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平成29年・2017|問8|行政法・取消しと撤回の違い

砂利採取法26条1号から4号までによる「認可の取消し」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 1号による「認可の取消し」および2号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。
  2. 1号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。
  3. 2号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。
  4. 2号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。
  5. 3号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。

(参照条文)
砂利採取法

(採取計画の認可)
第16条 砂利採取業者は、砂利の採取を行おうとするときは、当該採取に係る砂利採取場ごとに採取計画を定め、(当該砂利採取場の所在地を管轄する都道府県知事等)の認可を受けなければならない。

(遵守義務)
第21条 第16条の認可を受けた砂利採取業者は、当該認可に係る採取計画・・・に従つて砂利の採取を行なわなければならない。

(緊急措置命令等)
第23条第1項 都道府県知事又は河川管理者は、砂利の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは、採取計画についてその認可を受けた砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきこと又は砂利の採取を停止すべきことを命ずることができる。(第2項以下略)

(認可の取消し等)
第26条 都道府県知事又は河川管理者は、第16条の認可を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消し、又は6月以内の期間を定めてその認可に係る砂利採取場における砂利の採取の停止を命ずることができる。
1 第21条の規定に違反したとき。
2 ・・・第23条第1項の規定による命令に違反したとき。
3 第31条第1項の条件に違反したとき。
4 不正の手段により第16条の認可を受けたとき。

(認可の条件)
第31条第1項 第16条の認可・・・には、条件を附することができる。(第2項以下略)

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

行政行為の取消し」は、処分成立当初に瑕疵があったこと(原始的瑕疵)を理由としており、その効果は原則として遡及し、はじめから行政行為がなかったものとみなされる。
一方
行政行為の撤回」とは、成立に瑕疵のない行政行為について、後発的事情の変化によってその効力を存続させることが適当でない場合に、将来に向かってその効力を失わせることをいう。

1.1号による「認可の取消し」および2号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。
1・・・誤り
26条1号は「21条に違反したとき」に認可が取り消される、という内容です。
当初認可されたときは、瑕疵なく認可され、その後、21条「計画に従って砂利の採取をしなければならない」という内容に違反して(後発的事情によって)認可を取り消すわけです。
したがって、「行政行為の撤回」に当たります。26条2号は「23条1項の命令に違反したとき」に認可が取り消される、という内容です。
当初認可されたときは、瑕疵なく認可され、その後、23条の「砂利の採取を停止の命令」に違反して(後発的事情によって)認可を取り消すわけです。
したがって、「行政行為の撤回」に当たります。よって、本肢は誤りです。
2.1号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。
2・・・誤り
26条3号は「31条1項の条件に違反したとき」に認可が取り消される、という内容です。
当初認可されたときは、瑕疵なく認可され、その後、31条1項の「認可の際に付された条件」に違反して(後発的事情によって)認可を取り消すわけです。
したがって、「行政行為の撤回」に当たります。よって、
1号は、選択肢1より、「撤回」にあたり、
3号も「撤回」にあたるので、
本肢は誤りです。
3.2号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。
3・・・正しい
選択肢1と選択肢2の解説より
2号、3号ともに、「行政行為の撤回」にあたるので、本肢は正しいです。
4.2号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。
4・・・誤り
26条4号は「不正の手段により認可を受けたとき」に認可が取り消される、という内容です。
当初の認可自体、瑕疵があって(原始的な瑕疵を理由)、認可を取り消すわけなので、
行政行為の取消し」に当たります。よって、
2号は、選択肢1の解説より「撤回」
4号は「取消し」なので
本肢は誤りです。
5.3号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。
5・・・誤り
3号は、選択肢2より、「撤回」
4号は、選択肢4より、「取消し」
なので、本肢は誤りです。

行政行為の「取消し」と「撤回」の違いの詳細解説はこちら>>

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

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