テキスト

商法・会社法の無料テキスト|行政書士

行政書士試験の無料テキスト(商法)

商法

行政書士試験の無料テキスト(会社法)

株式会社の設立

株式

株式会社の機関

株式会社の計算

持分会社

組織再編

 

社債

社債とは、会社法では、「会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、会社法の定めに従い償還されるものをいう(2条23号)」と定義づけられています。 社債を分かりやすく言えば、会社が一般公衆から広くお金を借り入れて、一定期間経過後に債権者に返済する(償還する)というものです。 つまり、社債=会社に対してお金を貸した貸付債権とも言えます。

株式と社債の違い

株式を発行する場合も、社債を発行する場合も、どちらもお金を調達するために使います。 しかし、違いもあります。

地位の違い

株式の場合、会社の社員たる地位(オーナー)であるのに対し 社債の場合、会社の債権者です。

株主総会における議決権

株主(株主を有する者)は、株主総会で議決権を行使して、経営にかかわることもできますが 社債権者(社債を有する者)は、そのような権利はありません。

出資金の払い戻し

株主は、会社が存続している間は、原則として会社から出資の払い戻しを受けることができません。 社債権者は、あらかじめ決められた期間(償還期間)が到来すると、その払い戻しを受けることができます。

配当と利息

株主は、剰余金の配当決議があって初めて配当を受けることができます。(剰余金がない場合、無配当の場合もある) 社債権者は、剰余金の有無にかかわらず、あらかじめ定められた額の利息の支払いを受けることができる。

発行限度

株式は、公開会社では発行可能株式総数は発行済株式の4倍以下でないといけません。非公開会社ではそのような制限はありません。 社債は、発行限度はないので、どれだけでも発行して借入ができます。

分割払込み

株式は分割して払込むことは認められていません。 社債は、払込は、全額の払込が原則ですが、分割して払込む方法を定めることも可能です。

社債の発行の手続き

社債を発行する場合、会社は、募集社債に関する下記事項を決定しなければなりません。 この募集社債に関する決定は、業務の執行にあたるため、取締役が決定します(取締役会設置会社では取締役会の決議による)(348条362条4項5号)。
  1. 募集社債の総額
  2. 各募集社債の金額
  3. 募集社債の利率
  4. 償還方法
  5. 償還期限等

新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、新株予約権がついた社債で、「社債の堅実性」と「株式の投機性」の両方を併せ持ちます。 どういうことかというと、会社の業績が悪い時は社債として持っておき、利息を確実にもらっていきます。その後、業績が上がって、株価も上昇したのであれば、新株予約権を行使して、株主になり、その後株式を売却して売却益を得るということも可能です。 行政書士のポイントとしては、下記事項です。
  1. 新株予約権と社債を分離していずれか一方を譲渡することはできません。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡できます(254条2項3項)。
  2. 新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用される(248条)。つまり、原則として、公開会社では取締役会の決議で、非公開会社では株主総会の特別決議で募集事項を決定します。

社債管理者

会社は、社債を発行する場合には、原則、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(702条1項)。 社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。(705条1項) <<新株予約権 | 株主総会の権限と招集>>

衆議院の優越

衆議院と参議院は、対等の関係にあるのが原則ですが、両院(衆議院と参議院)の意見が一致しない場合に、国家の意思が決定されないのは不都合が生じます。 そのため、一定事項については、衆議院の方が優越するというルールがあります。

衆議院が優越する理由

  1. 衆議院には解散があり、参議院に比べて任期が短くなっている分、選挙を通じて国民の意思を問う機会が多くなります。そのため,参議院よりも国民の意思を反映しやすいから。
  2. 衆議院と参議院が反対の議決ばかりしていると、いつまでも決まらなくなってしまうから。
優越するとは「衆議院の方が権限が大きい」「衆議院の議決を優先する」といった意味です。

権限上の優越

予算先議権

憲法第60条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
衆議院に先に予算を提出するということは、予算については、衆議院が先に審議するということです。つまり、予算先議権とは、予算を先に審議する権利のことです。 予算の原資となるのは、国民から徴収した税金等です。つまり、国民の負担に関するものなので直接的に民意が反映する衆議院の意思を尊重すべきということで、予算については、衆議院が先に審議します。

