地方公共団体の長の再議請求権

議会の議決について、①地方公共団体の長に異議がある場合、または②違反がある場合、再度審議および議決を要求する制度があり、これを「再議」と言います。

再議には、一般的再議請求権(一般的拒否権)と特別的再議請求権(特別拒否権)の2つがあります。

一般的再議請求権(一般的拒否権)→一般再議

一般的再議請求権(一般的拒否権)は、①長に異議があるときに再議に、長が理由を示して再議に付す制度です。これは、異議があるときに請求すればよいので再議に付すかどうかは任意です。

そして、再議に付す要件が、「条例の制定改廃・予算に関する議決」と「それ以外の議決」とで異なります。


条例の制定改廃・予算に関する議決

条例の制定や改廃、予算に関する議決について、長に異議がある場合、長はその送付を受けた日から10日以内に、理由を示して再議に付し、再議の結果、出席議員の3分の2以上の多数で再議に付された議決と同じ議決がなされたときは、その議決は確定します。

例えば、条例の制定案が可決され、長が再議に付し、再度可決されたら、条例は制定されるということです。再議で否決となれば、条例は制定されません。

それ以外の議決

条例の制定改廃・予算以外に関する議決については、議決の日から10日以内に、理由を付して再議し、再議の結果、出席議員の過半数で、再議に付された議決と同じ議決がなされたときは、その議決は確定します。

例えば、議員Aを除名処分の決議が可決され、それに対して、長が再議にかけ、再度過半数の賛成があれば、除名処分の議決は確定します。

特別的再議請求権(特別拒否権)→違法再議

特別的再議請求権(特別拒否権)は、②議会の議決選挙が、その権限を超えまたは法令・会議規則に違反すると認められるとき、長は、理由を付して再議または再選挙をしなければなりません(義務)。

※特別拒否権は、一般的拒否権と異なり、期間制限はありません。

収支不能議決

普通地方公共団体の議会の議決が、収入または支出に関し、執行することができないものがあるとき(収支不能の場合)、2012年の法改正前は、違法再議として、再議に付すことが義務となっていたが、改正後は、権限を超えたり、法令や会議規則に違反する場合は、違法再議ですが、そうでなければ一般再議となります。

義務費の削除減額議決

義務費とは法令により負担する経費のことです。簡単に言えば、人件費や公債費(地方債の返済にかかる元利償還金と利息)等です。そして人件費等を削減する議決がされた場合、長は、理由を付して、必ず再議に付さなければなりません(特別拒否権の対象)。

予算を削るということは、必要な事業を行えない可能性があるから、再議に付すことが義務となっています。

非常災害対策・感染症予防費の削除減額議決

非常災害対策費とは、災害に対する応急、復旧の施設のための費用です。

感染症予防費とは、感染症患者に対して、法に基づく入院勧告又は入院措置を実施した場合において、医療費は公費負担となり、その費用のことです。

これらの経費を削除したり、削減したりする議決をしたときは、長は、理由を付して、必ず再議に付さなければなりません(特別拒否権の対象)。

もし、再議で再度、経費の削除・減額の議決がなされた場合、長は、その議決を不信任の議決をみなすことができます

SNSでもご購読できます。