平成25年度(2013年度)過去問

平成25年・2013|問7|憲法・精神的自由

次の1~5は、法廷内における傍聴人のメモ採取を禁止することが憲法に違反しないかが争われた事件の最高裁判所判決に関する文章である。判決の趣旨と異なるものはどれか。

  1. 報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。
  2. 憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
  3. 憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。
  4. さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
  5. 傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。

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【答え】:1

【解説】

1.報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。
1・・・誤り
判例によると
報道のための取材の自由は、憲法21条1項の精神に照らし、十分尊重に値するものである」
と判示しています。
つまり、本肢の「報道機関の取材の自由は、憲法21条1項の規定の保障の下にある」という記述は誤りです。

憲法21条1項
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2.憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
2・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「憲法82条1項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。

憲法82条1項
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。

3.憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。
3・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「憲法21条1項の規定は、表現の自由を保障している。そうして、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、その者が個人として自己の思想及び人格を形成、発展させ、社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって、このような情報等に接し、これ(情報)を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところである」
と判示しています。よって本肢は正しいです。
4.さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
4・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
「情報等の摂取を補助するためにする筆記行為の自由といえども、他者の人権と衝突する場合にはそれとの調整を図る上において、又はこれに優越する公共の利益が存在する場合にはそれを確保する必要から、一定の合理的制限を受けることがあることはやむを得ないところである。しかも、右の筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである」
と判示しています。

上記内容は理解していただきたいので個別指導で解説します!

5.傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。
5・・・正しい
判例(最大判平元.3.8:レペタ訴訟)によると
傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致するものということができる。」
と判示しています。よって、本肢は正しいです。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問5|憲法

権力分立に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. アメリカでは、国会議員と執行府の長の双方が国民によって直接選挙されるが、権力分立の趣旨を徹底するために、大統領による議会の解散と議会による大統領の不信任のメカニズムが組み込まれている。
  2. 政党が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになり、内閣不信任案の可決という形での議会による内閣の責任追及の仕組みが、一般には、より実効的に機能するようになった。
  3. 伝統的には、議会の立法権の本質は、国民に権利・利益を付与する法規範の制定であると考えられてきたが、行政国家化の進展とともに、国民の権利を制限したり義務を課したりするという側面が重視されるようになった。
  4. 一般性・抽象性を欠いた個別具体的な事件についての法律(処分的法律)であっても、権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、必ずしも権力分立や平等原則の趣旨に反するものではないとの見解も有力である。
  5. 君主制の伝統が強く、近代憲法制定時に政府と裁判所とが反目したフランスやドイツでは、行政権を統制するために、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた。

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【答え】:4

【解説】

1.アメリカでは、国会議員と執行府の長の双方が国民によって直接選挙されるが、権力分立の趣旨を徹底するために、大統領による議会の解散と議会による大統領の不信任のメカニズムが組み込まれている。
1・・・誤り
「執行府の長」とは「大統領」を指します。
アメリカでは、大統領を選ぶ際、有権者は選挙人を選び、選挙人が大統領を選ぶという、間接選挙の制度を取っています。
「執行府の長の双方が国民によって直接選挙される」という記述は誤りです。また、アメリカの大統領制では、「大統領」と「議会」の権限が明確に分かれており、
  • 議会は大統領の不信任決議はできず、逆に
  • 大統領は議会の解散権、法案の提出権もありません
    (ただし、大統領は議会が可決した法案の拒否権は有しています
2.政党が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになり、内閣不信任案の可決という形での議会による内閣の責任追及の仕組みが、一般には、より実効的に機能するようになった。
2・・誤り
本問は後半部分が誤りです。「政党」が政治において主導的役割を演じる政党国家化が進むと、議院内閣制の国では議会の多数党が内閣を組織するようになります。
自民党が過半数を取ると、自民党が内閣を組織します。
よって、前半部分は正しいです。しかし、この場合、「議会の多数党」と「内閣を組織する党」が同じになるため、野党が、内閣不信任案を提出しても、多数党である与党により可決されず、内閣の責任追及の仕組みは機能しなくなります
よって、この点が誤りです。
3.伝統的には、議会の立法権の本質は、国民に権利・利益を付与する法規範の制定であると考えられてきたが、行政国家化の進展とともに、国民の権利を制限したり義務を課したりするという側面が重視されるようになった。
3・・・誤り
伝統的には、議会の立法権の本質は、国民の「権利を制限したり義務を課したり」する法規範の制定であると考えられていました(一般的権利制限説)。しかし、一方で、貧富の差による貧しい人々を救うことを重視した福祉国家の思想の下、行政国家化が進展するとともに、国民に権利・利益を付与する法規範の制定も増えてきています。
例えば、生活保護法も、行政国家化によるものです。よって、本肢は、法規範の性質の内容が逆になっているので誤りです。
4.一般性・抽象性を欠いた個別具体的な事件についての法律(処分的法律)であっても、権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、必ずしも権力分立や平等原則の趣旨に反するものではないとの見解も有力である。
4・・・正しい
本来、法律は、一般性(不特定多数人に適用できる)と抽象性(幅広い事件に適用できる)を有することが求められます。しかし、一方で、個別具体的な事件を対象にした法律(例:学校法人紛争の調停等に関する法律)が制定される場合があります。この点について、
権力分立の核心を侵さず、社会国家にふさわしい実質的・合理的な取扱いの違いを設定する趣旨のものであれば、個別具体的な事件に関する法律を作っても大丈夫ということです。
5.君主制の伝統が強く、近代憲法制定時に政府と裁判所とが反目したフランスやドイツでは、行政権を統制するために、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた。
5・・・誤り
フランスやドイツには、「民事・刑事を担当する裁判所」と「行政事件を担当する行政裁判所」があります。
よって、「フランスやドイツでは、民事・刑事を扱う裁判所が行政事件も担当してきた」
というのは誤りです。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問4|憲法

