ.しかしこの訴訟類型(不作為の違法確認の訴え)は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。

イ・・・義務付け
ウ・・・償うことのできない損害
エ・・・本案
「不作為の違法確認の訴え」だけでは、不作為が違法かどうかの確認しかしないので、救済手段として弱いです。
原告としては、許可処分といった一定の処分が欲しいわけです。そのため、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、
「義務付け訴訟」を認めました。したがって、「イには義務付け」が入ります。

さらに、義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる「償うことのできない損害」を避けるため緊急の必要があり、かつ、「本案」について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(仮の義務付け)ができます(行政事件訴訟法37条の5の1項)。

よって、「ウには償うことのできない損害」「エには本案」が入ります。

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平成23年・2011|問42|行政法

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

・・・課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ ア ]ならしめるものと解するのが相当である。

(最一小判昭和48年4月26日民集27巻3号629頁以下)

1:審査庁 2:違法 3:除斥期間 4:確定 5:当然無効 6:裁量 7:納税者 8:失効 9:第三者 10:遡及 11:裁定 12:出訴期間 13:消滅 14:失権 15:時効 16:不可争 17:取消し 18:公益 19:公権 20:不法

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【答え】:ア:5、イ:12、ウ:9、エ:16

【解説】

・・・課税処分につき[ア:当然無効]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[イ:出訴期間]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ウ:第三者]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[エ:不可争]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ア:当然無効]ならしめるものと解するのが相当である。

ア.課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけである

ア・・・当然無効
イ・・・出訴期間「課税処分について〇〇を認めたらいつまでも争うことができる」と書いてあります。課税処分が無効であれば、出訴期間はないので、いつまでも争えます。

よって、「アには当然無効」が入ります。

また、「イには出訴期間」が入ります。

ウ.課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、・・・

ウ・・・第三者
課税処分が「課税庁と被課税者との間」にのみ存在するものであれば、第三者は関係ないので、第三者の保護を考慮する必要はありません。よって、「ウには第三者」が入ります。

エ.不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生、、、

エ・・・管理権
不服申立期間が過ぎると、争うことができなくなります。よって。「エには不可争」が入ります。不可争的効果=不可争力です。

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平成23年・2011|問26|行政法

次のア~エの記述のうち、道路をめぐる裁判に関する最高裁判所の判決の要旨として、正しいものの組合せはどれか。

ア.里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。

イ.道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。

ウ.建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。

エ.国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:4【解説】

ア.里道は住民に個別的具体的な利益をもたらすものではなく、その用途廃止により住民の生活に支障が生じるとしても、住民に里道の用途廃止処分の取り消しを求めるについての原告適格が認められる余地はない。
ア・・・誤り
判例によると、
「里道の近くに居住し、その通行による利便を享受することができる者であつても、当該里道の用途廃止により各方面への交通が妨げられるなどその生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるといえないときは、右用途廃止処分の取消しを求めるにつき原告適格を有しない。 」
と判示しています。つまり、里道の近くに居住し、その通行による利便を享受することができる者であっても、原則、原告適格を有しない

例外的に、当該里道の用途廃止により各方面への交通が妨げられるなどその生活に著しい支障が生ずるような特段の事情があるときは、原告適格を有するということです。

よって、本肢の場合、「その用途廃止により住民の生活に支障が生じる」となっているので、例外に当たり、原告適格が認められる余地はあります

したがって、誤りです。

イ.道路が権原なく占有された場合には、当該道路の道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得する。
イ・・・正しい
判例によると、
「道路法39条1項は、道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収することができる旨を定めており、この規定に基づく占用料は、都道府県道に係るものにあっては道路管理者である都道府県の収入となる。このように、道路管理者は道路の占用につき占用料を徴収して収入とすることができるのであるから、

道路が権原なく占有された場合には、道路管理者は、占有者に対し、占用料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を取得するものというべきである」
と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

ウ.建築基準法42条2項によるいわゆる二項道路の指定が一括指定の方法でされた場合、これによって直ちに個別の土地について具体的な私権制限が生じるものでないから、当該指定は抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
ウ・・・誤り
判例によると、
「特定行政庁(知事等)による2項道路の指定は、それが一括指定の方法でされた場合であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであり、個人の権利義務に対して直接影響を与えるものということができる。したがって、本件告示のような一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」
と判示しています。

