決議取消し、決議無効確認、決議不存在確認の訴え

株主総会の決議に、手続上・内容上問題がある場合、3つの制度が用意されています。

  1. 決議取消しの訴え
  2. 決議無効確認の訴え
  3. 決議不存在確認の訴え

大まかに分けると、
決議の瑕疵が軽いものが、決議取消しの訴えで、
決議の瑕疵が重くなるにしたがって、無効確認の訴え→不存在確認の訴え
といった感じです。

まとめた表は下記の通りで、その後に細かく解説していきます。


決議取消しの訴え

株主総会の決議取消事由

株主総会決議を取り消すことができるのは、下記3つのいずれかに該当する場合です(831条1項)。

  1. 招集手続きまたは決議の方法が、①法令・定款に違反し、または②著しく不公正なとき
  2. 決議の内容定款に違反するとき
  3. 決議について特別利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がなされたとき

1の具体例として、下記があります。

  • 決議の定足数に不足がある場合
  • 一部の株主に招集の通知をし忘れた場合
  • 招集通知期間が不足している場合
    ※原則、2週間前までに通知、非公開会社の場合、1週間前まで
  • 深夜に株主総会を行ったり、誰も来れないような場所で株主総会を行った場合
  • 代表取締役が有効な取締役会決議を経ることなく株主総会を招集した場合(最判昭46.3.18)
    ※株主総会の招集決定は取締役会設置会社では、取締役会決議が必要。これをせずに代表取締役が株主総会を招集したということ。
  • 取締役会設置会社において招集通知の記載のない議題について決議した場合(最判昭31.11.15)

そして、株主総会の決議取消しの訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するとき(上記1の要件を満たす場合)であっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなくかつ決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、決議取消しの請求を棄却することができます831条2項)。

決議取消しの訴えの提訴権者と提訴期間

株主、取締役、執行役員、監査役等は、株主総会決議の日から3か月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができます(831条1項)。

この場合、被告は会社になります。

決議取消し判決の効力

決議取消しの確定判決(認容判決)により、遡及効と対世効が生じます。

遡及効

決議の日にさかのぼって決議は無効となります。

対世効

確定判決は、訴訟当事者間のみに及び、当事者以外の第三者には及ばないのが原則です(民事訴訟法115条1項)。

しかし、確定した決議取消判決の効力は、当事者以外の第三者に対しても効力を生じます(838条)。これを対世効と言います。

例えば、取締役についてAの選任決議がされ、その後、決議取消判決をもらった場合、全員にとって、Aは取締役でなくなるわけです。訴訟提起した者にとってのみAは取締役でなくなり、その他の株主にとってAは取締役というのはおかしな話になります。

決議無効確認の訴え

株主総会の決議無効事由

決議無効の訴えを請求できるのは、決議の内容法令に違反する場合です。

決議取消しと決議無効の要件の違い
法令違反 定款違反
決議の方法 取消事由 取消事由
決議の内容 無効事由 取消事由

決議無効の訴えの提訴権者と提訴期間

株主総会決議の無効の訴えについては、提訴権者および提訴期間に定めはないので、誰でも・いつでも無効を主張できます。

決議無効判決の効力

決議無効の確定判決(認容判決)により、遡及効と対世効が生じます。
これは、決議取消しの判決の効力と同じです。

決議不存在確認の訴え

決議が行われたような書類は存在するが、実際には決議が行っていない場合誰でも・いつでも決議不存在確認の訴えを主張できます。

行政書士の試験対策としては、下記判例をそのまま覚えておきましょう。

  • 代表権のない取締役が取締役会決議に基づかずに株主総会を招集した場合(最判昭45.8.20)

決議不存在確認の確定判決(認容判決)により、遡及効と対世効が生じます。
これは、決議取消しや決議無効の判決の効力と同じです。

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