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商事売買と民事売買の違い

商事売買とは、商人間の売買をいい、商法に特則が設けられています。そのため、一部民法と異なる部分があるので、その点を解説していきます。

民事売買 商事売買
適用範囲 商人以外―商人以外
商人―商人以外
商人―商人
供託と競売 原則:供託
例外:競売
供託にするか競売にするか売主が選択
競売の際の裁判所の許可 必要 不要
定期売買における解除の方法 催告は不要
解除の意思表示は必要
催告も解除の意思表示も不要
買主の検査・通知義務 なし あり
買主の目的物供託義務 なし あり

供託と競売

民法では、1.債権者の弁済受領拒絶、2.債権者の受領不能、3.債権者不確知の場合に供託することができると規定されています。それに対して

商法では、1.債権者の弁済受領拒絶、2.債権者の受領不能の場合、供託するか、もしくは相当期間を定めて催告した上で競売にかけることができると規定しています。

そして、目的物が「生の食料品」等のように損傷などにより価格の低下のおそれがあるものの場合は、催告せずに競売にかけることができます。

商法第524条(売主による目的物の供託及び競売)
商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。
2 損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
3 前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。

改正民法第494条(供託)
弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。
二 債権者が弁済を受領することができないとき。
2 弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。

競売の際の裁判所の許可

民法については、裁判所の許可を得た上で競売にかけることができます。一方、

商法については、上記524条の通り、裁判所の許可なく競売にかけることができます

改正民法第497条(供託に適しない物等)
弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。
一 その物が供託に適しないとき。
二 その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落のおそれがあるとき。
三 その物の保存について過分の費用を要するとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、その物を供託することが困難な事情があるとき。

定期売買における解除の方法

民法では、解除する場合、解除の意思表示が必要です。

そして、定期売買の場合において、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合、催告なく解除できます。

例えば、成人式のために着物をレンタルし、成人式当日に着物を仕入れることができずレンタルすることができなかった場合、催告なく解除できます。一方、

商法では、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合、催告も解除の意思表示もなく、解除となります。

ただし、債権者が履行請求した場合は、解除させずに、契約を存続させます。

商法第525条(定期売買の履行遅滞による解除)
商人間の売買において、売買の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、直ちにその履行の請求をした場合を除き、契約の解除をしたものとみなす。

改正民法第540条(解除権の行使)
契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。

改正民法第542条(定期行為の履行遅滞による解除権)
契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、当事者の一方が履行をしないでその時期を経過したときは、相手方は、前条の催告をすることなく、直ちにその契約の解除をすることができる。

買主の検査・通知義務

買主が、売買の目的物を受領したら、

原則、遅滞なく検査し、瑕疵を発見したら、直ちに売主に通知しなければなりません。
この通知をすれば、売主に責任追及ができます。

例外として、直ちに発見できない瑕疵は、6か月以内に瑕疵を発見して通知すれば、責任追及できます。

そして、検査や通知をしない場合、契約解除や代金減額請求、損害賠償請求はできなくなります。

このルールは、民法にはありません。

商法第526条(買主による目的物の検査及び通知)
商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

買主の目的物供託義務

上記のように、買主が、売買の目的物を受領し、目的物に瑕疵があり、その旨を通知して解除をしたとき、目的物自体、買主のもとにあります。

この場合、買主は「瑕疵ある目的物」を保管もしくは供託しなければなりません

保管する際の費用は、売主負担です。

また、目的物が、生の食品のように損傷の恐れがあるときは、①裁判所の許可を得て、競売にかけて、代金を保管するか、もしくは②供託しなければなりません。

ただし、売主及び買主の営業所が同一の市町村の区域内にある場合は、買主に保管義務はないので、買主のもとにあることで、目的物が損傷しても、買主は責任を負いません。つまり、売主は早く取りに行きなさい!ということです。

商法第527条(買主による目的物の保管及び供託)
前条第1項に規定する場合においては、買主は、契約の解除をしたときであっても、売主の費用をもって売買の目的物を保管し、又は供託しなければならない。ただし、その物について滅失又は損傷のおそれがあるときは、裁判所の許可を得てその物を競売に付し、かつ、その代価を保管し、又は供託しなければならない。
2 前項ただし書の許可に係る事件は、同項の売買の目的物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
3 第1項の規定により買主が売買の目的物を競売に付したときは、遅滞なく、売主に対してその旨の通知を発しなければならない。
4 前三項の規定は、売主及び買主の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)が同一の市町村の区域内にある場合には、適用しない。

商法第528条
前条の規定は、売主から買主に引き渡した物品が注文した物品と異なる場合における当該売主から買主に引き渡した物品及び売主から買主に引き渡した物品の数量が注文した数量を超過した場合における当該超過した部分の数量の物品について準用する。

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