よって、本肢は誤りです。

エ.国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合、その移設にかかった費用は、損失補償の範囲には含まれない。
エ・・・正しい
国道の改築工事として地下横断歩道が設置された結果、消防法違反の状態となったガソリンタンクを移設しなければならなくなった場合において判例によると、
「道路法70条1項の定める補償の対象は、道路工事の施行による土地の形状の変更を直接の原因として生じた隣接地の用益又は管理上の障害を除去するためにやむを得ない必要があってした前記工作物の移転等に起因する損失に限られると解するのが相当である。

したがって、警察法規が一定の危険物の保管場所等につき保安物件との間に一定の離隔距離を保持すべきことなどを内容とする技術上の基準を定めている場合において、道路工事の施行の結果、警察違反の状態を生じ、危険物保有者が右技術上の基準に適合するように工作物の移転等を余儀なくされ、これによって損失を被ったとしても、それは道路工事の施行によって警察規制に基づく損失がたまたま現実化するに至ったものにすぎず、このような損失は、道路法70条1項の定める補償の対象には属しないものというべきである。」
と判示しています。

つまり、本肢の状況では、ガソリンタンクの移設費用は損失補償の範囲に含まれません

よって、正しいです。

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平成23年・2011|問25|行政法

次の文章は、公務員に対する国の損害賠償責任の成立が争点となった事案の最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

思うに、国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ ア ]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[ イ ]義務…を負うことを定めているが、国の義務は右の…義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ ウ ]義務は、ある法律関係に基づいて[ エ ]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、(後略)。

(最三小判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁以下)

  1. ア:品位を保持する イ:身分保障 ウ:危険防止 エ:特別な社会的接触
  2. ア:職務に専念すべき イ:給与支払 ウ:安全配慮 エ:特別な社会的接触
  3. ア:職務に専念すべき イ:身分保障 ウ:安全配慮 エ:特別な権
  4. ア:品位を保持する イ:給与支払 ウ:安全配慮 エ:特別な権力
  5. ア:職務に専念すべき イ:給与支払 ウ:危険防止 エ:特別な権力

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【答え】:2

【解説】

思うに、国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ア:職務に専念すべき]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[イ:給与支払]義務…を負うことを定めているが、国の義務は右の…義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ウ:安全配慮]義務は、ある法律関係に基づいて[エ:特別な社会的接触]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、(後略)。

ア.イ.国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ ア ]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[ イ ]義務…を負うことを定めている

ア・・・職務に専念すべき
イ・・・給与支払
職員は、原則、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければなりません(国家公務員法101条1項)。
これは、「職務に専念する義務」です。
よって「アには職務に専念すべき」が入ります。一方、職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてもらえます(国家公務員法62条)。
つまり、国は職員(公務員)に対して、給料を支払う義務がある、ということです。
よって「イには給与支払」が入ります。

ウ.エ.国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ ウ ]義務は、ある法律関係に基づいて[ エ ]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、

2・・・正しい
[ ウ ]義務は、「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務」を指します。つまり、「安全配慮義務」です。したがって、「ウには安全配慮」が入ります。

エについての選択肢「特別な権力の関係」とは、一般国民と違って公権力と特殊な関係にあることを言います。例えば、公務員です。

「一般国民と国」との関係と、「公務員と国」との関係を考えると、
公務員は一般国民よりも国寄りの立場にあります。
そういった意味で特別な権力関係と言っています。

公務員などは、国寄りの立場の人なので、法律の根拠なく人権も制限されてしまうという考え方をします。

ただ、日本国憲法では基本的人権の尊重の観点から上記考え方は妥当ではないです。

よって、「安全配慮義務は、[ エ ]の関係に入った当事者間において、・・認められる」の「エには特別な社会的接触」が入ります。

特別な社会的接触の関係」とは、例えば、国の仕事を、民間企業が請け負った場合、国の仕事をした民間企業の担当者に対しても、国は安全配慮義務を負うということです。

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平成23年・2011|問24|行政法

公物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 自然公物については、自然のままにおいて公共の用に供されていると解されるので、公用開始という観念は成り立ちえない。
  2. 公物の公用開始行為は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政法学でいう行政行為の一種である。
  3. 公物の公用廃止については、明示的な廃止処分によることなく、黙示で廃止されたものとみなされることもある。
  4. 私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は当該財産に関する部分について当然に無効となる。
  5. 公用開始後の公物の供用行為が利用者との関係で適正であっても、第三者に対して損害を及ぼせば、当該公物の管理者は損害賠償責任を負う。

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【答え】:4【解説】

1.自然公物については、自然のままにおいて公共の用に供されていると解されるので、公用開始という観念は成り立ちえない。
1・・・正しい
「公の営造物」と「公物」は同義(同じもの)で、大きく分けて「自然公物」と「人工公物」があります。

