商事契約の成立

対話および隔地者間による契約成立

商法第507条(対話者間における契約の申込み)
商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が直ちに承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

商法第508条(隔地者間における契約の申込み)
商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
2 民法第523条の規定は、前項の場合について準用する。

民法第523条
申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。

対話による申込み

商人が対話の中で申込をした場合、直ちに相手方が承諾をしないときは、申込の効力は失います。

つまり、相手方が対話の中で承諾をした場合は契約が成立し、後日承諾をしてもすでに申込の効力が消滅しているため契約は成立しません。

隔地者間による申込み

隔地者間とは、遠く離れた人同士の間の話です。

例えば、東京に住むAと大阪に住むBがいたとします。
Aが、承諾の期間を定めないで契約の申込みし、Bが相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、Aの申込みは、その効力を失います
そして、相当期間を過ぎた後にBが「承諾の通知」をした場合、Aは「承諾の通知」を「Bからの申込」とみなすことができ、AがBに対して承諾をすれば、契約は成立します。

諾否通知義務

商法第509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)
商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
2 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

例えば、商人Aと商人Bは、頻繁に取引をしていました。AからBに対して申込がなされた場合、Bは、遅滞なく、「Aの申込」を承諾するか否かをAに通知しなければなりません。

もし、Bが上記通知をしない場合、Bは「承諾」したものとみなされ、AB間の契約は成立したことになります。

受領物品の保管義務

商法第510条(契約の申込みを受けた者の物品保管義務)
商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。

①例えば、カバンメーカーAが販売店Bに対して「このカバンを取り扱ってくれませんか?」と申込みの際に、Bのお店にカバンを置いていきました。この場合、販売店Bは申込みを拒絶したとしても保管義務を負います。しかし、保管に関する費用は、申込者Aが負担します。

②例外として、保管費用がカバン本体価格よりも高くなるようなときや、販売店Bが保管することによって損害を受ける場合は、販売店Bの利益を守るために、保管義務は負わなくても大丈夫です。

行政書士の試験対策としては、上記①の原則が重要です!

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