内閣不信任決議権

憲法第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
上記条文の通り、内閣の不信任決議を行えるのは衆議院のみです。したがって、参議院には内閣不信任決議を行う権限はありません。 内閣不信任決議とは、「いまの内閣に国の政治を任せられないから、やめさせるべきだ!」という提案について決議することです。 これが可決された場合、内閣総理大臣は、10日内に下記2つのどちらかを選択します。
  1. 内閣総辞職(内閣のみを解体して、再度内閣総理大臣を決めて新しい内閣を作り直す)
  2. 衆議院解散(衆議院議員全員が辞めて、再度衆議院議員のみ選挙をする)

衆議院の議決の優越

法律案の議決

下記いずれかの場合、衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法律となる
  • 衆議院が可決し、参議院が否決した場合
  • 衆議院が可決し、参議院が60日以内に議決しない場合
両院で、異なった議決をした場合、両院協議会を開くかどうか任意。開かなかったとしても、上記の通り、衆議院による再可決で、法律案は成立する。 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる
憲法第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。 4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

予算、条約の承認の議決

「予算の決議」と「条約承認の決議」は同じ流れになります。そして、下記1、2の2つのパターンがあります。
  1. 衆議院が可決し、参議院が否決した場合 →両院協議会を必ず開き、両院協議会でも一致しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
  2. 衆議院が可決し、参議院が30日以内に議決しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする
憲法第60条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

内閣総理大臣の指名の議決

内閣総理大臣の指名の決議については、下記2パターンあります。
  1. 衆議院と参議院で異なる指名の議決がなされたとき →両院協議会を必ず開き、両院協議会でも一致しなかった場合 →衆議院の議決(指名)を国会の議決とする
  2. 衆議院が指名し、参議院が10日以内に議決しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする
憲法第67条 2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
<<会期の種類・議決の方法(定足数と表決数) | 国会の権能>>

行政法の無料テキスト|行政書士

行政書士試験の無料テキスト(行政法)

行政組織

行政立法

  • 行政立法(法規命令:執行命令・委任命令)(行政規則:訓令・通達)

行政行為

行政法総論

行政手続法

行政不服審査法

行政事件訴訟法

国家賠償法と損失補償

地方自治法

行政行為の裁量(行政裁量)

行政行為を行う場合、行政庁は、法律に規定されていることしかできません。しかし、法律で、一定の判断の余地を認めています。この判断の余地を「裁量(さいりょう)」と言います。 そもそも、法律で、きっちり決めておけば裁量は必要ありません。しかし、ガチガチに法律で縛ってしまうと、複雑で多様な行政上の問題に対応できないこともあります。 そのため一定の幅を利かせているわけです。

裁量行為

裁量行為とは、行政庁の裁量にゆだねられた行為を言います。そして、裁量行為については、裁量の逸脱・濫用がある場合に違法となります。

裁量の逸脱と濫用

上記でも記述した通り、行政庁には判断の余地があるのですが、与えられた権限を超えてはいけませんし、また、権限の範囲内ではあるけど、妥当性に欠ける場合もいけません。 この「与えられた権限を超えること」を「裁量の逸脱」 「権限の範囲内ではあるけど、妥当性に欠ける場合」を「裁量の濫用」と言います。

要件裁量と効果裁量

まず、行政裁量を行うプロセスを解説します。
  1. 事実認定
  2. 法律の要件に該当するか?(要件裁量)
  3. どのような処分をするか?(効果裁量)

要件と効果(法律要件と法律効果)

一般的に法律の規定は、「一定の条件」を満たした場合には、「一定の効果」が生ずるという形式で定められています。 「一定の条件」=法律要件 「一定の効果」=法律効果 です。 ■例えば、宅建業法に、「懲役刑を受けると宅建業の免許を受けることができない」という規定(ルール)があります。 ここでいう、 懲役刑を受ける=法律要件で 宅建業の免許を受けることができる=法律効果です。 ■例えば、「不動産を取得すると、不動産取得税が課せられる」の場合、 不動産を取得する=法律要件 不動産取得税が課せられる=法律効果 ここまでが前提知識で、ここから、要件裁量と効果裁量を解説します。

要件裁量

法律の要件に当てはまるかどうかについて裁量がある場合を「要件裁量」と言います。 ■例えば、「宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき、知事は、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。」という法律があります。 宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をした=法律要件ですが、この「不正又は著しく不当な行為」とはどんな行為なのかは、知事の裁量が認められています。 つまり、宅建士のどんな行為について不正なのか不当なのかを知事の判断で決めることができるということです。

効果裁量

要件を満たす場合に、どんな処分を下すかについて裁量がある場合を「効果裁量」と言います。 上記、宅地建物取引士の指示処分の事例を見てください。 「指示をすることができる」となっています。「指示をしなければならない」とはなっていません。 つまり、知事は、指示(指示処分)をしてもいいし、指示(指示処分)をしなくてもよいです。 つまり、効果裁量があるということです。 そして、行政書士の試験では、この行政裁量についてよく問われます。しかし、このページで解説するような概念的な内容ではなく、判例と絡めて出題してくるので、過去問で出題された判例で「裁量」に関する内容があれば、都度それを覚えていくとよいでしょう!