  • 自然公物:河川、湖、沼、海、砂浜等
  • 人工公物:道路、上下水道、庁舎、庁舎内の机・椅子、校舎、公用車、けん銃等

そして
自然公物の場合は、自然のままで、みんなが使っている(公衆の利用に供されてきている)ため、公用開始という観念は成立しません
よって、本肢は正しいです。

一方、人工公物は、いつからみんなが使うことができるのかを明確にする必要があることから、公用開始行為は、行政処分によって行われます。

2.公物の公用開始行為は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政法学でいう行政行為の一種である。
2・・・正しい
公物の公用開始行為」は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政講学上「行政行為の一種」と解されています。
例えば、道路が私道(私人が所有する道路)であっても、公用開始行為により、その私道は、みんなが使うことができる(私道に建物を建てることができなくなる)という効力が生じます。
そこから考えても、行政行為とイメージできます。
3.公物の公用廃止については、明示的な廃止処分によることなく、黙示で廃止されたものとみなされることもある。
3・・・正しい
判例によると、
「公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたもの(公用廃止の意思を示さななくても、公用が廃止された)として、取得時効の成立を妨げない(取得時効が成立する可能性はある)。」
と判示しています。※黙示的とは、暗黙のうちに意思や考えを示すこと。

よって、本肢は正しいです。

4.私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は当該財産に関する部分について当然に無効となる。
4・・・誤り
私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は有効です。
例えば、道路が私道(私人が所有する道路)であっても、公用開始行為により、その私道は、みんなが使うことができる(私道に建物を建てることができなくなる)という効力が生じます。
5.公用開始後の公物の供用行為が利用者との関係で適正であっても、第三者に対して損害を及ぼせば、当該公物の管理者は損害賠償責任を負う。
5・・・正しい
判例によると、
営造物(空港)の利用が一定の限度を超えるため、第三者(空港周辺の住民)が損害を受ける危険性がある場合、国家賠償法2条1項の「営造物の設置又は管理」に瑕疵があるといえる。
このような危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害が発生したときは、原則、国家賠償法2条1項の規定による責任(損害賠償責任)を免れることができない
と判示しています。よって、本肢は正しいです。

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平成23年・2011|問23|地方自治法

地方自治法の規定する公の施設の指定管理者についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 指定管理者として公の施設を管理する法人の指定は、条例自体によってなさなければならないこととされている。
  2. 公の施設の利用料金は、地方公共団体の収入とされ、指定管理者には普通地方公共団体から委託料が支払われることとされている。
  3. 公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定めることとされ、指定管理者が定めることはできない。
  4. 公の施設の使用許可などの行政処分は、地方公共団体の長が行わなければならず、これを指定管理者が行うことは認められていない。
  5. 指定管理者による公の施設の管理の基準及び業務の範囲その他の必要な事項は、条例で定めることとされている。

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【答え】:5【解説】

1.指定管理者として公の施設を管理する法人の指定は、条例自体によってなさなければならないこととされている。
1・・・妥当ではない
普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません(地方自治法244条の2の6項)。
つまり、「法人(管理者)の指定」自体は、条例ではなく、議会の決議で行います。よって、本肢は妥当ではありません。

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2.公の施設の利用料金は、地方公共団体の収入とされ、指定管理者には普通地方公共団体から委託料が支払われることとされている。
2・・・妥当ではない
普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金を当該指定管理者の収入として収受させることができます(地方自治法244条の2の8項)。つまり、公の施設の利用料金は、指定管理者の収入とさせることができるということです。

よって、本肢は妥当ではありません。

3.公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定めることとされ、指定管理者が定めることはできない。
3・・・妥当ではない
公の施設の利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めます。
この場合、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければなりません(地方自治法244条の2の9項)。「公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定める」は誤りで、
公の施設の利用料金は、条例で定めにしたがって指定管理者が定める」が正しいです。

また、「指定管理者が定めることはできない」は誤りで
「原則、指定管理者が定める」が正しいです。

4.公の施設の使用許可などの行政処分は、地方公共団体の長が行わなければならず、これを指定管理者が行うことは認められていない。
4・・・妥当ではない
条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めます(地方自治法244条の2の4項)。
上記にしたがって、公の施設の使用許可などの行政処分を指定管理者が行うことも認められています。よって、誤りです。

具体的には、条例で「公の施設の使用許可処分について、指定管理者の業務とする」と決めておけば、指定管理者が行政処分をすることもできます。

5.指定管理者による公の施設の管理の基準及び業務の範囲その他の必要な事項は、条例で定めることとされている。
5・・・妥当
選択肢4の解説の通り、本肢は正しいです。