私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか

  1. 私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
  2. 私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
  3. 性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
  4. 自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
  5. 企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。

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【答え】:4

【解説】

1.私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
1・・・誤り
判例によると、
憲法19条(思想及び良心の自由)、14条(法の下の平等)は、もっぱら、「国または公共団体」と「個人」との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律するものではない。もっとも、私人間の関係においても、相互の社会的力関係の相違から、会社Yが優越し、事実上、従業員Xが会社Yの意思に服従せざるを得ない場合もあるが、そのような場合にも、人権規定の適用・類推適用はできない。』
と判示しています。
したがって、「私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができる」は誤りです。

私人間においては、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべき」という記述は正しいです。

「私的自治の原則」とは、私人間の意思によって自由に決定することが妥当であるとする原則です。

つまり、私人間で問題が生じたら、私人間の話合いで問題解決を図るべきということですね!

2.私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
2・・誤り
判例によると
「私立大学において、その建学の精神に基づく校風と教育方針に照らし、学則等により、学生の署名運動について事前に学校当局に届け出るべきこと及び学生の学外団体加入について学校当局の許可を受けるべきことを定めても、これをもって直ちに学生の政治的活動の自由に対する不合理な規制とはいえない。また、諸般の事情を総合的に観察して、退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、退学処分は、学長の裁量権の範囲内にあるものというべきである。」
と判示し、学生の政治活動を理由に退学処分を行うことも憲法19条に違反しないとしています。

よって、本肢の「学生の政治活動を理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない」は誤りです。

3.性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
3・・・誤り
判例によると
「会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、右就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条(公序良俗)の規定により無効である。」
と判示しています。つまり、
「性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶ」が誤りです。
性別による差別を禁止する規定は、合理的な理由がなければ、民法90条(公序良俗)の規定により無効である」が正しいです。
4.自衛隊基地建設に関連して、国が私人と対等な立場で締結する私法上の契約は、実質的に公権力の発動と同視できるような特段の事情がない限り、憲法9条の直接適用を受けない。
4・・・正しい
判例によると
憲法9条は、その憲法規範として有する性格上、私法上の行為の効力を直接規律することを目的とした規定ではなく、人権規定と同様、私法上の行為に対しては直接適用されるものではないと解するのが相当である」
と判示しています。
つまり、本肢の内容は正しいです。
5.企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。
5・・・誤り
判例によると
「企業者が特定の思想を有することを理由に採用を拒否することは違法ではなく、また、いったん労働者を雇い入れ、その者に雇傭関係上の一定の地位を与えた後においては、その地位を一方的に奪うことにつき、雇入れの場合のような広い範囲の自由を有するものではない。」
としています。
したがって、後半部分が誤りです。
いったん雇い入れた後は、思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされたら、違法となります。

本問は対比部分があるので、対比部分については個別指導で解説いたします!

対比部分も一緒に勉強して、理解を深めていきましょう!

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問3|憲法・法の下の平等

次の文章は、ある最高裁判所判決の意見の一節である。空欄[ ア ]~[ ウ ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。

一般に、立法府が違憲な[ ア ]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権がその[ ア ]に介入し得る余地は極めて限られているということ自体は否定できない。しかし、立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており、また、その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

(最大判平成20年6月4日民集62巻6号1367頁以下における藤田宙靖意見)

  1. ア:不作為 イ:比例 ウ:限定
  2. ア:作為 イ:比例 ウ:限定
  3. ア:不作為 イ:相互主義 ウ:有権
  4. ア:作為 イ:法の下の平等 ウ:拡張
  5. ア:不作為 イ:法の下の平等 ウ:拡張