裁量に関する判例

  • 外国人の在留期間中の政治活動として直ちに憲法の保障が及ばないものであるとはいえないが、そのなかにわが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれており、法務大臣が外国人の政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできない。(最判昭53.10.4:要件裁量の判例:マクリーン事件
  • 勤務時間内の職場集会、繁忙期における怠業、超過勤務の一斉(いっせい)拒否等の争議行為に参加しあるいはこれをあおりそそのかしたことが国家公務員法の争議行為等の禁止規定に違反するなどの理由でされた税関職員に対する懲戒免職処分は、右職場集会が公共性の極めて強い税関におけるもので職場離脱が職場全体で行われ当局の再三の警告、執務命令を無視して強行されたこと、右怠業が業務処理の妨害行為を伴いその遅延により業者に迷惑を及ぼしたこと、右超過勤務の一斉(いっせい)拒否が職場全体に及び業者からも抗議が出ていたこと、職員に処分の前歴があることなど判示のような事情のもとでは、社会観念上著しく妥当を欠くものとはいえず、懲戒権者に任された裁量権の範囲を超えこれを濫用したものと判断することはできない。(最判昭52.12.20:効果裁量の判例:神戸税関事件)
  • 児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進することを目的とする施設であるから、営業の規制を主たる動機、目的とする児童遊園設置の認可処分は、行政権の著しい濫用に相当し、公権力の違法な行使に当たる。(最判昭53.26:法律の目的違反による裁量権の濫用:余目町個室付浴場事件)
  • 公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量にゆだねられており,学校教育上支障がない場合であっても,行政財産である学校施設の目的及び用途と当該使用の目的,態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により許可をしないこともできる。(最判平18.2.27:公立学校施設の目的外使用の許否の判断と管理者の裁量権)

行政行為の瑕疵とは?

行政行為の瑕疵とは、行政行為が「違法」である場合と、行政行為が「不当」である場合のことをいいます。つまり、行政行為の瑕疵には、①違法な行政行為と②不当な行政行為の2つがあります。

行政行為の瑕疵の種類1

①違法な行政行為 法令に違反した行政行為
②不当な行政行為 法令に違反してはいないが、裁量判断が妥当ではない行政行為

行政行為の瑕疵の種類2

覚えなくてもよいですが、瑕疵(ミス)にはいろいろな種類があり「主体のない瑕疵」、「内容の瑕疵」、「手続の瑕疵」、「形式の瑕疵」に分類できます。上記「行政行為の瑕疵の種類1」とは分け方(切り口)が異なります。
主体の瑕疵 公務員試験に合格していない者が、合格書を偽造して公務員となって行った行為
内容の瑕疵 100万円と課税するところを間違って120万円を課税してしまった。
手続の瑕疵 不服審査会への諮問が必要にもかかわらず、諮問しなかった。
形式の瑕疵 例えば、理由を提示しなければならないのに、理由を提示しなかった。
そして、瑕疵ある行政行為には、あとで取消しできる場合と、当然に無効となる場合の2つがあります。
無効な行為 行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がある場合 公定力はなく、当然に無効となる
取消し可能な行為 行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がない場合 この場合、公定力があり、あとで取り消しも可能

無効な行政行為

行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合、その行政行為は無効です。 「重大かつ明白な瑕疵」とは、強い違法性をもつ行政行為といったイメージです。 この場合、行政行為は初めから無効となるので、あとで取り消すことなく、初めからなかったことになります。

取消しできる行政行為

通常上記のように、重大かつ明白な瑕疵がある行政行為はあまりありません。それよりも、ちょっとしたミスによる行政行為が多いです。 このようなミスによる行政行為(重大かつ明白な瑕疵がない行政行為)であっても、上記のように当然に無効となるのではなく、取消しがあるまでは一旦は有効となります(公定力という)。 しかし、行政行為にミス(瑕疵)があるので、あとで取り消しを行うことができます。 具体的には、不服申立て(審査請求)等を行って、行政庁に取消してもらったり、取消訴訟をして、裁判所に取消してもらったりします。 行政試験では、上記くらいの太文字が頭に入っていれば大丈夫でしょう!