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平成23年・2011|問22|地方自治法

地方自治法の規定する普通地方公共団体の執行機関に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
  2. 地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
  3. 執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
  4. 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
  5. 執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。

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【答え】:3【解説】

1.地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
1・・・誤り
普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置きます(地方自治法38条の4の1項)。
よって「条例の定めるところ」が誤りで、正しくは「法律の定めるところ」です。
2.地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
2・・・誤り
普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う機関です(地方自治法138条の2)。「行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関」とは、警察官や消防署員、自衛官などを指し、行政講学上(法律の条文の内容ではなく、学問上の話)の「執行機関」です。

地方自治法における執行機関は、上記条文の内容の通りです。

よって、誤りです。

3.執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
3・・・正しい
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができます(地方自治法138条の4の2項)・よって、本肢は正しいです。

簡単に言えば、普通地方公共団体の委員会は、法律の定めに従って、当該委員会の事務の範囲内の規則を定めることができる、ということです。

4.普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
4・・・誤り
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければなりません(地方自治法138条の3の3項)。
つまり、長みずからが権限を行使するのではなく、権限の調整を行う、ということです。よって、誤りです。

5.執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。
5・・・誤り
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、「普通地方公共団体の長」において、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。
つまり、専決処分を行うことができるのは「長(知事や市町村長)」であって、「委員会、委員」は行うことはできません。よって、誤りです。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問21|地方自治法

次のア~オのうち、地方自治法の定める住民訴訟における請求として行うことができるものはいくつあるか。

ア.公金の支出を行うことを当該普通地方公共団体の長に対して義務付ける請求

イ.執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求

ウ.公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求

エ.違法な公金の支出に関与した職員に対する懲戒処分を懲戒権者に対して求める請求

オ.財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら


【答え】:3【解説】

住民訴訟で請求できる内容(類型)は下記4つに限ります

それ以外はできません。

  1. 差止めの請求
  2. 「取消し」又は「無効確認」の請求
  3. 「怠る事実の違法確認」の請求
  4. 相手方に「損害賠償請求」又は「不当利得返還請求」をするよう求める請求
ア.公金の支出を行うことを当該普通地方公共団体の長に対して義務付ける請求
ア・・・住民訴訟で請求できない
義務付けの請求は、上記1~4の類型にありません。
よって、住民訴訟による請求はできません。

イ.執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求
イ・・・住民訴訟で請求できる
「執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求」は、3の「怠る事実の違法確認」の請求に当たります。

よって、住民訴訟で請求できます。

ウ.公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求
ウ・・・住民訴訟で請求できる
「公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求」は、
4の「相手方に損害賠償請求をするよう求める請求」に該当します。よって、住民訴訟で請求できます。

エ.違法な公金の支出に関与した職員に対する懲戒処分を懲戒権者に対して求める請求
エ・・・住民訴訟で請求できない
「懲戒処分を求める請求」は、上記1~4の類型に該当しません。よって、住民訴訟で請求することはできません。

オ.財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求
オ・・・住民訴訟で請求できる
「財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求」は、2の「取消し」又は「無効確認」の請求に該当します。

よって、住民訴訟で請求できます。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問20|国家賠償法

国家賠償法1条1項の要件をみたす場合の責任の主体に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことはない。

イ.都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官の犯罪の捜査の補助に係るものであっても、当該警察官の捜査に起因する私人の損害について、国が国家賠償責任を負うことはない。

ウ.児童福祉法に基づいて、都道府県が要保護児童を社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所させている場合、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県が国家賠償責任を負うことがある。

エ.都道府県の警察官が制服制帽を着用して職務行為を装い強盗した場合、被害者に対し当該都道府県が国家賠償責任を負うことがある。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】

ア.指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことはない。
ア・・・妥当ではない
指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、
判例によると「指定確認検査機関による建築確認に係る建築物について、建築確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、国家賠償責任を負う。」と判示しています。

よって、本肢は妥当ではないです。

イ.都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官の犯罪の捜査の補助に係るものであっても、当該警察官の捜査に起因する私人の損害について、国が国家賠償責任を負うことはない。
イ・・・妥当ではない
判例によると、「都道府県警察の警察官がいわゆる交通犯罪の捜査を行うにつき故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えた場合において国家賠償法1条1項によりその損害の賠償の責めに任ずるのは、原則として当該都道府県であり、国は原則としてその責めを負うものではない。ただし、都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官が自ら行う犯罪の捜査の補助に係るものであるときは、例外的に、国が国家賠償責任を負う
と判示しています。