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【答え】:5

【解説】

一般に、立法府が違憲な[ア:不作為]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[イ:法の下の平等]原則違反であるような場合には、司法権がその[ア:不作為]に介入し得る余地は極めて限られていること自体は否定できない。しかし、立法府が既に一定の立法政策に立った判断を下しており、また、その判断が示している基本的な方向に沿って考えるならば、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ウ:拡張]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

本問の判例の事案は、結婚していない「日本人の父」と「フィリピン人の母」との間に日本で生まれた子(原告)が、出生後に「日本人の父」から認知を受けたことを理由として、
法務大臣あてに日本国籍取得の届出をしたところ、国籍取得の条件を備えておらず、日本国籍を与えなかった事案です。

ア.一般に、立法府が違憲な[ ア ]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、・・・、未だ具体的な立法がされていない部分においても合理的な選択の余地は極めて限られていると考えられる場合において、・・・。

ア・・・不作為
判決文の中の「未だ具体的な立法がされていない」という記述から、「法律を定めていなかった」=「立法不作為」と導けます。
よって「アには不作為」が入ります。

イ.一般に、立法府が違憲な[ア:不作為]状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきであって、とりわけ本件におけるように、問題が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権がその[ア:不作為]に介入し得る余地は極めて限られていること自体は否定できない。

イ・・・法の下の平等
「立法府が違憲な不作為状態を続けているとき、その解消は第一次的に立法府の手に委ねられるべきである」
つまり、「立法府である国会」が、法律を定めずに、憲法違反の状態であれば、まず第一に国会により、法律を定めるべきである、と言っています。そして、問題(国籍取得の条件)が、その性質上本来立法府の広範な裁量に委ねられるべき国籍取得の要件と手続に関するものであり、かつ、問題となる違憲が[ イ ]原則違反であるような場合には、司法権(裁判所)がその不作為に介入し得る余地は極めて限られている。つまり、法律を定める権限は、国会にあるので、問題となる国籍取得の条件に関する内容について、[イ:法の下の平等]違反である場合、裁判所が、その「国籍取得の条件」について、判断する余地は極めて限られている、と言っています。「著しく不合理な差別を受けている者」という記述から「イには法の下の平等」が入ります。

ウ.著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するために、立法府が既に示している基本的判断に抵触しない範囲で、司法権が現行法の合理的[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、全く許されないことではないと考える。

ウ・・・拡張
選択肢イの解説の続きですが、裁判所の介入の余地が極めて限られていたとしても、著しく不合理な差別を受けている者を個別的な訴訟の範囲内で救済するためであれば、
司法権(裁判所)が現行法の合理的な[ ウ ]解釈により違憲状態の解消を目指すことは、許される場合もある。
と言っています。つまり、裁判所が現在の法律(国籍取得の条件)に関する文言の解釈を広げて、この原告の子(日本人の父とフィリピン人母の間の子)に取得させることも許される
ということです。限定解釈(縮小解釈)とは、 条文上の文言につき,日常一般に用いられる意味をせばめて(制限を加えて)解釈することですが、
これを行うと、原告の子はさらに、国籍取得ができなくなるという逆の効果となるので、
限定解釈は入りません。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問2|基礎法学・裁判制度

司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月公表)に基づいて実施された近年の司法制度改革に関する次のア~オの記述のうち、明らかに誤っているものの組合せはどれか。

