行政行為の瑕疵とは、行政行為が「違法」である場合と、行政行為が「不当」である場合のことをいいます。つまり、行政行為の瑕疵には、①違法な行政行為と②不当な行政行為の2つがあります。

行政行為の瑕疵の種類1

①違法な行政行為 法令に違反した行政行為
②不当な行政行為 法令に違反してはいないが、裁量判断が妥当ではない行政行為

行政行為の瑕疵の種類2

覚えなくてもよいですが、瑕疵(ミス)にはいろいろな種類があり「主体のない瑕疵」、「内容の瑕疵」、「手続の瑕疵」、「形式の瑕疵」に分類できます。上記「行政行為の瑕疵の種類1」とは分け方(切り口)が異なります。
主体の瑕疵 公務員試験に合格していない者が、合格書を偽造して公務員となって行った行為
内容の瑕疵 100万円と課税するところを間違って120万円を課税してしまった。
手続の瑕疵 不服審査会への諮問が必要にもかかわらず、諮問しなかった。
形式の瑕疵 例えば、理由を提示しなければならないのに、理由を提示しなかった。
そして、瑕疵ある行政行為には、あとで取消しできる場合と、当然に無効となる場合の2つがあります。
無効な行為 行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がある場合 公定力はなく、当然に無効となる
取消し可能な行為 行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がない場合 この場合、公定力があり、あとで取り消しも可能

無効な行政行為

行政行為に重大かつ明白な瑕疵がある場合、その行政行為は無効です。 「重大かつ明白な瑕疵」とは、強い違法性をもつ行政行為といったイメージです。 この場合、行政行為は初めから無効となるので、あとで取り消すことなく、初めからなかったことになります。

取消しできる行政行為

通常上記のように、重大かつ明白な瑕疵がある行政行為はあまりありません。それよりも、ちょっとしたミスによる行政行為が多いです。 このようなミスによる行政行為(重大かつ明白な瑕疵がない行政行為)であっても、上記のように当然に無効となるのではなく、取消しがあるまでは一旦は有効となります(公定力という)。 しかし、行政行為にミス(瑕疵)があるので、あとで取り消しを行うことができます。 具体的には、不服申立て(審査請求)等を行って、行政庁に取消してもらったり、取消訴訟をして、裁判所に取消してもらったりします。 行政試験では、上記くらいの太文字が頭に入っていれば大丈夫でしょう!