本肢は例外に当たるので、国が国家賠償責任を負うことになるので、妥当ではないです。

ウ.児童福祉法に基づいて、都道府県が要保護児童を社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所させている場合、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県が国家賠償責任を負うことがある。
ウ・・・妥当
判例によると、「都道府県による児童福祉法の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の長及び職員は、国家賠償法1条1項の適用において都道府県の公権力の行使に当たる公務員に該当する。」と判示しています。

よって、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県は、国家賠償責任を負うことがあるので、妥当です。

エ.都道府県の警察官が制服制帽を着用して職務行為を装い強盗した場合、被害者に対し当該都道府県が国家賠償責任を負うことがある。
エ・・・妥当
判例によると、「巡査が、もっぱら自己の利をはかる目的で、制服着用の上、警察官の職務執行をよそおい
被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で同人を射殺したときは、

国家賠償法第1条にいう、公務員がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものと解すべきである。」

と判示しています。

よって、本肢の場合、当該警察官を管理する都道府県が国家賠償責任を負います。

したがって、妥当です。

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[SPI name=平成23年度2011年度|行政書士試験の問題と解説]

平成23年・2011|問19|国家賠償法

国家賠償法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国家賠償法2条にいう「公の営造物」は、民法717条の「土地の工作物」を国家賠償の文脈において表現したものであるから、両者は同じ意味であり、動産はここに含まれないと解されている。
  2. 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるが、無過失責任と結果責任とは異なるので、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負うものとは解されない。
  3. 外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる。
  4. 国家賠償法2条が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、設置又は管理に当る者(設置管理者)とその費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、費用負担者は、設置管理者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、被害者に対する損害賠償責任を負う。
  5. 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるから、公の営造物の設置又は管理の瑕疵の判断にあたっての考慮要素は、事件当時における当該公の営造物の客観的状態に限られる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2【解説】

1.国家賠償法2条にいう「公の営造物」は、民法717条の「土地の工作物」を国家賠償の文脈において表現したものであるから、両者は同じ意味であり、動産はここに含まれないと解されている。
1・・・誤り
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責任があります(国賠法2条)。
そして、公の営造物(公物)とは、国または公共団体により公の目的に供される不動産だけでなく動産も含まれます。例えば、判例によると、警察官の拳銃、警察署の公用車、自衛隊の砲弾です。

2.国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるが、無過失責任と結果責任とは異なるので、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負うものとは解されない。
2・・・正しい
県道上に道路管理者の設置した掘穿工事中であることを表示する工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が倒れ、赤色灯が消えたままになって、それが原因で事故が発生じた事案で判例によると、
「事故発生当時、県において設置した工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたのであるから、道路の安全性に欠如があつたといわざるをえないが、それは夜間、しかも事故発生の直前に先行した他車によってひき起こされたものであり、時間的に県において遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことは不可能であったというべく、このような状況のもとにおいては、県の道路管理に瑕疵がなかったと認めるのが相当である。」
と判示しています。

つまり、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負わない、ということです。

よって正しいです。

3.外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる。
3・・・誤り
国家賠償法は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用します(国賠法6条)。
つまり、相互保証がある場合、国賠法全体について適用されるので、国賠法1条だけでなく、2条も対象です。よって、誤りです。

4.国家賠償法2条が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、設置又は管理に当る者(設置管理者)とその費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、費用負担者は、設置管理者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、被害者に対する損害賠償責任を負う。
4・・・誤り
国賠法2条によって、国又は公共団体が損害賠償責任を負う場合において、「①設置又は管理に当る者(設置管理者)」

②その費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、

費用を負担する者②もまた、その損害賠償責任を負います(国賠法3条)。

設置管理者が注意をしていたかどうかは関係ありません

設置管理者の過失の有無にかかわらず、費用負担者は被害者に対して損害賠償責任を負います。

よって、誤りです。

5.国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるから、公の営造物の設置又は管理の瑕疵の判断にあたっての考慮要素は、事件当時における当該公の営造物の客観的状態に限られる。
5・・・誤り
選択肢2でも解説しましたが、
国賠法2条は、無過失責任を定めたものであるが、「不可抗力ないし回避可能性のない場合であるとき」は、国等は責任を負いません。その際の考慮要素は事件当時における当該公の営造物の客観的状態(設置物に瑕疵があるかどうか)に限らず、時間(瑕疵を直すのために時間的に可能かどうか)についても考慮します。

よって「公の営造物の客観的状態に限られる」は誤りです。

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