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。

イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。

ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。

エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。

オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

ア 事業者による不当な勧誘行為および不当な表示行為等について、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が当該行為の差止めを請求することができる団体訴訟の制度が導入された。
ア・・・正しい
悪徳商法による被害額が小さい場合、泣き寝入りとなるケースが多く、結果として業者が得をしている状況でした。また、これまで、個人が業者の行為を差し止めることはできませんでした。
そこで、契約トラブル等により被害額は少額だが被害者が多数にのぼるサービスを提供している業者に対して、一定の要件を満たす消費者団体(適格消費者団体)が被害者に代わって訴訟を起こすことができる制度(消費者団体訴訟制度)が2007年から施行されました。消費者団体訴訟制度とは、内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者のために事業者に対して訴訟などをすることができる制度で、「差止請求」と「被害回復」の2つを行うことができます。
イ 一定の集団(クラス)に属する者(例えば、特定の商品によって被害を受けた者)が、同一の集団に属する者の全員を代表して原告となり、当該集団に属する者の全員が受けた損害について、一括して損害賠償を請求することができる集団代表訴訟の制度が導入された。
イ・・・誤り
本肢の集団代表訴訟(集団訴訟)の制度は、アメリカで採用されているクラスアクション制度と呼ばれるものです。
集団代表訴訟とは、利害を共通にする多数の者が集団(クラス)となって、そのメンバーのうちの1人または数人が代表者となり、民事訴訟をする制度です。
日本では検討はされているものの、導入されていません
ウ 民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、審理が開始される前に事件の争点および証拠等の整理を集中して行う公判前整理手続の制度が導入された。
ウ・・・誤り
公判前整理手続とは,適正迅速でわかりやすい公判審理(刑事裁判)を実現するために第一回公判期日前に裁判における事件の争点および証拠を整理する準備手続です。
裁判員制度に伴い、2005年の刑事訴訟法改訂で導入されました。
裁判員制度の対象となる事件は必ず公判前整理手続に付さなければなりません。
裁判員制度の対象となる事件は「刑事事件」のみなので、「民事事件」では、当該公判前整理手続の制度は導入されていません
よって、誤りです。
エ 検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起する制度が導入された。
エ・・・正しい
本肢は、検察審査会制度の内容です。
検察審査会制度とは、国民の中から選ばれた11人の検察審査員が検察官の不起訴処分の当否を審査するもので、検察官の職務の上に一般国民の良識を反映させ、その適正な運営を図ろうとする目的から設けられたものです。
具体的には、検察官が公訴を提起しない場合において、検察審査会が2度にわたって起訴を相当とする議決をしたときには、裁判所が指定した弁護士が公訴を提起します。
オ 日本司法支援センター(法テラス)が設立され、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行うこととなった。
オ・・・正しい
日本司法支援センター(法テラス)」は、政府が設立した法務省所管の法人で、総合法律支援に関する事業を迅速かつ適切に行うことを目的としています。
業務としては、情報提供活動、民事法律扶助、国選弁護の態勢確保、いわゆる司法過疎地での法律サービスの提供および犯罪被害者の支援等の業務を行います。
よって、本肢は正しいです。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年・2013|問1|基礎法学

次の文章にいう「第二段の論理の操作」についての説明として、妥当なものはどれか。

成文法規の解釈は、まず「文理解釈」に始まり、次いで「論理解釈」に移る。文理解釈は、成文法の文章および用語について法規の意義を確定し、論理解釈は、成文法の一般規定をば具体的な事件の上に当てはめるための論理的の筋道を考察する。論理解釈を行うに当っては、第一に「三段論法」が活用される。三段論法による法の解釈は、法規を大前提とし、事件を小前提として、結論たる判決を導き出そうとするのである。しかし、いかに発達した成文法の体系といえども、絶対に完全無欠ではあり得ない。故に、特殊の事件につき直接に三段論法を適用すべき明文の規定が欠けている場合には、更に第二段の論理の操作が必要となる。

  1. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
  2. 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
  3. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
  4. 乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
  5. 甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。

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【答え】:3

【解説】

1.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「反対解釈」である。
1・・・誤り
反対解釈とは、法規の定めた事項の反面から、定めていない事項について反対の結果を引き出すことです。
例えば、「自動車は進入禁止」という法規の反対解釈は、「自転車の進入は禁止されていない」と反対の結果を引き出す解釈のことです。本肢の「甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとする」のは、類似解釈(選択肢3参照)です。
2.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「勿論解釈」である。
2・・・誤り
勿論解釈(もちろん解釈)とは、類推解釈の一種で、ある法令の規定の立法目的、趣旨等からみて、他の場合には明文の規定はないけど、それと同じ趣旨の規定があると解釈することが当然である解釈のことを言います。
例えば、狭い道があり、「オートバイは進入禁止」というルールがあった場合、道が狭くて、オートバイが運転するには危ないから禁止している、というのが目的です。
この目的から考えれば、もちろん、四輪自動車も進入禁止であるのは当然のことです。
これが勿論解釈です。
3.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「類推解釈」である。
3・・・正しい
類推解釈とは、ある事柄について直接規定する条文がない場合に、似たような類似の規定を、そのある事柄にも適用することです。例えば、「自転車の通行禁止」という法規があって、オートバイについては法規がない場合に、オートバイの通行も上記ルールを適用させることが、類推解釈です。
4.乙についてのみ規定があり、甲に関する規定が欠けているのは、甲に対する乙の規定の準用を排除する立法者の意志である、という理由から、甲に対しては乙の場合と反対の解釈を下すのは、「拡大解釈」である。
4・・・誤り
拡大解釈(拡張解釈)とは、条文の意味を日常一般に用いられる意味よりも拡張することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」を自動車に限らず、オートバイ、自転車、一輪車も含むと解釈することが拡張解釈です。
5.甲の事件につき規定がなく、類似の乙の事件に関しては明文の規定がある場合、甲にも乙の規定を準用しようとするのは、「縮小解釈」である。
5・・・誤り
縮小解釈とは、条文の意味を厳格に制限し、普通の意味よりも狭く解釈することを言います。例えば、「車の通行禁止」の「車」の解釈について、「車」は自動車の中でも四輪自動車のみと解釈して、オートバイや自転車などは含まないという解釈が縮小解釈です。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略